講師 黒川が語る「女性労働者の保護」
前回と同じく「労働基準法」から、今回は「女性労働者の保護」を取り上げて
みたいと思います。より具体的な場面での性別による差別を禁ずるルールは
「労働に関する一般常識」科目の範囲である「男女雇用機会均等法」の内容と
なりますが、ここでは労働基準法で定めているルールについて紹介していきます。
大きな流れとして、かつては女性のみを対象とした制限(たとえば休日・
深夜労働等)が多く見られましたが、女性の社会進出を促進する点から男女
雇用機会均等法の趣旨に沿うよう必要な範囲で制限を撤廃してきました。
平成19年の改正では、坑内業務の就業制限についても大幅に緩和されました。
ただ、女性労働者の身体的な特徴(母性)については無視することができない
ことから、この点については引き続き制限を続けることで母性の保護を図って
いこうとしています。
まずこの点について
1 危険有害分野における女性の保護
母体保護の点から、坑内では妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事
しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性については坑内で
行われるすべての業務について、またこれに該当しない女性については
人力により行われる掘削の業務、発破による鉱物等の掘削等の業務について
の就業が禁止されています。
また、妊娠中及び出産後1年を経過しない女性については、重量物を取り扱う
業務や有害ガスを発散させる場所での業務なども、させてはならないものと
されています。
2 産前産後の休業
出産予定日の6週間(双子以上の多胎妊娠の場合は14週間)前より「本人が
休業を求めた場合」、使用者は休業させなければなりません。
産後については、出産日後8週間を経過しない期間において、(本人の希望の
有無を問わず)休業させなければなりません。ただし、6週間を経過後本人が
希望した場合かつ医師が認めた場合に限り、休業させなくてもよいとされて
います。
3 妊娠中、産後1年を経過しない女性の保護
実際には出産後、半年~1年程度、その会社の定めた育児休業を取る例が見られ
ますが、取得前及びその休業後に職場へ復帰しているケースでの場面です。
・同女性から請求があった場合、その職場が1箇月単位等の変形労働時間制を
採用していたとしても、1週間当たり40時間・1日当たり8時間の法定労働
時間を超えて労働をさせてはいけません。非常時等で臨時に必要があった場合
や36協定を結んでいたとしても時間外・休日労働をさせてはいけません。
・同じく本人から要望があった場合、深夜業もさせてはなりません。
なお、妊娠中、産後1年を経過しない女性が支店長等のポストに就く管理監督者
である場合ですが、管理監督的地位に立つ者は労働時間・休日に関する種々の
制限が適用されませんでしたが、深夜業の制限は対象となっていましたね
(不安な方は「労働時間等の適用除外」のところで確認して下さい)。
つまり、これに該当する女性が管理監督者でかつ請求をした場合、深夜業を
させてはいけないということになります。
4 生後1年未満の子を育てる女性の保護
本人から請求のあった場合、休憩時間に加えて1日2回各30分以上、育児の
ための時間を与えなければなりません。労働時間中に取り体力の回復に努める
「休憩」とは異なる性質のものであることから、勤務時間の始め・終わりでの
設定も認められ、また例えば2回まとめて1時間という設定も認められるもの
とされています。
特に3については、時間外労働・変形労働時間制度等の制度も合わせて確認を
してみて下さい。
種々の事情によるものと思われますが、現実には育児を理由に退社する女性の
方がまだまだ見受けられます。育児と仕事を両立できる環境・風潮を作って
いけないか、社労士として担うべき大きな問題ではないかと感じています。
前回と同じく「労働基準法」から、今回は「女性労働者の保護」を取り上げて
みたいと思います。より具体的な場面での性別による差別を禁ずるルールは
「労働に関する一般常識」科目の範囲である「男女雇用機会均等法」の内容と
なりますが、ここでは労働基準法で定めているルールについて紹介していきます。
大きな流れとして、かつては女性のみを対象とした制限(たとえば休日・
深夜労働等)が多く見られましたが、女性の社会進出を促進する点から男女
雇用機会均等法の趣旨に沿うよう必要な範囲で制限を撤廃してきました。
平成19年の改正では、坑内業務の就業制限についても大幅に緩和されました。
ただ、女性労働者の身体的な特徴(母性)については無視することができない
ことから、この点については引き続き制限を続けることで母性の保護を図って
いこうとしています。
まずこの点について
1 危険有害分野における女性の保護
母体保護の点から、坑内では妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事
しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性については坑内で
行われるすべての業務について、またこれに該当しない女性については
人力により行われる掘削の業務、発破による鉱物等の掘削等の業務について
の就業が禁止されています。
また、妊娠中及び出産後1年を経過しない女性については、重量物を取り扱う
業務や有害ガスを発散させる場所での業務なども、させてはならないものと
されています。
2 産前産後の休業
出産予定日の6週間(双子以上の多胎妊娠の場合は14週間)前より「本人が
休業を求めた場合」、使用者は休業させなければなりません。
産後については、出産日後8週間を経過しない期間において、(本人の希望の
有無を問わず)休業させなければなりません。ただし、6週間を経過後本人が
希望した場合かつ医師が認めた場合に限り、休業させなくてもよいとされて
います。
3 妊娠中、産後1年を経過しない女性の保護
実際には出産後、半年~1年程度、その会社の定めた育児休業を取る例が見られ
ますが、取得前及びその休業後に職場へ復帰しているケースでの場面です。
・同女性から請求があった場合、その職場が1箇月単位等の変形労働時間制を
採用していたとしても、1週間当たり40時間・1日当たり8時間の法定労働
時間を超えて労働をさせてはいけません。非常時等で臨時に必要があった場合
や36協定を結んでいたとしても時間外・休日労働をさせてはいけません。
・同じく本人から要望があった場合、深夜業もさせてはなりません。
なお、妊娠中、産後1年を経過しない女性が支店長等のポストに就く管理監督者
である場合ですが、管理監督的地位に立つ者は労働時間・休日に関する種々の
制限が適用されませんでしたが、深夜業の制限は対象となっていましたね
(不安な方は「労働時間等の適用除外」のところで確認して下さい)。
つまり、これに該当する女性が管理監督者でかつ請求をした場合、深夜業を
させてはいけないということになります。
4 生後1年未満の子を育てる女性の保護
本人から請求のあった場合、休憩時間に加えて1日2回各30分以上、育児の
ための時間を与えなければなりません。労働時間中に取り体力の回復に努める
「休憩」とは異なる性質のものであることから、勤務時間の始め・終わりでの
設定も認められ、また例えば2回まとめて1時間という設定も認められるもの
とされています。
特に3については、時間外労働・変形労働時間制度等の制度も合わせて確認を
してみて下さい。
種々の事情によるものと思われますが、現実には育児を理由に退社する女性の
方がまだまだ見受けられます。育児と仕事を両立できる環境・風潮を作って
いけないか、社労士として担うべき大きな問題ではないかと感じています。