今回は、平成26年-労基法問3-オ「賃金全額払の原則」です。
☆☆======================================================☆☆
労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の
賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって
相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、
その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである
場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。
☆☆======================================================☆☆
「賃金全額払の原則」に関する出題です。
次の問題をみてください。
☆☆======================================================☆☆
【 18-2-B 】
最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる賃金
全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止
し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすこと
のないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が
労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する
趣旨をも包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意
した場合においては、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものである
と認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意を得てした
相殺は当該規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である、とされ
ている。
【 25-7-エ 】
いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、
もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことの
ないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるとするのが、最高
裁判所の判例である。
☆☆======================================================☆☆
いずれも最高裁判所の判例からの出題です。
で、これらの判例は、使用者が一方的に賃金を控除することは禁止されており、
労働者に対して有する債権と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺
することは認めないということをいっています。
ただ、相殺について例外もあり、【 18-2-B 】にあるように、
「労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」には可能となります。
ですので、【 18-2-B 】と【 25-7-エ 】は正しいです。
そこで、【 26-3-オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述があります。
【 18-2-B 】の場合とはまったく異なる場合になりますが、この場合は、相殺は
認められません。
最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権を
もって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。
このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変りはない」
としています。
つまり、労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。
とういうことで、【 26-3-オ 】は誤りです。
それと、これらとは、異なる判例が
【 21-選択 】
賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払
われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段
たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の
( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第24
条第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが最高
裁判所の判例である。
というように選択式で出題されています。
Bの空欄には、「経済生活の安定」が入ります。
最近は、択一式、選択式、いずれについても判例が頻出です。
ですので、過去に出題された判例は確実に押さえておきましょう。
1度出題されたもの、繰り返し出題されることが多いですから。
☆☆======================================================☆☆
労働基準法第24条第1項に定めるいわゆる「賃金全額払の原則」は、労働者の
賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権をもって
相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当であるが、
その債権が当該労働者の故意又は過失による不法行為を原因としたものである
場合にはこの限りではない、とするのが最高裁判所の判例である。
☆☆======================================================☆☆
「賃金全額払の原則」に関する出題です。
次の問題をみてください。
☆☆======================================================☆☆
【 18-2-B 】
最高裁判所の判例によると、労働基準法第24条第1項本文の定めるいわゆる賃金
全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止
し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすこと
のないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるから、使用者が
労働者に対して有する債権をもって労働者の賃金債権と相殺することを禁止する
趣旨をも包含するものであるが、労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意
した場合においては、当該同意が労働者の自由な意思に基づいてされたものである
と認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、当該同意を得てした
相殺は当該規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である、とされ
ている。
【 25-7-エ 】
いわゆる全額払の原則の趣旨は、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、
もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活を脅かすことの
ないようにしてその保護を図ろうとするものというべきであるとするのが、最高
裁判所の判例である。
☆☆======================================================☆☆
いずれも最高裁判所の判例からの出題です。
で、これらの判例は、使用者が一方的に賃金を控除することは禁止されており、
労働者に対して有する債権と労働者の賃金債権とを使用者側が一方的に相殺
することは認めないということをいっています。
ただ、相殺について例外もあり、【 18-2-B 】にあるように、
「労働者がその自由な意思に基づき当該相殺に同意した場合」には可能となります。
ですので、【 18-2-B 】と【 25-7-エ 】は正しいです。
そこで、【 26-3-オ 】で、「この限りでない」と相殺が許される記述があります。
【 18-2-B 】の場合とはまったく異なる場合になりますが、この場合は、相殺は
認められません。
最高裁判所の判例では、
「労働者の賃金債権に対しては、使用者は、使用者が労働者に対して有する債権を
もって相殺することを許されないとの趣旨を包含するものと解するのが相当である。
このことは、その債権が不法行為を原因としたものであっても変りはない」
としています。
つまり、労働者の不法行為を理由とする損害賠償債権との相殺の場合であっても、
使用者による一方的な相殺は賃金全額払の原則に違反することになります。
とういうことで、【 26-3-オ 】は誤りです。
それと、これらとは、異なる判例が
【 21-選択 】
賃金の過払が生じたときに、使用者がこれを精算ないし調整するため、後に支払
われるべき賃金から控除することについて、「適正な賃金の額を支払うための手段
たる相殺は、〔…(略)…〕その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の
( B )との関係上不当と認められないものであれば、同項(労働基準法第24
条第1項)の禁止するところではないと解するのが相当である」とするのが最高
裁判所の判例である。
というように選択式で出題されています。
Bの空欄には、「経済生活の安定」が入ります。
最近は、択一式、選択式、いずれについても判例が頻出です。
ですので、過去に出題された判例は確実に押さえておきましょう。
1度出題されたもの、繰り返し出題されることが多いですから。