山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ヒメサジラン(ウラボシ科)

2021年06月09日 | シダ類
 林下の沢沿いの湿った岩上にコケと群生する常緑性のシダである。根茎はやや長く這う。葉は単葉で長さは 5 ~ 10㎝、葉身は倒披針形で先端の近くで広がる。葉柄は不明瞭で葉質は革質。鱗片は葉柄基部に多いが、葉身は無毛。胞子嚢群は長楕円形~線形で中肋よりに約 25 度の角度で着く。山梨県では県南部に生育しているが、生育場所の斜面の崩落などにより減少傾向にある。

 2018年山梨県絶滅危惧ⅠB 類(EN) 2017年環境省-


    ヒメサジラン 令和3年3月 南部町で撮影


    同上 渓谷沿いの苔の生えた岩や岩壁を好んで生育する。


    葉は倒披針形で先端の近くで広がる。先端部はやや尖る。


    ソーラスは楕円形ないし線形で、中肋寄りに約25度の角度で付着する。


    下から覗き込むヒメサジラン群落

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 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

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これがアカンスゲ 乙女高原 令和3年6月6日

2021年06月09日 | スゲの仲間
 アカンスゲは北海道のほかに本州では岩手県、栃木県、長野県、そして山梨県に隔離的に分布する貴重なスゲである。何度か訪問している乙女高原であるが果期にならないと区別が難しいため、まだ確認が出来ていない。特徴的な雌花の形なので結実していれば見分けるのはさほど難しく無いはずである。天候がいまひとつで時折小雨が降るが、時期を逃すと実が落下して見られなくなってしまうため、小雨の中を傘を持ちながら見に行ってみる。


    当初はこの島状になった大きな葉のものがアカンスゲだと思っていた。


    ようやく穂が出始めたものを見てみると、どうやらこれでは無いようだ。これはイネ科の植物らしい。


    本物のアカンスゲは細い葉のほうのようである。前回5月下旬の訪問時に雄しべと雌しべを出していたものがアカンスゲだった。


    これがアカンスゲだ。


    アカンスゲの小穂


    マクロ撮影。まだ結実したばかりの穂。


    こちらはしっかり結実している穂。特徴的な形をしている。


    湿地の辺縁には比較的多数生育していることが分かった。


    やっと確認出来たアカンスゲ。ほっと一安心である。


    別のスゲが花を咲かせていた。タニガワスゲだと思っていたがどうも違うようである。


    雌鱗片が茶色く無くて緑色をしている。


    こちらは同じものなのか、別物なのか?


    雌鱗片は辺縁が茶色い。

 別の場所に立ち寄ってみる。こちらに生えているのも当初はタニガワスゲだと思っていたのだが、結実したものを見るとそうでは無いようである。


    別の場所に生えていたスゲ。


    さて、これは何?雄小穂を伸ばした頃に見た時はタニガワスゲだと思っていたが違うようである。


    雌小穂の拡大。鱗片は辺縁が茶色で先端部は尖り、小さな芒がある。


    ヤチボウズのようになっているものがあった。


    これもおそらくは同じもの。画像を拡大して見てみると、先端部の鱗片は辺縁が茶色だが根元のほうは緑色をしている。辺縁茶色も緑も同じものではないかと思う。

 さて、このスゲは何者であろうか?勝山輝男先生の著書「日本のスゲ」を見てみると、オタルスゲという山梨市で採取されたスゲの果胞と果実の写真が掲載されていた。その図鑑の画像を見てみると今回見たスゲはこのオタルスゲにきわめて良く似ている。花の咲いていたものもおそらく同じものと思われ、これらはオタルスゲではないかと推測される。そのような目で見直してみると、先日八ケ岳美ヶ森で見てきたテキリスゲと思わしきスゲもこのオタルスゲではないのかと思えてくる。とにかくまだカヤツリグサ科は分からないことだらけで課題が増えて行くばかりである。しつこくまた訪問してみたいと思う。


    小さなハリスゲの仲間があった。


    これはコハリスゲなのか、それともサトヤマハリスゲなのか?やっぱり分からない。

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甘利山近傍の高層池に生育するスゲを確認に行く 令和3年6月5日

2021年06月09日 | スゲの仲間
 カヤツリグサ科の植物は花を咲かせた時と結実した時期で全く違う姿を見せるため、花の時期に見ても何だか分からないことがほとんどであることは何度も訪問してみて身をもって感じている。山中湖で見たスゲで花の時期にカサスゲであろうと思っていたものは結実した頃に再訪してみるとだいぶ様子が変わっていて、オニナルコスゲであった。では、甘利山近傍の高層池で見たカサスゲは本当にカサスゲなのか?という疑問が湧いてくる。椹池に生えるスゲもアゼスゲか、ヌマアゼスゲか結論は出ていない。甘利山まで来たことだし、時間もあったので確認のため立ち寄ってみる。


    まずは椹池の湖畔に生えているこのスゲ。


    結実して判別するには良い時期になっていた。


    さて、鱗片と果胞を見てみる。鱗片は果胞と同じくらい長く、先端部は尖っている。どうやらこれはアゼスゲのようである。


    別の池に立ち寄る。水量が増えてきた。


    湿地にたくさん生えているこのスゲは本当にカサスゲなのか?


    穂はだいぶ痛んでいて頂部の雄小穂はほとんど残っていない。


    辺縁が茶色くて先が尖っている鱗片と波打っている果胞。カサスゲで間違い無さそうである。


    別のスゲが混じっていた。


    雌小穂の辺縁が茶色い鱗片と先端部の芒、全体的に円柱形の雌小穂の形から、これはゴウソと思われる。


    ヒゴクサに似ているが少し感じが違う。


    雌小穂にほとんど柄が無い。これはエナシヒゴクサと思われる。


    良く分からないのがこのたくさん茂っているスゲ。アオスゲの仲間(ヌカスゲ節)であろうことは想像がつく。


    鱗片は先細りだが芒は短い。図鑑で見比べるとイトアオスゲが最も近そうだが、果胞にあまり毛が生えていない。クサスゲなのか?

 椹池のスゲはアゼスゲ、高層池のスゲはカサスゲであろうということは分かってきた。しかし、そのほかにもまだ結論が出せないものが多数生育している。何度か通っていれば、そのうち答えが出てくるのではないかと思う。焦らずにじっくりと取り組んで行きたい。

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クリンソウ咲きほこる 甘利山・大笹池探索 令和3年6月5日

2021年06月09日 | 山に咲く花
 甘利山のレンゲツツジが咲き出している頃だと思う。大笹池まで行けばクリンソウが見ごろを迎えている頃だろう。探索に行ってみる。


    咲き出していた甘利山のレンゲツツジ。富士山は見えず。


    咲いていたのはほんの一部だけでほとんどが蕾。見ごろは来週あたりになりそうだ。


    コメガヤがたくさん生えていた。


    ハルガヤだと思うが?


    毛が生えているとか生えていないとかでミヤマハルガヤと区別するらしいが、どこを見れば良いのか?勉強不足。


    大笹池に下りてみる。クリンソウが満開。


    クリンソウ


    池のほとりに生えていたミゾホオズキ


    ホタルイのようだがだいぶ細くて華奢である。


    おそらくミヤマホタルイと思われる。


    あまり見慣れないシダを発見。


    おそらくテバコワラビではないかと思われる。ソーラスが付いた頃に確認してみたい。


    ユモトマムシグサが生えていた。


    こっちは何だろう?


    付属体が棍棒状で薄紫色。ムラサキマムシグサというのがいちばん近そうに見える。


    たぶんホソバテンナンショウ


    別の場所のクリンソウ群生地があった。


    白花のクリンソウ


    この場所のクリンソウは色とりどり、様々な色の花が咲いている。


    見たかった花のひとつ、ベニバナヤマシャクヤク。


    まだ固い蕾。開花は1∼2週間先になりそうである。

 数日前に甘利山で家族と訪れていた高齢の女性が行方不明になっているらしく、警察官数名が捜索に訪れており、登山者に目撃情報の提供をお願いしていた。約1週間経ったがまだ見つかっていないようで心配である。甘利山のレンゲツツジと富士山の景色をいつか撮ってやろうと狙っているものの、なかなか好天の日が無いうえに日程が合わず撮れないでいる。いつかそのうち、と思いつつ、もう何年も経ってしまった。いつかそのうち、撮りに行きたい。

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