和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

新年「本のよみうり堂」。

2019-01-06 | 書評欄拝見
1月だけ読売新聞を購読することにして、
今日は日曜日。読書欄がある日。

さっそく、書評に魅せられて、
新刊2冊注文してしまう(笑)。


読売新聞の書評欄で
小説など読まない私なのに、
村田喜代子著「エリザベスの友達」(新潮社)が
岸本佐和子さんの書評で掲載されており、気になる。
気になるので、ネット注文。
岸本さんの書評の
はじまりは、

「結婚してすぐ天津に渡り、敗戦とともに
苦労して引き揚げてきた97歳の初音さんは、
今は九州の有料老人ホームで暮らしている。
訪ねてくる娘たちを『誰だこの女』という目で見、
名を問われれば『エリザベス』と答え、
夕方になると『それではお暇いたします』と
どこかに帰ろうとする、
まあ立派な認知症老人だ。」


この書評の最後は、

「読みながらずっと考えていたのは、
一昨年他界した自分の父のことだ。
父も最後のほうは郷里の丹波篠山にいるつもりになって、
言動がいろいろとシュールだった。
ひどくうろたえたけれど、
あれもきっと自由になっていたのだな。
あの時に戻っていろいろと訊ねてみたいけれど、
親は一度しか死んでくれない。」


もう一冊。
加藤徹氏が書評しておりました。
中島恵著「日本の『中国人』社会」
(日経プレミアシリーズ・850円)。

こちらも書評を紹介。
はじまりは

「在日中国人の数は、高知県の人口と同じだ。
約73万人で、なお急増中である。
フリージャーナリストである著者は、
多数の在日中国人に取材し、
その生き方や本音を紹介する。・・・
『日本の教育はゆるすぎる』
『中国のほうが数学や理科の授業は進んでいる』
という親の声は、耳が痛い。
『日本にいればマイホームを持つという
夢を比較的簡単に実現できる』
という中国人が考える理由も示唆的だ。
中国のGDPは日本の約3倍になったが、
大都会のマンション価格は日本より高くなり、
戸籍による差別も残る。
日本は平等で、中国人でもローンを組める。
・・・・・」


はい。新年の書評で、本をネット注文。


そういえば、私は地方に住んでおります。
ちょっと昔、新刊を注文して1週間はかかっておりました。
すぐに読みたければ、都会へと買いにでかける。

そんなことをしている頃に、IBMのコマーシャルがあった。
ネットで本が地方にいても簡単に届く手軽さを宣伝してた。
日本でも、そんな社会が身近になるんだなあ。
そう思っていたら、いつのまにかそうなっている。

そんな、ちょっと昔のことが思い浮かぶ、新年です(笑)。


そうそう。私は産経新聞を定期購読しております。
今日の、産経新聞の読書欄をひらくと、
こちらにも、村田喜代子著「エリザベスの友達」
と「日本の『中国人』社会」の二つとも
書評が挙げられておりました。
けれども、産経の書評では、買おうという気になれなかった。
ちなみに、「日本の『中国人』社会」は
産経では、無署名の小さい紹介書評なのでなおさら。

うん。産経の書評をけなすのも何なので、ほめます。
産経の「この本と出会った」のコーナーはよかった。
建築家・伊東豊雄氏が武満徹著「音、沈黙と測りあえるほどに」
を紹介しておりました。そこで伊東氏は、
その出会いを、こう指摘しておりました。

「他人に語りかけると言うより、自ら熟考を重ね、熟考の末に
自らに語りかけているような文章に強く惹かれた。」


新年早々、このような言葉を新聞に拾えるよろこび。
これも、一月は、新聞を二紙購読の御利益かも(笑)。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする