和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ねむり流し

2024-10-29 | 詩歌
「日本わらべ歌全集3」は「秋田山形のわらべ歌」の巻。
はい。方言が印象的。
はじめにある「秋田わらべ歌風土記」の解説に

「由利郡の方言で、秋田県ではそこにだけみられることばに、
 『 でろ 』がある。これは『 だろう 』の意を持つことばで、
 『 であろう 』が『 でろ 』に変化したものと考えられているが、 
 山形県庄内方言の影響だといわれている。 ・・・・   」(p22)


方言がふくまれる、わらべ歌ということで紹介するのは、
秋田の 『 ねんぶり流した 』 『 ねぷた 』 。

「田の草取りは夏の暑いさかりである。作業の途中でおそってくるのは、
 睡魔。眠けは作業にとって、いちばんのやっかいものだから、
 なんとか眠りを払おうとするわけで、そこから眠けを追いやる祭り
 が生れるのも当然というものであろう。

 それが鹿角市の『 ねぶた 』や、本荘市周辺の『 ねんぶり流し 』
 であり、7月7日の前後に行われる。
 県南の七夕行事や、秋田の竿灯(かんとう)も、もともとは、
 眠り流しの行事であった。『 ねぷた 』は、
 北秋田郡森吉町の周辺では、『 ねぶた 』と発音される。  」(p128)

最後には、その『 ねむり流し 』を引用。

      ねんぶり流した   ( ねむり流し )

   ねんぶり流した 流したよ
   さあ流した 流したよ
   今年豊年 七夕まつり オオエヤ エヤヤ
   ろうそく出せ 出せや
   出さねばぶっちゃくど おまけにかっちゃぐど
   ねんぶり流した 流したよ
   さあ流した 流したよ       ( 本荘市中横町 ) 


注:  ねんぶり流した = 眠り流した 
    ぶっちゃぐど  = 打ち裂くぞ ( 「ぐ」は鼻濁音ではない )
    かっちゃぐど  = 引っかくぞ


        ねぶた   ( ねむり流し )

    ねぶたが流えろ
    家さ行(え)て どんぶひ    ( 鹿角市八幡平 )


 注: どんぶひ = 「胴伏せろ」の秋田訛り。寝なさいの意。
           「 ひ 」は「 しなさい 」の意の秋田方言。


          ( p126~128 「日本わらべ歌全集3」柳原書店 )
     
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする