今週の金曜日の27日は土用丑の日です。
しかし今年は値段が高騰してとても食べれそうもありません。そこで上の写真を眺めて食べた気分になっています。数年前に諏訪湖畔に投宿し、夕食に近所のウナギ専門店へ出かけて行って家内と一緒に食べた時の写真です。しばらくはこのようなウナギの蒲焼とはご縁が出来そうにありません。
それにしても毎年土用の丑の日が近づくとライン河の天然ウナギを蒲焼にした事を思い出して、苦笑いをしています。。
随分と前の話です。1969年11月にドイツのシュツットガルト市に住んでいた頃の話です。
よく農民市場へ野菜を買いに行きました。その市場で、ある日、生きたウナギを水槽に入れ売っているのです。ライン河で取れた天然ウナギだと言います。売っている人に料理法を聞くと、ブツ切りにしてウナギのスープ(アールズッペ)にするか塩味の燻製にして食べろと教えてくれます。
日本のウナギの2倍くらい太いものを一匹買いカバヤキを作ることにしました。せっかくなので日本人の男性を招待し、カバヤキでドイツビールを楽しむ会をすることにしました。
ところが料理が大変難しいのです。まず頭を取っても、胴体が動いて裂けません。2枚に下ろせないのです。そこで、20cmくらいのブツ切りにして、完全に動かなくなってから2枚に裂きました。しかしウナギの背骨は3角形で切り出せないのです。仕方なく骨付きのまま、2枚下ろしにして蒸して身を固めました。
そうすると竹串が打てるのです。竹串はデパートで売っていました。串を打ったあとは醤油、ミリン、砂糖を混ぜウナギを漬け、耐熱皿に載せてオーブンで蒲焼にするのです。
何度もタレをつけ、ひっくり返しながらオーブンで丁寧に焼き上げます。タレが焦げて台所中にウナギの蒲焼の匂いが充満します。お客が「いい匂いですねー」と台所を覗きに来ます。
いよいよ、カバヤキ・ビールパーティーの開始です。焦げ目のついた分厚いカバヤキを数枚大皿に盛り付けて運びます。串はついたままにします。
琥珀色のビールをなみなみと注いで、ライン河の天然ウナギのために乾杯!
カバヤキを自分の皿に取り、串を抜いて食べはじめます。
ところが不味い!生臭くて、泥臭くて食べられないのです。でもせっかく苦労したので一串は食べました。死ぬ思いで。
生臭いだけでなく、小骨が縦横無尽に入っていて食べ難いのです。
お客は礼儀上、「うん、これはいける!」などと言ってくれます。でも顔があまりにもの不味さ、生臭さで歪んでいます。泣きそうな顔にも見えます。
「止めましょう! 今、チーズを色々持って来ますから」
あれ以来茫々40年経ちますが、夏の土用の丑の日が近づくとライン河のウナギと格闘したこと、生臭かったことを思い出します。そして苦笑いをします。素人がウナギの蒲焼に挑戦することはあまりにも無謀なのです。
それにしても夏になると鰻の蒲焼が恋しくなります。皆様は如何でしょうか?