選択式の問題について、前回は労働関連の4科目について記述しましたが、
今回は社会保険関連の4科目です。
「社会保険に関する一般常識」は、
「国民健康保険法」「船員保険法」「児童手当法」と「確定給付企業年金法」に
関する問題でした。
いずれも法令からの出題で、基本的な内容といえます。ただ、社会保険に関する
一般常識は、基本であっても学習から漏れていたり、正確に記憶していなかったり
しているため、正しい選択肢を選べなかったものもあるでしょう。
Eは、確定給付企業年金法の脱退一時金に関する問題ですが、他の空欄に比べて
正解率が低いようです。もしかしたら、確定拠出年金法の脱退一時金と混同して
しまったという受験者が多かったのかもしれません。
全体でみれば、基準点の引下げが行われるような内容とはいえません。ただ、前記
のようなことから平均点が低くなってしまった場合(可能性としては低いですが)、
引下げが行われるということもあり得ます。
「健康保険法」は、数字関連を空欄にするという傾向があり、令和3年度も2つの
空欄が数字関連でした。
その2つのDとEは、「標準報酬月額の等級区分の改定」に関するもので、
平成21年度に出題された実績があるので、確実に解しなければいけません
(正解率はかなり高いようです)。
AからCは、「特定保険料率」に関するもので、基本的な内容です。
ただ、Bの空欄は選択肢が長いことから、迷われた可能性があるかもしれませんが、
正解しておくべきレベルです。
そのほかの空欄も難しいとは言えないので、3点以上確保することは容易でしょう。
そのため、基準点の引下げはないでしょう。
できれば、「4点」を取っておきたい問題です。
「厚生年金保険法」は、
Aは「賞与の定義」、BとCは「交付金」、DとEは「適用事業所の一括」に関する
問題で、いずれも基本的な内容でした。
「交付金」の規定は学習が疎かになりがちな項目なので、Bは正解率が低い
ようです。
「適用事業所の一括」は平成9年度の記述式で出題された実績があり、択一式
でも出題されているので、正しい選択肢を選ばなければいけない問題です。
ただ、選択肢に、「承認を受けて」だけではなく、「認可を受けて」などがあり、
記憶が正確に定着していないことで、どちらなのか迷ってしまったということも
ありそうです。
そうであっても、基準点が2点に下がることはないでしょう。
「国民年金法」も厚生年金保険法と同様、いずれも基本的な内容で、問題文1
(AからC)の「調整期間」は、平成18年度の選択式で出題されています。
DとEは「公課の禁止」に関する規定で、基本的な内容ですが、Dについては、
記憶が曖昧で
「給付として支給を受けた金銭を基準」と「給付として支給を受けた金銭を標準」
で迷ってしまったということもありそうです。
とはいえ、3点を確保することは難しくはないでしょう。
そのため、基準点の引下げの可能性は低いでしょう。
全体として、前年度の問題と比べた場合、大きく変わったということはないので、
受験者のレベルに大きな変化がないのであれば、トータルの基準点については、
昨年度と比べて大きく変わることはなく24点、25点ではないでしょうか。
正式な基準点は、合格発表までわかりませんが、今年度の問題も、多くは、
どれだけ知識を正確に定着させていたか、この点が、得点に大きく影響した
ようです。