すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

気づいたら、おみなたち

2018年07月20日 | 読書
 今月は自家用車運転の旅があったり、宿題でバタバタしたり、落ち着いた読書(いつもそうではないだろうと心の声はする)ができない。未読の在庫もなく、ではと少しばかり中古書店へ行って仕入れてきた。目についた背表紙を取ってカゴに入れてみると、なんだか女性作家ばかりになってしまい…。本性が出たか。


2018読了66
 『やさぐれるには、まだ早い!』(豊島ミホ メディアファクトリー)


 本県出身の作家、ライター。高校の同級生の娘さんであり、先日の同期会で少し母親と話をした。現在は結婚され子育て中のようだ。盛んに執筆していた10年前頃に連載していたエッセイが集約された一冊。第一回「東京」は前にどこかで読んだ。強い印象が残っている。田舎から都会へ出た若者の姿が、実に象徴的に切り取られている文章だ。同時に東京という街が抱えている感情と現実が垣間見える。小説も数冊読んだが、こうした身辺雑記のタッチがなかなか心地よい。


2018読了67
 『コンビニ人間』(村田紗耶香 文藝春秋)


 二年前の芥川賞受賞作。前から気になっていた。読了してみて、審査員、書評家たち、そしてたくさんの読者はこれをどう受け止めたのかと、そんなことも気になりだした。「コンビニ」が現代社会における一つの典型であることは誰しも認めるだろう。その「店員として生まれる」ことの意味は、通常の「生」の否定が前提となるわけだが、容易に可能にならない、個であるための生き様を強く問いかけているようだ。音に着目させて場面を浮かび上がらせる手法も斬新だ。


2018読了68
 『ちいさい旅 みーつけた』(俵万智 集英社be文庫)


 仮に自分が本を出すとしたら、こんな感じの一冊がいいと思わせられた。週刊誌連載のグラビアエッセイという形だ。旅エッセイ+写真で、当然ながら文章中に短歌が一首盛り込まれる。日本全国、いろいろ渋い箇所も訪れているが、ヒトも含めて詩的風景との出逢いにしっかり気づくためには、カメラや歌づくりという「道具」が必要なのか。特にいい歌だと沁みたのは、四国でお遍路さんと話した折の一首。「旅人の荷物の中に『心』という軽くて重いものを見ており