すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

その程度の「新書まつり」

2017年10月15日 | 読書
 「新書まつり~今年も100冊読破記念」と勝手に名づけて、盛り上がって…はいないが、ジャンルの違う三冊を続けたので、ミニ感想を残しておこう。新書であれば、当然ながら一つ二つ新しい見識に触れられれば御の字だ。正直、書きつけてしまえば逆に忘れてしまうような向きもあるが、それもまたその程度のことだ。



2017読了100
 『教育改革の9割が間違い』(諏訪哲二  ベスト新書)


 現場サイドからの教育評論として「諏訪」視点の鋭さは相当だと感じてきた。
 この新書は題名から想像する中味というより、学校教育の構造的な問題を「四つのちから」「行政のちから」「教師のちから」「民間のちから」「子どものちから」のせめぎ合いとして表現している。それが分かりやすかった。
 その見方で状況を分析することで、自分の立ち位置も教えてくれる。
 著者が作ったこの箴言に参ってしまった。
 「子どもに合わせなければ教育はできない。子どもに合わせると教育でなくなってしまう。


2017読了101
 『ツカむ!話術』(パトリック・ハーラン  角川新書)


 雑誌のインタビューが面白かったので手にした。
 「ハーバード大学卒業」であることは知らなかった。
 正直へええと思ったら、冒頭から結構そのフレーズが出てきて、アレッと感じる。実はそれが一つの「話術」のポイントでもあったのだ。
 「エトス」で信用させ、「パトス」で迫り、「ロゴス」で納得させる…そんな手順を明確に語ってくれていた。
 「話し方のスタイル」に注目するところが、今の政見放送を視聴するときに役立つと思った。
 次の三点のどれを強調するかが見どころになる。
 「誰のせいなのかスタイル」
 「何が大事なのかスタイル」
 「どうすればいいのかスタイル」



2017読了102
 『「うつ」と平常の境目』(吉竹弘行  青春出版社新書)


 かかりつけのお医者さんに睡眠導入剤をもらったことがあった。
 その薬の処方箋に書かれていた衝撃!の一文字「うつ」…と、まあ在りがちなのだが、それが頭にあったからか、思わずその題名に惹かれて読み始める。
 この著者のキャリアは「引きこもり、ときどきフリーターという経験を経て精神科医」だそうである。
 しかも39歳で医師になったというのだから驚く。
 例として書かれてある様々な「患者」のパターンが面白い。
 「うつ病」をめぐる現実とは…そういえばかつて同僚に振り回されたことを思い出した。
 ともあれ一番肝心なことは、次の三つの区分だ。

 「抑うつ気分」「うつ状態」「うつ病」…みんな病気になりたがる?