山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

渓谷の上流に生育するシダ、これはイワウサギシダなのか?  令和4年9月4日

2022年09月07日 | シダの仲間
 トダイアカバナが生育する渓谷の上流部支脈でウサギシダらしきシダを発見している。見つけた時はウサギシダだと思って撮影してきたのだが、帰って来てから画像を見てみるとウサギシダにしてはちょっとおかしい。最下羽片の下向き小羽片があまり発達しておらず、全体的な形も細長い。これはイワウサギシダの可能性が高いのだが、観察が不十分で最下羽片分岐部のところの毛が生えているかどうかは良く見て来なかった。画像をトリーミングして見ると毛が生えているように見えるのだが、やはりこれは再訪してしっかりと確認してくるしかないだろう。急峻な谷で現地までは少し大変な行程だが、行ってみることにする。


    樹林の中には点々とピンク色の花が咲いていた。


    ミヤマモジズリ。結構数はあった。


    渓谷の本流はやや水量が多い。


    支脈の谷。石はぬめりがあって滑り易く、倒木も多い。帰りに滑って転倒し、膝から下はびしょ濡れになってしまった。


    アザミが生えていた。


    総苞は細長い。おそらくホソエノアザミであろう。


    ウメバチソウが少しだけ咲いていた。


    谷から抜け出して森の中を歩いてみた。


    大きなブナの木。エビネらしきものが無いかどうか探してみたが見当たらない。


    ミヤマイタチシダ


    イワデンダ


    フクロシダ


    ホソイノデ


    ミヤマシダと思われる。


    そしてなんとかイワウサギシダらしきシダが生育している場所に到着。数ヶ所で固まって生育している。


    いちばん大型で元気だった株。最下羽片の下向き小羽片はあまり発達しておらず、全体的に細長い。


    肝心な最下羽片の分岐部を見てみると、しっかりと毛が生えている。これはイワウサギシダで間違いない。

 問題のシダはイワウサギシダで間違い無さそうである。イワウサギシダもトダイアカバナも石灰岩地を好んで生育する植物で、おそらくこの渓谷の中には石灰岩が混じっていると見て良いのではないかと思う。また、ウサギシダは固まって生育しておらずやや離れてポツポツと出るのに対してこのイワウサギシダは群生するところも違うようである。念のためシダの師匠のところに立ち寄って鑑定していただいたところ、イワウサギシダで間違いないとのことであった。北岳に続いて山梨県では2ヶ所目の生育地が発見されたことになるが、おそらく他の場所にも生育しているのではないかと思う。


    渓谷の中に咲いたダイモンジソウ(ミヤマダイモンジソウ)

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渓谷に咲くトダイアカバナ  令和4年9月4日

2022年09月07日 | 山に咲く花
 7月に南アルプスの奥深い渓谷を訪問した際に葉っぱが真っ赤なアカバナの仲間を見つけた。普通のアカバナとはちょっと違うとは思っていたのだが、先日釜無川に咲いているトダイアカバナを見に行ってみたところ、この渓谷で見たものと良く似ていることがわかってきた。おそらくトダイアカバナなのではないだろうか?急峻なバリアンスルートの渓谷なのでもう行かないであろうと思っていたのだが、再訪してみることにする。


    渓谷の奥の堰堤。あの先はバリアンスルートになる。


    シナノナデシコが咲いている。


    ここに咲いているシナノナデシコは小さなものばかりである。


    たくさん生えていたが何だか分からなかったこの植物


    答えはトモエソウだった。


    アカバナの生えている場所に到着した。


    しかし、もう花は終わって枯れかけていた。


    根元の部分の咲き残りの花。トダイアカバナで間違い無さそうである。


    別の場所で見かけたアカバナを見に行ってみたところ、ここはちょうど見頃だった。


    米粒のような小さな花が付いている。葉は小さくて細めである。


    これはトダイアカバナで間違いないであろう。


    トダイアカバナの花

 やはりこの渓谷に咲いているアカバナはトダイアカバナで間違い無さそうである。さらに上流の支脈にはイワウサギシダと思わしきシダが生育しているのを確認しており、この渓谷には石灰岩が混じっている可能性が高い。


    上流部の支脈には別のアカバナが生えていた。


    花はやや大き目で葉が大きくて幅広い。


    茎を見てみると毛が生えている。


    トリーミング。屈毛が縦方向におそらく2列になって生えている。これはケゴンアカバナと思われる。

 さらに支脈上流部生えているシダを確認に行ってみる。(続く)


    ヒイラギソウは当然もう花は終わっている。


    実を付けてくれるかどうか確認したかったが、どうやら難しそうである。個体数が少なすぎる。

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タヌキモはいつ咲くのか?  令和4年9月4日

2022年09月06日 | 水辺に咲く花
 1週間ほど前に見てきたばかりのタヌキモであるが、近くを通りかかったのでちょっと立ち寄って覗いてみた。


    1週間前と特に変わったことは無いタヌキモ


    蕾らしきものは見当たらない。これはいつ花を咲かせるのだろうか?


    枝先に何か付いているように見えるが、これはゴミなのか、それとも蕾?


    ヒメマツカサススキは1本立っているだけであとは全て倒れてしまっていた。


    希少な植物なのに残念。


    1本だけ立ち残っているヒメマツカサススキ


    キンミズヒキに混じってピンク色の花が咲いている。


    ハエドクソウであろう。根のしぼり汁からハエ獲り紙を作ったことからこの名がある。


    良く見かける草だが花が咲いているところはあまり良く見たことが無い。


    これはシソ科のイヌコウジュであろう。

 タヌキモはまだ花芽らしきものは見えておらず、いつ咲くのかは不明で咲かないこともあるのではないかと思う。ヒメマツカサススキは残念ながら倒れてしまっている。昨年も実を付けた頃には全て煽れてしまっていた。近場で見られる良い場所なのだが、ここで良い状態のヒメマツカサススキを見るのは難しいのかも知れない。

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チョウジタデ探索は失敗  令和4年9月3日

2022年09月06日 | 里に咲く花
 ウスゲチョウジタデと思わしき花は前日見てきたので、本日はチョウジタデの探索に出かけてみる。前日も車で河川敷の近くまで行ったのだが雨が降って探索は中止している。本日は午後から仕事だが午前中の12時までならば時間がとれる。心配なのは大規模な河川敷清掃作業が行われた後で草が刈り払われてしまっていることである。少しならば残っているだろうと期待して河川敷を探索してみる。


    橋から見下ろす河川敷。右側の刈り払われた中で昨年チョウジタデを見つけている。


    よくぞこれだけ刈ったものだというくらいに何も無い。


    残っていたアメリカミズキンバイ


    その周辺を探してみると、かろうじて一株だけチョウジタデと思わしきものが残っていた。


    花が咲いている。


    さて、花床はどうなっているのだろうか?


    マクロレンズで撮影してみる。毛が生えているように見えるが・・・


    トリーミング画像。やはり毛が生えている。


    花が散った後の花床を調べてみるとやはり毛が生えている。たぶんこれはウスゲチョウジタデではないだろうか?


    暑かったので花の部分を摘んで車に戻って撮影してみるが、暑かったのは花も同じだったようである。


    花弁と萼がしおれて内側に巻きこんでしまい花床が良く見えない。


    花弁を1枚取り除いて撮影を試みるがやはり良く見えず。

 昨年見た花は花が散った後の花床には毛が生えておらず、結実した実の形を見てもチョウジタデで間違いないはずだった。今回見つけたのは昨年見つけた場所から100mほど離れており、おそらくこの河川敷にはチョウジタデとウスゲチョウジタデの両方が生育していたのではないかと思われる。残念ながら今回はチョウジタデには出会えず、時間切れとなってしまい、探索失敗である。別の場所にもあるのだが、護岸工事の岸壁沿いに生えており近付けない個体ばかりである。たぶん他にもあるはずなので、また探しに行ってみたいと思う。

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ウスゲチョウジタデ検証  令和4年9月2日

2022年09月04日 | 里に咲く花
 1週間ほど前にも訪問しているミズアオイとウスゲチョウジタデらしきものが生育している用水路の周辺を再訪してみる。今回の目的はウスゲチョウジタデらしき花の新鮮なものを確認することである。この花は午前中に花を開いて午後になると散ってしまうタイプの花のようで、前回は午後2時過ぎから散策し始めたところほとんどの花は散ってしまっていた。今回は12時半に到着して散策を始める。


    ミズアオイはだいぶ咲いてきていてもうすぐ満開である。


    用水路に咲くミズアオイ


    だいぶ咲いてはいるが・・・


    昨年に比べると花付きは悪そうである。


    右がウスゲチョウジタデと思わしき花、左がアメリカミズキンバイ


    ウスゲチョウジタデと思わしき花


    こちらはアメリカミズキンバイ


    今度は新鮮な花が咲いている。


    さて、花床の部分はどうなっているだろうか?


    花弁はもう散り始めているものがたくさんある。


    マクロレンズで接写する。


    さらにエクステンダーを装着して近付いてみる。花床には毛が生えているように見える。


    トリーミング。雄しべと雄しべの間の部分で花弁の付け根のところに毛が生えている。


    花を1輪摘んで調べてみる。


    間違い無く花床に毛が生えている。これはウスゲチョウジタデであろう。

 花床に毛が生えているのが確認出来たので、この用水路周辺に咲いているのはウスゲチョウジタデと見て間違いないであろう。毛は花弁の付け根の部分に生えている。ウスゲチョウジタデであることをより確実にするには本物のチョウジタデのほうを調べる必要がある。生育地に移動するが、途中から雷が鳴り出して雨が降ってきてしまう。現地の近くで車を止めて待ったが止みそうも無くこの日は諦めることにした。後日訪問して調べてみたいと思うのだが、生育地の河川敷を道路沿いから眺めてみると重機が入っていて大規模な河川清掃が行われたようである。残っていれば良いのだが他にも生育地は何ヶ所か確認している。なんとかなるだろう。

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3ヶ所目のマネキグサ  令和4年9月1日

2022年09月03日 | 山に咲く花
 私が知っている山梨県に生育しているマネキグサは今回の訪問地が最後である。登山口に到着した頃は霧雨だったが、準備しているうちに雨になってしまった。カッパを着て傘を差して生育地を訪れてみる。


    イヌトウバナであろう


    コフウロ


    小型のセリの仲間。これはヒカゲミツバか?


    マネキグサと思わしき葉。花はもうほとんど終わってしまっている。


    間違いないと思う。


    わずかに咲き残っていたマネキグサの花


    花は痛んでおり、もう落花する直前である。


    葉は全体的に四角形に近い。葉の切れ込みはさほど深くは無い。


    花が散った後のマネキグサ


    これが通常のマネキグサの葉であろう。

 おそらくここに生えているのが通常のマネキグサであろう。他の2ヶ所のものと葉の形を良く見比べてみる必要があるが、全体的な葉の形や葉先の尖り方が他の2ヶ所のものは少し違うように見受けられる。今後検討してみたいと思う。


    渓谷沿いで見たマネキグサ(たぶんキレハマネキグサ)


    林道で見たマネキグサ(これもたぶんキレハマネキグサ)

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もう1ヶ所のマネキグサを訪問する  令和4年8月31日

2022年09月03日 | 山に咲く花
 私が知っている山梨県のマネキグサ生育地は3ヶ所である。先日渓谷沿いのマネキグサを見てきたが、キレハマネキグサという葉の切れ込みが大きい種類があるらしく、他の場所に生育しているマネキグサはどうなのか気になって仕方ない。今回は2ヶ所目の生育地を訪れてみることにした。林道が崩落して通行止めになっているため、ゲートから歩いて現地に行ってみる。


    林道の崩落地。30mくらいスッポリと道が無くなっており、修復工事が行われているがまだしばらくかかりそうである。


    コンクリートの法面に生えていたミツバベンケイソウ


    これはアカソになるのか?


    こちらはコウゾリナになるのか?


    これはイヌトウバナであろう。


    法面に生えていたミヤマモジズリ


    上を見上げるとたくさん生えていた。


    林道脇の低い位置にも結構生えている。


    恐れていた通り、大規模な伐採作業が行われて登山道周辺も様変わりしている。


    アザミは難しい。


    これはホソエノアザミだと思う。だが、良く見ると茎に短い毛が生えているように見えなくもない。


    伐採地に生えていたフシグロ


    なんとか生き残っていてくれたマネキグサ


    削られた斜面に生育していたマネキグサ。鹿の食害を受けていて茎の上部が無くなっている。


    もともと個体数が少なかったがさらに減って、風前の灯となっているこの場所のマネキグサ


    マネキグサの花


    さて、この葉っぱはどうだろうか?


    個体によって差があるが、この個体は葉の切れ込みが深めで葉先が尖っている。

 この場所のマネキグサの葉を見ると、切れ込みの深さは先日訪問した渓谷沿いのマネキグサと同じかやや深いように見受けられる。これをキレハマネキグサとして良いのかどうか?それとも単なる個体差なのか?マネキグサとキレハマネキグサの分類の違いは見れば見るほどに分からなくなってくる。これはもう1ヶ所のマネキグサを見てきて検討するしか無いだろう。

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自生のミソハギ探索 その近傍にはたくさんの・・・  令和4年8月30日

2022年09月01日 | 里に咲く花
 早朝から富士吉田に出張があり、今回訪問する施設はコロナ検査で陰性が確認されていなければ入れない施設のためさらに早起きして抗原検査を行ってからの出発となった。午前中には仕事が終わり、コンビニで食事を買ってから目的地に向かう。本日は富士五湖のほとりを何ヶ所か巡る予定であるが、食事をとったら強烈な睡魔に襲われ、1時間ほど昼寝してから散策に出かける。目を覚ましたら小雨が降り出しており、傘を差して出発となる。


    富士五湖のほとりを探索する。とは言っても、大きな橋が見えていてどこの湖かは一目瞭然ですね。


    桜の木にからみ付いたツルに花が咲いている。


    葉には切れ込みが無い。これはセンニンソウのようである。


    オグルマの群生。湖のほとりには普通に生えていた。


    双眼鏡で覗き込みながら湖畔を散策していると赤い花が咲いていた。


    近付いてみると探していたミソハギだった。植栽のものは何度か見ているが自生のものを見るのは初めてである。


    濃い赤紫色のミソハギの花。綺麗で目立つ。


    葉は対生し、茎を抱かない。


    周辺を散策してみると、ツル性の植物がたくさん生えている。


    草にからみ付いており、葉は無い。これは最近見たばかりのネナシカズラ属の植物だ。


    花を見てみると花弁が開かずに立っている。


    これは間違い無くマメダオシだ。

 なかなか見つからなかったミソハギだが、なんとか発見することが出来た。驚いたのはマメダオシのほうである。田畑の周辺の草むらに生えているのかと思っていたら湖の周辺にたくさん生えていた。最近見たばかりなのでそれと分かるが、そうでなければ枯れたツルだと思って通り過ぎていただろう。

 次の場所は岩がゴツゴツと張り出した岬だったが目ぼしいものは無い。さらに次の場所に移動する。


    イヌタデがたくさん生えていた。


    そしてここにもまたマメダオシがたくさん生えていた。


    結実しかけたものが多かったが、まだ若い花も少し残っていた。


    たくさん茂っていたこのマメの仲間


    これはツルマメか?


    最後に訪問した公園。富士山は見えず。


    この季節にこれが見られるとはラッキーだった。


    カヤツリスゲ。まだ咲き残っていた。


    この公園ではミソハギは植栽のものが満開になっていた。


    見事なミソハギ。自生のものでこれだけの大きさのものはまず見ることが無いであろう。

 自生のミソハギは結局1ヶ所でしか発見出来ず、しかも個体数はあまり多くは無かった。たぶん他の湖の周辺にも生育していると思われるのだが、この花は既に植栽のものが多く出回っており絶滅の心配は無いのではないかと思う。

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