戦中、戦後育ちの私は少年の頃、「鉱石ラジオ」に夢中になり、幾つも作っては、屋外へ持ち歩き聞いていました。
それは短い銅線のアンテナと、エナメルで絶縁した細い銅線をグルグル巻いたコイルと、バリコンと、小さな鉱石の塊、で出来る簡単なラジオです。全部、子供でも手製出来る簡単な部品です。
コイルとバリコンで選んだ特定のラジオ局の電波を音声電流に変えるのが鉱石です。その鉱石へ、「耳あて式のレシーバー」へ繋ぐとラジオが聞けるという仕掛けです。
目に見えない電波をつかんでラジオ放送を聞けるのが不思議です。すっかり夢中になりました。
家の裏山にあるNHKの放送用の巨大なアンテナの傍に行くとコイルもバリコンも不要です。いきなり鉱石にレシーバーを繋ぐとNHKラジオがガンガン聞けるのです。
この趣味が高じて次には真空管を3本用いマグネチック・スピーカーのついたラジオを作ったものです。しかし真空管の原理が分かるとつまらなくなります。
一番不思議なのは電波を音声電流に変える数mm直径の鉱石の塊です。それは現在考えても不思議です。心が躍ります。それと音声電流を音声に変えるレシーバーさえあればラジオが聴けるのですから不思議です。この世の七不思議の一つでえす。
テレビも携帯電話も不思議ですが、真空管式のラジオの原理を知っていると不思議には感じません。本当はもともっと複雑な仕掛けですが、真空管の働きを知っているので分かったような気分になるのです。
しかしデジカメは決定的に不思議です。昔のカメラは外界の映像をレンズで縮小して、感光薬品を塗ったフィルムに焼きつけて写真にしました。
ですから感光薬品を塗ったフィルムが一番重要な部品だったのです。
しかしこの原理は子供でも分かったのです。駄菓子屋や文房具店で「日光写真」の紙を売っていたのです。「日光写真」の紙は白黒の感光薬品を塗った厚紙です。
切絵を自分で作り、買って来た日光写真の紙の上に乗せ、日光に30分くらいあてると切絵が白黒の写真になるのです。
ところが最近のデジカメ(デジタル・カメラ)はフィルムを一切使いません。メモリーチップをデジカメにさし入れすれば数百枚の写真が撮れるのです。その写真をコンピューターに取り込んで、メモリー・チップ内の写真を消去すれば、また数百枚の写真が撮れます。
更に不思議なのはコンピューターに取り込んだ写真をブログへ掲載できるのです。
これは間違いなくこの世の七不思議です。
ところでこのデジカメや家庭用のコンピューターやブログを発明したのは全てアメリカ人なのです。ヨーロッパ人ではないのです。日本人でもないのです。
これも実は「この世の七不思議」なのです。
それはそれとして、天気が悪い日は下のような神代植物公園の写真をこのコンピューターの画面いっぱいに写し出して、ニヤニヤして元気になっています。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
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