和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

もろい構造。

2012-09-12 | 短文紹介
佐高信・田中優子対談「池波正太郎『自前』の思想」(集英社新書)。
対談なので、何気なくも3・11に関係するような言葉がひろえます。
第二章「遊びに磨かれて」に、それはありました。


田中】 近代は、ずっと失敗しない仕組みをつくろう、つくろうとしてきました。でも、それが逆にもろい構造をつくってしまったように見えるんです。『絶対に安全です』とか、『絶対に事故は起こりません』とか、そういうことになっていたけれど、そんなことはなかったわけで。システムにも、組織にも、人間関係にも、『遊び』がないとダメですね。(p79)

田中】 学生たちは就職活動中に、何度も何度もエントリーシートに自己PRや自分の優れているところを書いているうちに、それが本当の自分だと信じ込んでしまうんですね。根拠のない自信を持つ学生がけっこういて。いささか恥じらいのない姿になる。(p80)
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いささかの誇張もなく。

2012-09-12 | 短文紹介
本を読んで、そこに引用されている本を
注文するときはたのしみですね。

佐高信・田中優子対談「池波正太郎『自前』の思想」(集英社新書)に
中公文庫の「又五郎の春秋」を引用しておりました。
さっそく、古本屋へと注文。

とりあえず、そこの箇所を引用。


田中】 中村又五郎が国立劇場の研修生に教えるとき、覚悟してやれ、と言うんですね。若い役者さんたちにとっては、又五郎が世間だったのではないかと思うんです。世間という学校です。(p49)

このあとに、田中さんは引用しているので、その引用箇所(「又五郎の春秋」)

「これからは短い期間で、あなた方を訓練しなくてはならないので、講師の方がたは非常にきびしい。あなた方は、いろいろと、きびしいことをされてきた人もいるだろうけれども、それ以上に、きびしいとおもいます。それから敬称を略します。お前とかキサマとかいうことになるとおもいます。それを覚悟しておいて下さい。それに堪えられなかったら、やめてもらったほうがいい」
 そして又五郎は、いささかの誇張もなく、淡々として、こういった。
「そのかわり、ここを卒業すればあなた方が、どうにかなれるというように、責任をもって教えます」


この頃では、本を読んでいる途中でも、
ごく普通に、古本を注文しております。
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恩送り。

2012-09-11 | 短文紹介
産経歌壇(2012年7月4日)
伊藤一彦選のはじめに

 ささやかな恩送りとして
    肩をかす車内で眠る就活生に
     川崎市・大平真理子

その選評は
「恩送りとは、誰かから受けた恩をその人でなく別の人に送ることだ。『ささやかな』その場面の具体的描写が生きている。かつての恩義を忘れぬ清々しい心。」
とあります。

そういえば、
佐高信・田中優子「池波正太郎『自前』の思想」(集英社新書)を
パラパラとめくっていたら、第三章「家族の肖像」に、こんな対談箇所がありました。

田中】 あるお寺に行ったときに『恩送り』という言葉を聞いたんです。恩返しの中に恩送りというものがあるそうなのですが、誰かから恩を受けたとき、その人に返すのではなくて、まったく別の人にお返しをすることです。そうやって、恩を送っていくという考えかたなんです。実際に江戸時代の言葉としてありました。
佐高】 なるほど。普通は恩を受けた相手にと考えるところだけど。恩を受けた人に返すんじゃないところが面白いですね。一対一の人間関係の枠を超えた考えかただと思います。恩そのものをお返しするということなんでしょうね。次の世代に送るという考えかたであるとも考えられますね。・・・・(p114)


ということで、
いま「池波正太郎『自前』の思想」という対談を読んでいます。
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オカモノ(陸に住む者)。

2012-09-10 | 短文紹介
今日は10日でした。
雑誌「VOICE」10月号を買ってくる。そういえば、
だいぶ前から、文芸春秋は買っておりません。
大前研一氏の文があったので読む。

「2009年の総選挙で国民は民主党を圧倒的に支持したが、気がついてみると関係のない二つの小政党が政権にもぐり込んで、日本政治を引っかき回した。それをなすすべなく、国民は見守るしかなかったのである。
時の政権では、選挙を戦ったときの総裁が首相をやらなければならない。あるいは連立において、思想の異なる政党を一緒にしてはいけない。そうしたルールを明文化しなければ、まだまだこの国の混乱は続くだろう。」(p103)

VOICEの巻末エッセイ「平成始末」は山折哲雄氏の連載。
その最初と最後を引用。


「3・11から一年半の時間が経ち、ようやく民俗学者・川島秀一氏の仕事、『津波のまちに生きて』の存在感が輝きを放つようになった。」

こうはじまり、最後を少し長く引用。

「その川島さんによれば、こんどの災害の直後に提案された住民の高台移住や漁港の集約化などの計画は、『幼児の戯れに描いた机上の空論』にすぎない。なぜならそれらの議論は、『漁師の生活と生業を分離』しようとする『オカモノ(陸に住む者)』の発する論理にすぎないからだ。あらためてこの一年をふり返るとき、国による復興計画なるものが、まさにこの川島さんの危惧する方向で実現されつつあるではないか。ヒトとモノとカネの流れは、いずれかならず跡絶えるときがくる。そのときどうするのか。川島さんの問題提起がますます重みをましてくることは、まず間違いないであろう。」


うん。川島秀一著『津波のまちに生きて』(冨山房インターナショナル)を読もう。
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司馬さん、遼なり編。

2012-09-09 | 地域
なんとなく思いたって、
産経の古新聞を、今日整理。
関厚夫氏の連載「次代への名言」をまとめて抜き出す。
オリンピックの写真が並ぶ期間の新聞を
たんたかたんと処分してゆく。


ちなみに、
関厚夫氏の連載では、
「司馬さん、遼(はるか)なり編」は94回でおわり。
いまは、「司馬作品で読む日本史」の「幕末・維新編」が
8月31日までで25回。

司馬遼太郎の小説を読んでない。
そういう私に、ぴったしの連載だなあ。
といっても、切り抜くだけで、まだ未読(笑)。

とりあえず、一か所引用
2012年5月6日「次代への名言」「司馬さん、遼なり編⑥」

「知的で無私で情熱的な持続力をもった面白がりが、
たくさん居れば居るほど、その社会は上等
――といえば語弊があるが――楽しくなる
 (司馬遼太郎『街道をゆく・耽羅(たんら)紀行』) 」



夕方、注文してあった新刊2冊が届く。

白川浩司著「遥かなる『文芸春秋』」(小学館)

「佐々淳行の危機の心得 名もなき英雄たちの実話物語」(青萠堂)
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残りの2%。

2012-09-08 | 短文紹介
ドナルド・キーン(角地幸男訳)「正岡子規」(新潮社)を
途中から読みました。後ろから読み始めて、
いま第六章までもどってきました(笑)。

読みながら、わかりやすくて、
貴重な水先案内人を得たよろこびを味わえます。

ここで、脱線します。
板坂元著「発想の智恵表現の智恵」(PHP研究所・新書サイズ)に
アルバート・メーラビンの説が紹介されています。
まずは、それを引用。

「手紙を書くことによるコミュニケーションは、
面と向かって話すことや電話で話すことよりも難しい。
アメリカの社会人類学者アルバート・メーラビンの説によると、
実験の結果、右(下)のような公式が成り立つ。
目とか口などで相手に通じるものがもっとも有力で、
つぎに声の調子、そして言葉によってわずかなものが相手に伝達されるというわけだ。つまり、面と向かって話せば100%、電話で話せば45%、手紙で書けば7%しか効果が上がらないことになる。だから『手紙を書くように』というのも、説得のためには相当に難しい仕事と覚悟しなければならない。
文章も、文体とか言葉づかいは別にしても、欲を言って『手紙を書くように』からさらに一歩進んで『面と向かって話すつもり』『電話をかけて説明する』といった気持ちで書くように努力すべきなのだろう。」(p73)

う~ん。こうして引用していると、
思っていたのとは、また別の感慨が浮ぶのですが、
私が『正岡子規』を読みながら思ったのは、
日本人が正岡子規を語るとき、
案外に同じ日本人が読むことを前提に、すすめている安易さがあり。ドナルド・キーン氏の正岡子規を読んでいると、何か、そこからふっきれて、別の世界を読ませて頂いているような気分になります。
この違いはどうしてなんだろう?
ということを思っていたのでした。
そういえば、
板坂元著「考える技術・書く技術」(講談社現代新書)に
こんな箇所がありました。

「大学の教育ぐらいで、95点平均をとるのは頭のよい学生にとっては、そんなに難しいことではあるまい。努力さえ積めば、優等生になるのは簡単なことだ。けれども、そういう受け身の知識や教養は、そのあとに来る独創の世界とは別なものである。人生の98%までは、これまでの社会によってつくり上げられた文化・考え方のつみ重ねであろう。そして、個々人が勝負するのは、けっきょく、残りの2%のところなのである。」(p124~125)


たとえば、ドナルド・キーンさんは
祖父母の後妻だった子規の養祖母を詠んだ新体詩の長篇を
「この新体詩は、あまり引用されることがないが、子規の俳句や短歌と同じく私を感動させる。」(p170)なんて箇所があったりします。

まあ、全部を読んだわけじゃないので、
これくらいにして、
最後のほうにこうあります。

「子規が偉大なのは、著名な俳人の欠如や西洋の影響下にある新しい詩形式の人気のために、俳句が消滅の危機に晒されていた時に、新しい俳句の様式を創造することで同世代を刺激し、近代日本文学の重要な要素として俳句を守ったからだった。」(p266~267)

ついでに、最後も引用。

「詩人たちがむしろ好むのは、俳句や短歌を作ることで現代の世界に生きる経験を語ることだった。これは、子規の功績だった。」(p269)


なお、最後には、註・参考文献・索引などで40ページほどをついやしております。
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清水の十八番。

2012-09-07 | 地震
まだ、汗をかきます。寝汗。
ちょいと、おきると上着をとりかえないといけません。

さてっと、
昨夜は、寝たりおきたりの間に
竹内洋著「メディアと知識人 清水幾太郎の覇権と忘却」を
読みおえました。私には、あまり印象に残らない一冊。
けれど、清水幾太郎を読みたいと思っているので、
これで、どれを読むか。どれを読まなくてもいいや
という見当がつけられましたので感謝。

この竹内洋氏の本では、
第六章「アラーミストに」が参考になりました。
ので、そこを引用していきたいと思います。

竹内氏ご自身の学生時代の読書での清水幾太郎に
ふれておられる箇所に

「わたしにとっては、清水の過去の論稿によって編集された、1968(昭和43)年に刊行された『日本的なるもの』(潮新書)のほうが、よほど面白かったことを憶えている。これは日本文化論ブームに棹さしたものである。あとにふれることになるが、ここに所収されている『日本人の自然観』や『匿名の思想』『庶民』は、いま読んでも名論文だと思う。」(p277)

ここも引用しておきます。

「地震こそ清水の十八番である。清水は、16歳のとき関東大震災(1923年9月1日)で被災する。死者・行方不明者10万人余。二学期の始業式を終えて、自宅で昼食をとっているときである。激しい振動で二階がつぶれた。落ちた天井を夢中で壊して這いあがった。地震のおそろしさを経験した清水はそのときの朝鮮人虐殺にいたる噂の伝播などから『流言蜚語』を書き、60年安保闘争の最中に関東大震災を題材にした『日本人の自然観――関東大震災』を書いた。・・・」(p290)


つぎに、何度でも引用しておきたい箇所。

「敗戦直後、一人娘の禮子(左の示はネの方)が通う立教女学院の生徒たちに話したことをもとにしたものであるが、清水はつぎのようなことも書いている。

 清水の家も商売も関東大震災で壊滅した。父は急に老人のようになってしまった。清水は旧制中学生(16歳)だったが、長男で、父母、弟妹を養う役目を背負った。焼け跡にバラックをつくり、そこで商売をはじめ学校に通いだす。新しい力が湧いてきた。自分が別人のようになったことを感じた。それから22年後、今度は敗戦で東京は焼け野原となった。清水は関東大震災のときの自分と同じ年頃の敗戦直後の生徒を前にしてこういった。
自分は、敗戦で関東大震災のときの父や母のように力を落としていますが、みなさんのほうは若いときの私のように不思議な力を感じているのではないか。大きな重苦しい問題に気づきながらも、新しい元気でニコニコしているのではないか。皆さんの若さからくる不思議な新しい力で『この不幸な日本の本当の巣立ちのために働いてくれることを深く信じてゐます』と結んだ(「巣立ち」『日本の運命とともに』)。清水にこう励まされた世代こそ戦後の復興を担った人々だった。清水の地震関係の論文はいまでも読み直されてよいとしたが、この言葉もまた東日本大震災のあとの時代に思いだされてよいものである。」(p295~296)

さてっと、
これで、昨年ちくま学芸文庫から出た
清水幾太郎著「流言蜚語」へと読み進められますように。

え~と。昨日はブログの更新を怠りました。
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訓練された世代。

2012-09-05 | 地域
坂井スマート道子著「父、坂井三郎」(産経新聞出版)を読んで、思い浮かんだのが曽野綾子さんのエッセイでした。どうも、その箇所はまだ単行本になっておりませんでした。

WILL2011年5月号の曽野綾子氏の連載「小説家の身勝手」第四十章『ゲリラの時間』に、それはありました。

「・・・私たち戦争によって子供時代に訓練された世代は、今度のことで全く慌てなかった。おもしろい事象がたくさん起こった。烈しい揺れが来た時、決して若くはな私の知人の数人は食事中であった。彼らは、普段より多く食べておいたと告白している。家に帰ってから食事をするつもりだったという別の一人は、空いていたお鮨屋に飛び込んで揺れの合間に普段の倍も食べトイレも済ませてから、家に向かって歩き出した。
その人は、二度目の地震が収まった後、渋谷駅から246号線を赤坂見附方向に歩き、少し様子を眺めることにした。非常時に、人の心を救うのはこの余裕である。観察し、分析し、記録(記憶)しておこうという人間的な本能が残されていることは、いつか非常に役立つのである。」

このあとに、ある箇所を「父、坂井三郎」を読んでいたら思い浮かべたのでした。
では、その箇所。


「彼はそこで面白い風景に出くわした。数人の若者が、どうしていいかわからないという感じで、道端に腰をおろしていたのである。その行為自体は彼に理解できるものであった。彼自身がもう若くはないから、時々道端に腰を下ろして、通行人、ひいては人生そのものを眺めるという楽しみを持っていたからである。しかし、この余震の続くなかで若者たちの腰を下ろしている場所を見たとき、彼は吃驚(きつきょう)した。彼らの頭の上には、揺れている大看板があった。もしそれが堕ちてきたら、彼らは完全にそれで頭を割られると思われる場所であった。私たちの世代でも『大看板の下に腰を下ろしてはいけない』などと教えられたことは一度もないのだ。その危険性を察知する能力は、ライオンや豹と同じ本能というものである。」(p124~125)

「父、坂井三郎」を読んでいる際に
曽野綾子さんのこの箇所を思い浮かべたのは
「父、坂井三郎」のp139でした。

「例えば、私が出かけていく前に声がかかります。
『おい、前後、左右、上下に注意しろよ!』
一般的には『前後左右に注意して』と言うところですが、
父の場合は、それに上と下が加わります。・・・・
大空の真っ只中では、前後も左右も上下も違いがないのです。
方向を示すのは重力だけです。
幼い頃からそう言われていたので、
私にとって『前後左右上下』は、それで一つの熟語でした。
学校で先生が『前後左右に注意しましょうね』と言うたびに、
『あれ、どうして(上下)が入らないの?』と思ったものです。」



そういえば、引用した曽野さんのエッセイでは、
『彼は』とありました。
『地震カミナリ火事オヤジ』を思い浮かべて、
その、オヤジの場合なのだな、と一人合点しております。
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『っていうかさ』

2012-09-04 | 短文紹介
竹内洋著「メディアと知識人 清水幾太郎の覇権と忘却」(中央公論新)
のあとがきは、こうはじまります。

「2008年の秋のことだった。日本教育社会学会の帰り道、バスのなかで、わたしより数歳年長の研究者と一緒になった。・・・この研究者から、『つぎは、どんな本を書きますか』と話をむけられた。わたしは『清水幾太郎についてまとめてみたいと思っているのですが』と答えた。こういうと、『丸山(真男)より清水のほうがずっとおもしろいですよ』といって激励された。・・・いまどき清水幾太郎でもないだろうよ、といわれるかと思ったので、少し安心した。・・・」

うん。スラスラ読めておもしろい。
おもしろいのですが、遅読なので、まだ100ページほど(笑)。

すぐに、他のことに目がいったりします。
そういえば、
岡康道・小田嶋隆対談「ガラパゴスでいいじゃない」(講談社)に
『っていうかさ』というがあって、印象に残ります。

小田嶋】 それ、『っていうかさ』、なんだけど、この言葉がメディアから聞こえてくるようになったのは、10年か15年ぐらい前のことだと思うんです。たぶん、とんねるずなんかがテレビで使うようになってから、だんだん広まって、今、若いやつが日常的に使うようになったと思うんだけど、岡は高校生のころから『っていうかさ』を頻繁に使ってた。
岡】 そんなこと、僕は覚えてないよ。
小田嶋】 こっちがまじめに話している話を、『っていうかさ』で、まったく違う次元の話にもっていく、そのタイミングというのが、肩すかしなのか、はたき込みなのか。俺はそれをすごくいつも感じていて、だから、世の中で『っていうかさ』が流行り出したころ、あ、岡が言ってた言葉だな、と真っ先に思い当たったね。 (p209)



っていうかさ、清水幾太郎を読もう。
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ただ頼るべきは。

2012-09-03 | Weblog
ルーターが新しくなって、
昨日、パソコンの無線ランを試していたら、
障害物があるせいか、
そんなには、とどかなくて、6~8メートルくらい。
のろのろと、時間をとってしまう。
デスクトップパソコンを、あちこち移動して、
居心地をたしかめながら昨日は終り(笑)。
とりあえず、このブログ書き込みのパソコンの位置を
秋仕様に移動完了。
この秋、本が読めますように。

ところで、
『なぞ謎』
ということで3冊。

中西輝政著「日本人として知っておきたい外交の授業」(PHP)
岡康道・小田嶋隆対談「ガラパゴスでいいじゃない」(講談社)
竹内洋著「メディアと知識人」(中央公論新社)

小田嶋隆と岡康道との対談本「ガラパゴスでいいじゃない」は2010年8月第一刷とあります。
岡康道氏は昭和31(1956)年生まれ。クリエーティブ・ディレクター。CMプランナー。学生時代に父親の会社が倒産したのだそうです。この本のあとがきを岡氏は、こうはじめておりました。

「父親の最後の言葉は『日本のグローバリゼーションはダメだ。我々は、もっと日本を愛さなくては』というものだった。最後までフザケているのか本気なのか分からない人だった。2年前のことだ。父のことは謎だらけだが・・・・」

どうして、岡さんは、あとがきをこうはじめていたのだろうなあ。
この「謎」とは、なんだろう。


さてっと、中西輝政著「日本人として知っておきたい外交の授業」。
この第一講だけでも、目を通しておけば、まずはOK。
でも、スラスラと最後までよめてしまいます。
帯には「松下政経塾の白熱授業を完全収録」とあります。
そのなかに、こんな箇所

「私は四十歳になるかならないかの頃、冷戦の終結にぶつかり、刺激を受けて世界中を歩き回って、多くの国々を視察しました。世界の五大陸を毎年ほぼすべて、南米の隅まで訪れました。そこで世界で大変化が始まる様子をまざまざと目にし、日本の現状に危機感を覚えました。それは、グローバル化は必然的に国家の重要性を再び大きく浮上させることになる、ということでした。あの時期に日本人は、国家というものについて深く捉えておくべきだったと思います。しかし当時、(そして今日も)日本人の多くは、グローバル化する世界では国家の役割は大きく減退するはず、というまったく誤った見方をしていました。そんな見方を真面目にしていたのは、世界広しといえども日本人だけでした。バブル経済の栄華がもたらした最も恐ろしい帰結は、日本人が内向きの平和志向になり、国際情勢の大きな視野を完全に失ってしまったことです。・・・・」(第一講。p32)


ちなみに、中西輝政氏は昭和22年(1947)生まれ。
そして、竹内洋氏は昭和17年(1942)生まれ。

竹内洋著「メディアと知識人」の副題は
「清水幾太郎の覇権と忘却」。
帯に「読売・吉野作造賞受賞後第一作」とあります。
よみやすそうなので、
ドナルド・キーン著「正岡子規」をあとまわしにして
まずは、こちらから読んでみたいと思います。

その序章に「清水幾太郎著作集19」から
「若き読書子に告ぐ」を引用している箇所がありました。
そこを、あらためて引用。

「・・・清水の謎にも迫りたい。謎というのは清水が死の五ヶ月ほど前に書いた『若き読書子に告ぐ』のつぎのような言明である。

  私の場合と同じように、所詮、諸君にとっての未来も深い闇であり、その前に立って、諸君は孤独な決断を迫られるであろう。その時、今日と同様、予言者の如く振舞う人々が多く現れるであろうが、彼らの言葉を信じるべきではない。ただ頼るべきは、先人の遺した文字と諸君自らの思考とである。私は、そういう先人に敢えて自分を加えるほど不遜ではないけれども、私の綴った文字の一つでもよい、二つでもよい、或る瞬間、何か諸君のお役に立てば、というのが私の謙虚な期待である。   」(p31~32)


とにかくも、謎と謎とにひく補助線。
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新刊注文。

2012-09-01 | 古典
ドナルド・キーン著「正岡子規」(新潮社)の新刊が出た。
というので、さっそく注文。
キーン氏の「渡辺崋山」(新潮社)が読み甲斐があったので、
つい、こちらも期待してしまいます。
『新潮』に連載されていたものだそうです。
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