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「○○人」入門シリーズ1

2016年10月03日 | 読書
『「新老人」のススメ』(弘兼憲史  徳間書店)

 弘兼は1947年生まれ。いわゆる団塊世代だ。その層をねらった本を今までもたくさん書いたはずだ。この新書は今年発刊だが、結局「新老人」というキーワードで括り、従来からの主張を繰り返した形だ。ただ、日常生活そして死に対する「準備」「心構え」をしっかりという論はもっともであり、次の言葉は納得した。

◆たとえ役立たなくても、役立つことを信じて準備しておくべきではないでしょうか。(中略)「備える」とはきっとそういうことだと思います。




 巻末にある同齢の作家北方謙三との対談。こうしたいわば「不良老人」には一種憧れを感じるが、自分も含めて多くの中高年は指をくわえて読んでいるだけかもしれない。それにしても、いわば「老後の指南本」の類で、北方が放った言葉は強烈であり、そして実にシンプルでありながら、生きる本質をついていた。

◆「食えなくなったら死ねばいい」

 これは、端的に「稼ぎ」がなくなったら「暮し」を減少、消滅させればいいということを言っている。確かにその通り。さらにまた、人間は「食べる」という行為が出来なくなったら、生物学的な死を迎えるという捉えもできるなあと感心した。そういう単純明快さを忘れてはいないけれど、あまりに周りが五月蠅い。