すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

規則正しさが救う

2018年02月15日 | 読書

(2018020214 ベアレン今年は2種のチョコビール)

2018読了14~「村上さんのところ」へ五日間②
『村上さんのところ』(村上春樹 新潮社)



 「相談・質問・おしゃべり」を寄せた年代は様々、小学生から83歳の老女までだ。また日本人は多いが多国籍。そして内容は、作品や発言に関する質問から自分の身の上相談まで、多種多様。共通点は初心者からディープな方まで村上春樹ファンであることのみだ。総じてみると「生き方相談」の率が高い気がした。


 一面的とはいえコミュニケーションをとりたくてメールを寄せた投稿者のなか、返信をもらった1割のラッキーな方々は、返信の中味より生声(文)が聞きたい感じがありありとうかがえた。この本では目立たないが、返信の結びには「うまくいくといいね」が多いという投稿もあった。さすが「生き方指南」は面白い。

Quote 098
 僕は基本的に、人生とはただの容れ物だと思っています。(略)大事なのは容れ物じゃなくて中身です。

Quote 107
 身銭を切るって大事ですよね。他人のお金を使っていては、何も身につきません。本当に大事なことは多くの場合、痛みと引き替えにしか手に入りません。

Quote 166
 本当にやりたいことというのは、あなたがそれを見つけるよりは、向こうがあなたを見つけることの方が、可能性としては高いのではないかな


 引用した文章からは、積極性、直接性、多様性というキーワードも浮かび上がる。当然重要なことである。日々変化し、同時に変化を求めることも生きるうえでの活力につながる。しかしまた望んでいない出来事や境遇に陥ることも常であり、それらを包括して日常がある。そのために身体化したい一節が次のことだ。

Quote 224
 規則正しく生活し、規則正しく仕事をしていると、たいていのものごとはやり過ごすことができます。(略)規則正しさがすべてをうまく平準化していってくれます。