山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

南部町の渓谷のシダ探索(その1)  令和2年12月7日

2020年12月07日 | シダの仲間
 本日はシダの師匠に案内をお願いして南部町界隈にある渓谷をいくつか探索に出かける。まずは過去に私も探索に出かけているが目的のシダを発見できないでいる渓谷に入ってみる。


    本日は南部町の渓谷の探索である。


    県南部らしく、苔の生えた岩壁にリョウメンシダが生えている。


    春先に見た時はヒメワラビだと思っていたがこれはオオヒメワラビだった。


    羽軸にある翼が大きいらしいが、見てもヒメワラビとの違いがいまひとつ分からず。そのうち分かるようになるだろう。


    ヒメカナワラビ。それほど数は多く無いが数ヶ所で発見。


    これは初めて見るイノデ。葉にはツヤがあり、一見イノデモドキに似ている。


    特徴的なのがこの根元付近の鱗片。こげ茶色の太めの帯が入っている。数は少なく大部分がイノデとイノデモドキだった。


    これも初物だが、葉が傷み過ぎていて確定は出来ず。見つけたのは1株のみ。


    細長いソーラス、裂片の切れ込みは浅くどちらかといえば鈍頭である。おそらくはオニヒカゲワラビと思われる。


    鱗片は既に脱落しておりこれでは判別は難しい。要経過観察。


    一見してツルデンダかと思ったが裏側には線状のソーラスが付着していた。


    これは無性芽が良く発達したイヌチャセンシダ。結構群生していた。


    3段に連なる滝に出くわす。その脇には青々と茂ったシダが群生している。


    段差が大きく、岩が滑って近付けない。さて、このシダは?


    100㎜マクロレンズで覗き込んでみるとこれはノコギリシダだった。


    ノコギリシダの群生。これでこのシダの生育地は2ヶ所目となった。


    その手前にあったのはコバノカナワラビ。先週は何だか分からず頭が混乱したが、改めてみると胞子葉(やや深緑色で立ち上がっている葉)と栄養葉の違いが良く分かる。

 対岸から滝を登ることは可能であったが下りるのに苦労しそうなので本日はここまででこの渓谷は引き返す。


    帰り際に同行者が見つけてくれたタキミシダ


    カラクサシダにも出会えた。

 一番の目的だったヒメサジランは念入りに探したが見つからず、途中に大きな崩落地があったのでその場所の岩壁に生育していたのかも知れない。この渓谷の周辺にはおそらく生育していると思われるのでまた日を改めて探索してみたいと思う。しかし、初めて見るカタイノデやノコギリシダの群落に出会えたことは大きな収穫であった。

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甲府市積翠寺町の東山界隈を散策  令和2年12月5日

2020年12月07日 | シダの仲間
 例年は春先に歩いている積翠寺東山周辺であるが、シダを見るようになってからあまり季節は関係無く楽しめるようになった。この日は朝から町内会の行事があり、午後4時からは仕事関係の会合が入っており時間的にあまり余裕が無く2時間ほどの散策となった。まだ入ったことの無い沢を登って武田の杜遊歩道に登り付き、その道を使って周回して来ようという作戦である。見ておきたいのはオオハナワラビとハカタシダであるが、うまくすればアカハナワラビにも出会えるかも知れない。昨年オオハナワラビと思って撮影した画像の中に、オオハナワラビとアカハナワラビが並んで生えている画像があった。


    相川にかかる小橋を渡って東山農道に行く。向こうに見えるのは要害山。


    東山農道から見る積翠寺の里。鹿やイノシシの食害が多く、ほとんどの田畑は保護柵で囲われている。


    さて、近傍には道の付いている沢があるのだが、本日はこの小さな沢を登ってみる。


    登る人が居るのだろうか、沢の中には点々と赤テープが付いていた。


    生えているのはほとんどがこのベニシダとクマワラビ。


    たまにイノデが混じっている。光沢があるイノデ。


    普通のイノデのようである。


    だいぶ荒れているが水量少なく普通に登れる。


    小滝、というまでは行かない水の落下。


    イタチシダのようだが、下向き最下小羽片はあまり発達していない。


    鱗片はだいぶ痛んでしまっているが、オオイタチシダのようである。


    源頭を越えてもう水は流れていない。もうすぐ武田の杜遊歩道に抜け出る。


    幸運にも見つかったアカハナワラビ。赤紫色に紅葉しており、胞子嚢は破裂して胞子は既に放出されていた。


    武田の杜遊歩道に抜け出た。ここからは歩き易い道。竜華池方向に向かって進む。


    ハシゴシダは点々と生えている。良く似たヤワラシダが混ざっているようだ。


    最下部羽片のうち根元部分の上向き小羽片が大きいのが特徴。葉に触った感じは薄くて柔らかい。


    お目当てのハカタシダは少し増えたような印象を受ける。


    確認しておきたかったのがこの中軸部の鱗片。先日見たホソバカナワラビと比べて鱗片は黒っぽくて量が少ない。


    オオハナワラビは残念ながら胞子穂を出している個体は見つからなかった。まだ紅葉していない。


    特徴的なのがこの辺縁の棘状の鋸歯。しかし痛んでくるとこの鋸歯が落下しているものがあるのを今年身延山でこのシダを見て知った。

 目新しいものには出会えなかったが、これでハカタシダとホソバカナワラビの区別はだいたい出来るようになったと思う。アカハナワラビとオオハナワラビの区別も交雑が無い限りは見分けられるようになった。2時間の予定だったがオオハナワラビの生育場所が思っていたよりも遠く、30分ほど時間をオーバーしてしまった。申し訳ないことに午後4時からの会合には少し遅れて参加することとなってしまった。

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