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桜と絵本と豆乳と

価値を乗せて走るバス

2018年06月04日 | 雑記帳
 録画しておいたNHK「ドキュメント72時間」に「島へ山へ走る図書館」の回があった。愛媛県松山市の移動図書館のことだった。なんと40年以上の歴史を持つ。集う人たちは確かに過疎地だけに少なかったが、借りる本を通して人生が透けて見える部分もあり、興味深かった。人が手にする本には暮らしが反映する。


 そんな時、ネットに「ブックバス(BOOK BUS by Value Books)」というネーミングの告知を見つけた。自分も利用したことのある中古書店がさばききれない本をネット上だけでなく、書店の少ない地域へ実際に出かけて販売しようというプロジェクトだ。採算がどうなのか不明だがいいセンスだなあと素直に感じた。



 実際に出かけて覗いてみると、もちろん冊数は限定されているが、なかなか面白い本揃えだった。絵本などの他に話題の本というよりややマニア的な視点で並べられているようだ。ちなみに私が購入したのは2冊。「放送禁止歌手 山平和彦の生涯(和久井光司)」「異性(角田光代・穂村弘)」。どちらも渋い?本だ。


 こんな2冊を買う者には、どんな人生が透けて見えるというのだろうか。後者は穂村弘所縁なのでさておき、前者はどこかにその対象を引きずっている自分がある。もう手元にない彼のアルバムは昔おびきゅう!で買った。一曲もヒットと呼べるものがないフォーク歌手。その生涯にどんな価値を見出せるか。楽しみだ。


 さて、世の中に一体何冊の本があるか知らないが、日に日に増え続けていることは確かだ。そしてどの本にも何かしらの価値がある。価値との出会いを仕組むこと、それが「書店」や「図書館」の役割だろう。移動図書館やブックバスは、たくさんの価値を乗せて走っていると思えば、その風景には詩情がある。