和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

新鮮な反復(リフレイン)。

2022-12-29 | 道しるべ
風塵抄から引用。

「民を新たにしつつ、みずからも新たにならねばならない。

 伊尹(いいん)の王の湯(とう)は、毎朝顔をあらった。
 かれはそのための青銅製盤に、9つの文字を彫りつけた。

 その銘にいう。 苟日新 日日新 又日新 。

  苟(まこと)ニ日ニ新(あらた)ナリ
  日日(ひび)新ナリ
  又(また)日ニ新ナリ

 新ということばが反復(リフレイン)されていて、こころよい。 」

    ( 司馬遼太郎著「風塵抄」の 56『新について』から引用 )



『新』ということで、思い浮かぶのは、
大村はま/ 苅谷剛彦・夏子「教えることの復権」(ちくま新書)。


夏子】 ・・・大村国語教室の一つの特徴として、30数年間で
    同じ単元を繰り返さなかったということが言われますね。・・

大村】他の人に向って、繰り返すべきでないと言うつもりはないです。
   第一、小学校などでは同じ教科書を何年か使わざるを得ないでしょう。
    
   繰り返してはいけないというわけではない。私にとって
   繰り返さないということは、教材としての理由というよりは、

   教室へ出る自分の姿をよい状態で保つ、主にそのための工夫でした。
   なにせ新しいものを持って教室に出るというときは、
   新鮮で、誰よりも自分がうれしいですよ。

夏子】それはそうでしょうね。その先生のうれしさが伝わって子どももうれしいし。

大村】そうね。なんとなくね。教師のもっともいい姿は、
   新鮮だということと謙虚だということですよ。

   中学生なんていうのは生意気でね、
   まだ小さいのになんとも言えない誇りを持っているのよ。

   だからちょっとでも未熟というふうに見られるのは、
   大人が想像できないほど嫌いですよ。

   新しい単元を持って出るときに、
   私はちっとも得意ではないのですよ。心配。
   大丈夫かな、うまくいくかしらって心配している。謙虚になっている。

   その少し心配している気持ちがとても子どもに合うのよ。
   新鮮で謙虚ということを間違いなくやろうと思ったら、

   新しい教材に限るんです。
   苦労することなく、自然に、よい状態を保つことができる。
   手慣れてくるとあぶない。・・・・       ( p66~67 )


うん。もうすこし引用をつづけたいけれど、ここまでにします。
新年にむかい『新』の反復ということで司馬遼太郎に大村はま。
コメント (2)
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