山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

渓谷沿いのシダ観察 身延町  令和4年1月28日

2022年01月29日 | シダの仲間
 先日見たヒメサジランが脱落しているのを見て、こちらにある稀少なシダが無事なのかどうか心配になってきた。それとずっと気になっていることがあって、ヒメカナワラビとオニイノデ、そしてその中間型のようなオオキヨズミシダの区別がまだはっきり分からないでいる。鑑別のポイントはひとつは鱗片であろうが、もうひとつは裂片の付け根が軸に流れているかどうかというところなのではないかと思う。果たして区別できるのかどうか?既に何度も訪問している渓谷であるが再訪してみる。


    心配していたのはこのシダ。


    コタニワタリ。乾燥しているこの季節はあまり元気が無い。


    雨が少なく乾燥していて斜面が崩れ、土に埋もれかけているコタニワタリ。おそらく脱落してしまった個体もあるだろう。


    渓谷脇の岩に生えていた小さなシダ。


    葉に毛が生えている。これはカラクサシダ。


    冬緑性のシダでこの季節に胞子を付ける。


    渓谷の岩壁に群生していたクリハラン


    コモチシダ。この渓谷では数が少ない。


    対岸の岩壁に群生していたヒトツバ


    ヒトツバ。この季節は枯れているものも多い。


    イワヘゴ。一見すると葉の細いヤブソテツに似ている。


    特徴的なのはこの真っ黒な細めの鱗片がたくさん付いていること。


    ソーラスは軸と辺縁の中間付近を主に不規則に付着する。


    博多織の紋様が鮮やかなハカタシダ

 さて、問題のオニイノデとオオキヨズミシダである。ヒメカナワラビもあったが撮り忘れた。


    おそらくこれがオニイノデ。


    薄茶色でやや幅の広い鱗片が多数付着する。


    トリーミングして裂片を見てみると、短い柄があって裂片は軸に流れていない。


    これもオニイノデだろうと思って撮ってきたものだが・・・


    鱗片はやや幅広でこげ茶色。


    羽片をトリーミングして見てみると、裂片の下部分が軸に流れているように見える。


    オニイノデとは明らかに違う個体を発見した。


    これは明らかに裂片の下部分が軸に流れている。


    鱗片はこげ茶色でやや細めである。これがきっとオオキヨズミシダであろう。


    これもオニイノデであろうと思って撮ってきた個体。


    裂片を見てみると、明らかとは言えないが軸に流れているように見える。


    鱗片はやや広めでこげ茶色。


    これはきっとオニイノデと思って撮ってきたもの。


    裂片を見ると、これも軸に流れているように見える。


    鱗片はたくさん付いていてオニイノデを思わせるが、こげ茶色でやや幅広、先ほど見てきたものとほぼ同じである。

 基本的にはオニイノデとヒメカナワラビの裂片は短い柄があって軸には流れて付着しないのではないかと思っている。この渓谷で今までオニイノデと思って観察してきたものは鱗片が微妙に軸に流れて付着しているものが大部分である。そして鱗片もこげ茶色で典型的なオニイノデとは違うように思える。いわばオニイノデとオオキヨズミシダの中間型のような形をしているのではないだろうか?明確な区別が出来るのかどうか?それも疑問に思えてきた。答えは出さないほうが良いのではないかと思う。


    岩壁につる性の植物の葉が付いている。


    これはテイカカズラなのか、それともイタビカズラ?葉を良く見てみると互生、ないしはまばらに付いている。これはイタビカズラであろう。


    こちらが良く見かけるテイカカズラ。


    葉は互生する。花が無いと見分けが付かなかったが、やっと見分け方が分かってきた。

 イタビカズラは何ヶ所かでそれらしき葉を確認しているが、まだ実を付けたところは確認できていない。今年はこの植物の実をしっかりと確認したいと思っている。

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植物を観察しながら山頂へ 南部町  令和4年1月23日

2022年01月29日 | シダの仲間
 この季節の南部町はヤマヒルに襲われる心配が無く、バリアンスルートの藪もあまり気を遣わずに歩ける。今回は正規ルートでは無い道(?)を通って富士山の見える山頂まで歩いてみることにする。


    滝が凍っているが、この日は風が穏やかでさほど寒くは無かった。


    ナガバノイタチシダであろう。


    以前に見かけた時はミヤマイタチシダだと思っていたが、見直してみると長い柄がありナガバノイタチシダだった。


    ミツデウラボシ。三ツ手になっている個体はほとんど見かけない。


    凍っている別の滝。


    林道の痕跡だが、崩落していてもはや林道としては機能していない。


    登山道に抜け出た。あとはひたすらこの道を進む。


    山盛りのイワカガミの葉。


    葉を見てみると大き目で切れ込みがはっきりしている。これはヤマイワカガミであろう。白い花が咲くのかも知れない。


    たぶんこれがアカガシ。


    葉に光沢があり鋸歯が無い。ドングリが確認出来れば確定である。普通にありそうだが、山梨県では絶滅危惧種に入っている。


    結構な急登が続く。


    登り付いて山頂かと思ったら、さらにその先だった。


    やっと着いた山頂。10数年ぶりである。


    曇り空だったが、幸運にも富士山が見えていた。

 もう少し簡単に登れるかと思っていたのだが、登山道に抜け出てから結構長かった。誰にも合わなかったが、新しい踏み跡があったので私が登頂する前に既に下山して行った人が居たのであろう。昼食をとって、帰りは正規ルートを下山した。


    シダの他に下見してきたのがこのカンスゲの仲間。たくさん生えているこのスゲはたぶんミヤマカンスゲ。


    その中に明らかに違うカンスゲの仲間と思わしきものが混じっていた。色が濃い緑色で、奥にあるミヤマカンスゲとはだいぶ感じが違う。


    触った感じもこちらは葉がザラついている。これが探しているハシナガカンスゲなのかどうか?穂が出る頃に見に来てみたい。


    ついでに立ち寄ってきたヒメサジラン。昨年見た時とはだいぶ様子が違う。


    岩肌から苔と一緒に脱落してしまったようだ。


    まさに脱落寸前のヒメサジランの塊。


    だいぶ数が減ってしまっている。ピンチ!!

 今期は冬の雨が少なく岩肌が乾燥して苔と一緒にヒメサジランが脱落してしまったようである。なんとか復活してくれることを期待したい。

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