和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

一人前の読者のスタイル。

2019-01-15 | 道しるべ
外山滋比古著「伝達の整理学」(ちくま文庫)を購入。
はい。新刊・2019年1月10日第一刷とあります。
帯には「待望の文庫書き下ろし」とある(笑)。

読ませていただきました。一箇所引用するとすれば
この箇所かなあ。

「本を読むのも受け手である。
それなのに、読者はみずからの受容のスタイルをもたない。
著者、筆者と完全に一体化することを理想とするが、
そんなことのできるわけがない。・・・・

一人前の読者は、みずからの読みのスタイルを
もっていなくてはならない。できれば
みずからの読みのスタイルが
どういうものかを自覚していたい。
そういうことを考えない読者にとって
読書は、知識習得には役立っても、人間としての
知性を高めることは困難である。
心ある読者は、創造的理解をもつことによって
文化を生むことができる。
モノマネに終わる読者、学習は、
スタイルを欠いた受容から生まれる。
・・・新しい価値を生むには、
創造的読解が有力な手がかりになる。

受け手のスタイルがほとんど顧慮されていない社会で、
受容のスタイルを確立する意義は小さくない。
・・・」(p87~88)


外山氏の言葉は、毎回各パーツは同じように見えて、
まるで、同じ積み木をばらしては、まったく新しい
積み木の家を、こしらえているかのように読めてくる不思議。
今回、『みずからの読みのスタイル』を問われているようで、
何だか途中で読むのをやめるわけにもいきませんでした(笑)。

コメント
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