すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

酒場で同世代応援(したい)

2018年06月05日 | 読書
 「酒場」にはずいぶんご無沙汰している。テレビでそうした番組を観て我慢するしかないか。それにしてもその手の番組は増えた。太田和彦、吉田類に始まったその流れも今が全盛期か。ところで酒場で飲む酒が美味しいのは、なんといっても一仕事終えた後。それに好きな道楽の話も楽しい。藝の話はできないので…。


2018読了58
 『酒場の藝人たち』(矢野誠一  文春文庫)



 著者は演劇・演芸評論家。数々の藝人や文化人たちと交友が深く、その関わりをもとに綴られたエッセイがまとめられている。と言っても時代はほとんど昭和期といってもよい。大御所の落語家たち、マルセ太郎、イッセー尾形、太地喜和子といった個性派…そこに興味を抱く、自分の偏屈さを思わずにいられない。


 「彼(マルセ)の藝は、ごく一部のひとたちの支持だけ受けているほうが、より一層の輝きを持つ」「イッセー尾形の藝の持つ『笑い』は、たがいの傷口をなめあうような性質の笑いである」…こう続く文章は、ある意味自慢げにも見える。しかし、それはきっと「同世代を生きる藝人と連帯していた」証拠でもあろう。


 「團十郎爺」という言葉を初めて知った。それは「口を開けば『團十郎はよかった。それに較べると、いまどきの…』という台詞を吐き出す」人らしい。似たような台詞を聞いたことはあるが、自ら言った記憶はない。これは藝という視点では「生の姿」に頻繁に接することが出来る人に限られる気がするから無理か。


 少し幅を広げて音楽やスポーツ等、「同世代を生きる幸せ」を感じられるプレーヤーがいれば、それは幸せなことだ。音楽界では頂点を極め、今も君臨している存在が何人もいるが、さすがにスポーツは無理がある。監督世代もずいぶん若返っているから…。あ、いたいた、西野監督!批判、悪口に負けず頑張るんだ!