和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

何度読み返したかなあ。

2015-05-31 | 短文紹介
雑誌「will」7月号の蒟蒻問答は
35年間産経抄を書かれた名コラムニストの
石井英夫をゲストにしての鼎談でした。

途中に、安倍首相の米議会演説の話題に
なり、そこで、この指摘がありました。


堤】 安倍のスピーチライターは谷口智彦
という人物だ。彼が原案を書き、スタッフと
安倍自身が手を入れて仕上げる。
彼は東大法学部卒、IT企業だったかな、
会社勤めのあと、『日経ビジネス』の記者に
なった。ロンドンに派遣され、なんと外国プレス
協会の会長になった。見識と英語力だね。
俺はロンドンで調べ物をした時に、
彼の世話になった。
その後、アメリカに渡り、プリンストン大学の
客員研究員やブルッキングス研究所の研究員を
兼任。数年、中国に滞在して、日本に帰ってから
内閣の外務参与になった。彼が書いた
『通貨燃ゆ』(日経ビジネス文庫)は
ホントに面白い。何度読み返したかなあ。
(P264)


という箇所があり、気になり、
古本で単行本を購入することに、
単行本の第一刷は2005年とあります。

たとえば、第五章「ユーロの宿命」には、

「ユーロに規模と範囲のメリットを持たせる
ため欠かせないと目された英国の加入が、
一向に実現しようとしない。この点は
英国内外の人々にとって、予想を裏切る
展開だった。」

とあり、この章の最後をこう
しめくくっておりました。

「歴史的にみた場合、英国が今日ほど
自己像の混乱に悩まされたことはかつて
なかったと思われる。・・・・・・
一言にしていえば、米国、欧州に挟まれ
どちらの影にも影響を受けざるを得ず、
どちらからの信頼も十全には得ることが
できない憂鬱な立場にある。そして既に
言うまでもないことながら、欧州を
中国や中国ならびにアジアと言い換えるなら、
英国が置かれた環境はそのまま近未来の日本
のものであるだろう。その意味で英国は
日本にとって何かと参照すべき対象であり
つづける。(P229)


素人にもわかりやすい言葉で、
スラスラと読め、頭にはいる。
『ホントに面白い。何度読み返したかなあ。』
という、指摘に感謝です。

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