「日本わらべ歌全集3」は「秋田山形のわらべ歌」の巻。
はい。方言が印象的。
はじめにある「秋田わらべ歌風土記」の解説に
「由利郡の方言で、秋田県ではそこにだけみられることばに、
『 でろ 』がある。これは『 だろう 』の意を持つことばで、
『 であろう 』が『 でろ 』に変化したものと考えられているが、
山形県庄内方言の影響だといわれている。 ・・・・ 」(p22)
方言がふくまれる、わらべ歌ということで紹介するのは、
秋田の 『 ねんぶり流した 』 『 ねぷた 』 。
「田の草取りは夏の暑いさかりである。作業の途中でおそってくるのは、
睡魔。眠けは作業にとって、いちばんのやっかいものだから、
なんとか眠りを払おうとするわけで、そこから眠けを追いやる祭り
が生れるのも当然というものであろう。
それが鹿角市の『 ねぶた 』や、本荘市周辺の『 ねんぶり流し 』
であり、7月7日の前後に行われる。
県南の七夕行事や、秋田の竿灯(かんとう)も、もともとは、
眠り流しの行事であった。『 ねぷた 』は、
北秋田郡森吉町の周辺では、『 ねぶた 』と発音される。 」(p128)
最後には、その『 ねむり流し 』を引用。
ねんぶり流した ( ねむり流し )
ねんぶり流した 流したよ
さあ流した 流したよ
今年豊年 七夕まつり オオエヤ エヤヤ
ろうそく出せ 出せや
出さねばぶっちゃくど おまけにかっちゃぐど
ねんぶり流した 流したよ
さあ流した 流したよ ( 本荘市中横町 )
注: ねんぶり流した = 眠り流した
ぶっちゃぐど = 打ち裂くぞ ( 「ぐ」は鼻濁音ではない )
かっちゃぐど = 引っかくぞ
ねぶた ( ねむり流し )
ねぶたが流えろ
家さ行(え)て どんぶひ ( 鹿角市八幡平 )
注: どんぶひ = 「胴伏せろ」の秋田訛り。寝なさいの意。
「 ひ 」は「 しなさい 」の意の秋田方言。
( p126~128 「日本わらべ歌全集3」柳原書店 )