おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書「戦後責任論」(高橋哲哉)講談社学術文庫

2013-11-29 20:58:14 | 読書無限
 ますますアベ路線の危険性が鮮明になりつつある今日。その本質は、憲法改「正」による戦前と見まごうような国家主義的な国づくり。その第一弾が「特定秘密保護法」の衆院通過。秘密事項を特定するのも、60年後に公開するのも、取材を正当と見なすかどうかも、国会議員の言動にも、国民がつぶやく内容が特定の秘密に属することかどうかも、何もかもすべて、政府・官僚の手に委ねられてしまった。
 次は、領土問題に対する中国、韓国の強硬な態度を奇貨として、一部の国民に巣くう反中・反韓(反北朝鮮)感情を煽り利用しての、自衛隊と米軍との一体化実現への法的整備とその具体化。そのための様々な施策が提案、実行が強行されようとしている。・・・
 大企業の莫大な利益を、国民には還元することなく、景気回復は株高・円安幻想へと目くらまし。消費増税も当初の目的税的要素をかなぐり捨て、社会福祉などへ毛頭回すつもりもなく、国土強靱化、鉄とコンクリートへつぎ込む算段。
 それでも、国民は、これこそ決められる政治、と後押しする気配。その中で、年金生活の高齢者などの社会的弱者はますます痛めつけられ、いのちと暮らしを支えられなくなる・・・。
 そうしたアベ政権にすり寄る「みんな」「維新」。与党単独採決ではなくなり、批判もされない、その役割を見事に果たしている。そのうち、公明党をも切って捨てるのではないか(とはいっても、こうして脅かされるたびに、公明・学会は文句は言ってもけっして自民党から離れられないはずと自民から見くびられている始末!)。

 従軍慰安婦問題。靖国問題。・・・ますます強まるナショナリズム。冷戦構造が崩壊した後のアメリカの世界戦略に積極的に荷担し、その尖兵として大国「日本」を位置づけ、誇示しようとするアベ政権にいよいよ危機感を覚える、今日この頃。
 
 この書は、1999年に発刊されたものの、文庫本化。すでに15年過ぎた論述ではあるが、けっしてその問題提起には古さはなく、むしろ、現在の情勢を予感したかのように新鮮さを感じる。
 戦争責任をあいまいにし、さらには戦後の日本が戦争で大きな被害を与えた東南アジアの民衆との信頼関係の再構築ににこそ、「戦後」の日本の責任がある。このことをすっかり忘れ去って、もやは「戦後」(敗戦処理は)終わったと、反中国包囲網づくりのために、東南アジアを歴訪し経済支援を土産に、「アジアの盟主」としての「日本」を売り込むアベ。
 高橋さんの歯切れのよい論述を読めば読むほど、アベが、維新の橋下が従軍慰安婦で持論を展開することに、一歩引いて対応する姿勢は、まやかしの態度だと思う。
 一事が万事、その政治姿勢の本質を見抜くことが、今、国民一人ひとりに求められているのではか。そのうち、こういう批判的な態度、言動をなす者が「非国民」として扱われる時代がじわじわとやってきているような気配だ。おそらくその前には、在日韓国朝鮮人、あるいは中国人への不当な圧迫が加わってきそうな感すらするが。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読書「ヒトラーとは何者だっ... | トップ | 読書「水の都市 江戸・東京... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書無限」カテゴリの最新記事