山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

肝心な時間は雲の中・・・ 佐野峠パール富士  令和2年11月29日

2020年12月02日 | 月富士
 前日の田貫湖よりも本命は本日のパール富士である。近傍の渓谷に生育するシダを探索し、午後3時に切り上げて佐野峠に移動するはずだったがレンズをどこかに落としてしまうというアクシデントがあったりして渓谷を抜け出て車に戻ったのは3時半になってしまった。パール富士の時刻は日没とほぼ同じ時間の4時40分ごろだったはずだ。カメラのセッティングの時間を考慮するともはやギリギリの時間だろう。急いで佐野峠に移動する。駐車場が満車ではないかと心配していたが2台止められるスペースが空いていた。4時15分に佐野峠に到着。しかし肝心の富士山は・・・。


    駐車場から10分ほど歩いたところが今回の撮影適地である。既に10人以上のカメラマンが月の出を待っていた。しかし富士山は夕焼けの雲の中・・・。


    なんとか2台のカメラのセットが終わって月を待っていると・・・いきなり雲の上に月が出て来た。


    雲間に現れた月


    雲が流れて行き富士山が次第に姿を現してきたが、既に月は富士山から離れてしまっている。


    残念。もう少し待っていれば富士山は見えそうだ。


    やっと富士山山頂が姿を現した時には月は既にこの位置。


    まあ、富士山が見えただけでも良かっただろう。


    月はどんどん富士山から離れて行く。


    駿河湾に町明かりが灯っている。本日ここまで。

 ほんの10分か15分くらいの差で雲が晴れず、富士山頂に月が昇るパール富士は失敗に終わってしまった。本日の月は日没直後に昇って来るので黄金の月になったはずだった。まあ、写真撮影とはこんなものである。また次の機会に狙おう。

 撮影に来ていたカメラマンの中には天体望遠レンズを使っての撮影やフィルターの改造方法を教えてくれた埼玉のS君の姿もあった。向こうも今日は絶対に私がここにやって来ると思っていたようである。前日の田貫湖にも居たそうで、私は狙いを外してしまったが彼は真ん中あたりから昇るパール富士をきっちりと撮影したそうである。相変わらず精力的に活動しているS君はさすがに良い機会は逃さない。またきっとどこかで出会えるだろう。

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勉強してきたつもりだったが・・・何だか分からなくなったカナワラビ属のシダ(後編) 令和2年11月29日

2020年12月02日 | 渓谷
 準備体操(?)を終えて本番の渓谷沿いの林道を進む。ずっと上流まで車で行けると思っていたらかなり手前で林道は通行止めになっていた。凍結や工事をやっているわけでは無いようで、どうやら通年閉鎖のようである。ゲート手前の林道脇スペースに車を止めて出発する。


    通行止めの期間が書いておらずどうやら通年通行止めのようである。


    渓谷沿いを進むと、先ほどハカタシダだろうと思ったものと良く似たシダが現れた。しかしこれは下向き第一最下小羽片がピンと張って大きくハカタシダとはちょっと違う。


    群生している。ハカタシダよりやや小型。


    ソーラスは裂片のやや中肋寄りに付いている。鱗片はやや幅広くてたくさん付いている。これはホソバカナワラビだ。

 ホソバカナワラビとハカタシダの違いは頂羽片の長さもあるのだが、鱗片が幅広くて中軸にたくさん付着するのがホソバカナワラビである。根元の部分の鱗片を見ればもっと簡単に判別できたであろうが観察して来なかったのは失敗である。また、ホソバカナワラビは葉柄の部分が長く群生する特徴がある。


    橋があった。ここから河原に下りてみる。


    緩い流れの渓谷が続く。


    岩壁にはいろいろなシダが付いている。


    コモチシダ。少し痛んでいる。


    別の場所で見たコモチシダ。こちらは青々としている。


    初めて見るコモチシダの名の由縁となっているジャラジャラした無性芽。


    ミツデウラボシ


    似ているがこっちはヒトツバ


    イノデだが何イノデ?


    赤茶色の鱗片が密生


    中間部は毛状の鱗片。普通のイノデのようだ。


    ホシダに似ているがこんなところには普通生えないだろう。


    近付いて触ってみるとかなり柔らかい感じのシダ。


    小さ目のソーラスが裂片の辺縁寄りに付着。


    決定的だったのがこの根元近くに付いている小さな羽片。これは初めて見るイブキシダではないか。


    渓谷沿いを好んで生育するイブキシダ。こんなところで出会えるとは思ってもいなかった。


    さて、問題のこのシダの正体は?手前の光沢があるものと向こう側の光沢の無いものが一緒に生えている。向こう側のものは裏にソーラスが付いている。


    帰って来てから図鑑で見て初めて知った。カナワラビ属にも栄養葉と胞子葉を持つシダがあることを。このシダの正体はコバノカナワラビだった。

 コバノカナワラビというのが山梨県にあるということは知っていたがどこにあるかは全く情報を持っていなかった。まさかここで出会えるとは思っていなかったので全く予習していなかったシダである。青々として葉に光沢があるほうが栄養葉で光沢が少なくて少し華奢に見える方が胞子葉である。胞子葉の裂片は細かく切れ込んで先端部が尖っている。このシダも根元近くの鱗片を十分に観察して来なかったのは失敗だった。


    さらに上流へ行ってみる。


    対岸の岩に大き目のシダが付いている。レンズを変えて撮影しようと思ったら・・・あれ??

 対岸のシダを撮ろうとして異変に気付く。腹のところに付けてあったポーチの中に入っていたレンズ2本のうち1本が無くなっている。どこかに置き忘れたか、それとも落としたか?そのレンズにはアダプターが装着してあり、それが無いと他の交換レンズも使えない。もう少し上まで行ってみたかったが止む無し、ここまでで撤退。GPSを片手に歩いてきた河原を探しながら戻ると、河原の土手を登った時にポーチからレンズが落ちたらしく、河原の端っこにレンズが転がっていた。無事に回収して、あとは林道周辺の岩壁を覗き込みながら戻って来た。この周辺には今回は発見できなかったがヒメイタチシダやおそらくナガバノイタチシダも生育しているのではないかと思う。情報をいただいていたメヤブソテツは既にボロボロになったそれらしきものを1株だけ見かけたが確定には至らなかった。いずれにしても1度訪れただけではとてもでは見切れないほどの多くの種類のシダがこの渓谷の周辺には生育している。機会があれば、もっと上流まで探索してみたい。

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勉強してきたつもりだったが・・・何だか分からなくなったカナワラビ属のシダ 令和2年11月29日

2020年12月02日 | シダの仲間
 本日は南部町のまだ散策したことが無い渓谷に入ってみることにした。事前の情報ではこの渓谷にはカナワラビ属のシダが多数生育しているとのことである。既に県内に生育しているカナワラビ属は大部分を見て廻って来たのでそんなに苦労しないで同定できるだろうと思っていたのだが・・・全く甘かった。渓谷に入る前に車道の脇にあった岩壁にシダが生えているのが見えたので、道路脇に車を止めて覗き込んでみる。確かにカナワラビ属のシダが何種類か生えている。これはオニカナワラビでこっちはハカタシダ、これはミドリカナワラビか?ヒメカナワラビもあるぞ・・・などと思っていたが、良く見ているうちにだんだん分からなくなってきた。ハカタシダじゃなくてこれはホソバカナワラビじゃないか?こっちはオオカナワラビじゃなくて・・・何だこりゃ?


    本日探索する渓谷は流れが穏やかでカナワラビ属がたくさん生育していると聞いている。まずは準備体操と、道路脇の岩壁を覗き込んでみる。


    オオベニシダ


    オオイタチシダ。普通に見かけるシダである。


    これは葉に光沢があってミドリカナワラビだと思ったのだが・・・


    これはオニカナワラビ・・・だろう。


    左は黄緑色の光沢があるシダでミドリカナワラビ、右は頂羽片がはっきりせずオニカナワラビだと思った。


    角度を変えて撮影。だいぶ色が違うが根元はほぼ同じような場所から出ている。ひょっとして同じもの?


    左色の黄緑色のほうのソーラス。


    裂片のやや辺縁寄りにソーラスが付着。まだ成熟しておらず黄色っぽく、包膜が付いている。


    こっちが右側の緑色のほうのソーラス。成熟して茶色くなっているがソーラスの位置はほぼ同じである。

 帰って来てから画像を良く調べてみるとどうやら同じものでまだ若いか成熟しているかの違いのようである。決定的なのは中軸に付着している鱗片が黒茶色であることで、ミドリカナワラビの場合は鱗片は紅茶色である。これはいずれもオ二カナワラビ、おそらく最初に見た小さいほうのシダもオニカナワラビであろう。根元部分の鱗片をもっとしっかりと見てくればもっと自信を持って判別できたであろうが失敗だった。さらに他にも訳の分からないものが生えている。


    これはハカタシダ・・・と思ったが後で見直してみるとホソバカナワラビなのでは?鱗片とソーラスをしっかり見て来なかったのは失敗。


    これはヒメカナワラビで良いだろう。


    頂羽片がはっきりせずこれもオオカナワラビ・・・とこの時は思ったが何となく感じが違う。葉の光沢が強いことと裂片の切れ込みが細かいような・・・全体的に何となく・・・?


    さらにこれもオニカナワラビと思って写真を撮ったが・・・


    裂片の切れ込みがずいぶん深い。


    ソーラスの付き方も裂片の中央寄りで全然違う。こんなオニカナワラビもあるのかな?と思いつつも頭の中は混乱している。

 準備体操のつもりでちょっと立ち寄ったのだが準備体操では無くなってしまい、訳が分からなくなった。この時はまだ見たことの無いカナワラビ属が混じっていたことには全く気付かなかった。(後編に続く)

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