オノマトペといえば、私に思い浮かぶのが
山口仲美編「暮らしのことば擬音擬態語辞典」(講談社・2003年)なのですが、
ここに擬音語擬態語に、新しい眺望がひらける本が出ておりました。
今井むつみ・秋田喜美著「言語の本質」(中公新書・2023年)
副題が「ことばはどう生まれ、進化したか」。
言語と身体の関わりについての着眼点を『記号接地問題』として
本書ではとらえられているようです。
「 オノマトペ? そう、『げらげら』とか『ふわふわ』とか、
日本人の生活になくてはならない、あのコトバである。
実は、『オノマトペ』は今、世界的に注目されている。
それも『ちょっと変わったおもしろいコトバ』としてではない。
言語の起源と言語の習得の謎を明らかにする上で大事なコトバ、
『言語とは何か』という哲学的大問題を考える上で
大事な材料として脚光を浴びているのである。・・・・・・
・・秋田(喜美)は、・・一貫して、他言語との比較や
言語理論を用いた考察により、オノマトペがいかに言語的な
特徴を持つことばであるかを考えてきた。
・・今井(むつみ)は認知科学、発達心理学の立場から、
言語と身体の関わり、とくに音と意味のつながりが
言語の発達にどのような役割を果たすのかという問題に興味を持ち・・
二人でオノマトペ談義をしていると、いつも最後は
『オノマトペとは』ではなく、『言語とは』という問題に
話が跳んでしまうことに、あるとき気がついた。・・ 」
( 「はじめに」から )
そういえば、とあらためて思い浮かんでくるのは、
山口仲美氏が2014年に「大学教授がガンになってわかったこと」
(幻冬社新書)を出版されていたことでした。