Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

信頼が壊れるとき(3)

2020年12月11日 06時52分08秒 | Weblog
暴力-6つの斜めからの省察 -(スラヴォイ・ジジェク 著,中山徹 訳)
 「より現実的な場面を想像してみよう。わたしが無二の親友と職場での昇進をかけてはげしい競い合いをし、その勝負に勝ったとしよう。そのあとで、わたしがしなければいけないのは、[無二の親友である]彼が昇進できるように昇進を辞退することである。そして、彼がしなければいけないのは、わたしの申し出を断ることである。こうすれば、おそらく二人の友情は続いていくだろう。ここにあるのは、象徴的やりとりのもっとも純粋なかたち、拒否されることを目的になされる身振りである。この身振りをしてもしなくても、結局は同じであるにもかかわらず、この操作のもたらす結果は全体的にみて零ではなく、当事者にとっての明確な利点、つまり連帯関係の成立をともなっている---それが象徴的なやりとりの不思議な力である。謝罪のやりとりにおいても同じ論理がはたらいている。わたしが無礼な言葉でだれかを傷つけたとしよう。わたしのなすべきことは、彼にこころから謝罪することである。そして彼のなすべきことは、次のようにいうことである。「きみの誠意に感謝するよ。でも、大丈夫。なんとも思わなかったから。きみも本心でいったわけじゃないし。あやまる必要はないよ」。要点はもちろん、最終的に謝罪の必要はなくとも、謝罪を申し出るという過程は抜かせないということだ。「あやまる必要はない」という言葉が可能になるのは、あくまで、わたしが謝罪を申し出たあとなのである。この結果、形式的にはなにも起こらなくとも、そして謝罪の必要はないといわれたとしても、最終的には得るものがあり、おそらく友情は救われるのである。しかし、拒絶されてしかるべき申し出が、もし受け入れられてしまったら、どうなるだろうか。昇進争いに負けたとき、もしわたしが「きみに昇進を譲るよ」という友人からの申し出を受け入れてしまったら、どうなるだろうか。こうした状況は壊滅的である。なぜならそれは、社会秩序に付随する、自由という見かけを崩壊させるのだから。これは社会の実質の崩壊、社会的紐帯の分解に等しい。」(p198~199)

 川端・三島的な状況は、実は誰にでも起こり得ることであり、スラヴォイ・ジジェクがそれを分かりやすく例解している。
 ジジェクは、昇進を巡るゼロサム的な争いを、「象徴的やり取り」の基盤を成す「拒否されることを目的になされる身振り」によって克服することを提唱している(但し、後述するように、これを単なる「譲り合い」と解釈するのは大きな間違いである。)。
 だが、このやり方は結構危険である。
 まず、ジジェクも指摘するように、「拒否されることを目的になされる身振り」の真意が伝わらず、この申し出が受け入れられるという危険が考えられる。
 そして、これ以外にも、大きな危険がひそんでいるように思われる。
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信頼が壊れるとき(2)

2020年12月10日 06時30分53秒 | Weblog
 三島にとって、川端は、自分の文壇デビューをバックアップしてくれた恩人であり、だからこそ結婚式の媒酌人を頼んだりしたのだろう。
 とはいえ、作家・文人として見れば、二人の間に上下関係などあるはずもないので、あくまで対等な友人同士と考えるべきだろう。
 だから、三島としては、川端の恩情は無償のものであり、これに対して報いる義務があるなどとは全く考えていなかった(義務がなくとも自発的に恩返しする)と思われる。
 ところが、川端は、三島に対し、長年の恩情に対する「対価」(ご奉公)として、ノーベル文学賞を自分に譲ることを求めた。
 川端としては、三島が断れないことは分かっていたはずなので、これは、親分から子分に対する命令といってよい。
 しかも、さすがに「これまでの恩情に報いろ」というストレートな表現が出来ないため、川端が「君はまだ若いから、私は年だから」という風に「長幼の序」を持ち出しているところは欺瞞というほかない。
 この瞬間、三島が川端に裏切られたと感じたことは確実である。
 このやり取りを法的な言葉で表現すると、「 échange の強要によってbona fides が破壊された」 とでも言ったところだろうか?
 
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信頼が壊れるとき(1)

2020年12月09日 06時21分16秒 | Weblog
 川端康成・三島由紀夫 往復書簡を読むと、二人の作家の麗しい師弟・友人関係がよく分かる。
 昭和33年11月、川端夫妻が入院するにあたって三島が送った「御入院に必要な品目」リスト(p122~)などは実に微笑ましい。
 だが、二人の間の信頼関係は、ノーベル文学賞を巡ってなされた川端の言動によって壊れたと思われる。

三島由紀夫は何を遺したか(櫻井秀勲、きずな出版) 
 「この番組(2019年2月4日放送のNHK「クローズアップ現代」)で村松英子さんは、
「三島先生は川端さんのお宅に呼ばれて、『君はまだ若いから、私は年だから、今回は譲ってくれないか』とお頼まれになったと聞きました。ご自分が信じていた川端さんから、そういうことを言われたことがショックだったようです。」
と発言している。私が五十年前、彼女から聞いた内容通りだった。
 ここで正確を期すと、ノーベル文学賞委員会では二人を有力候補にしたものの、どちらに賞を与えるべきか、極東の小国だけに、日本の文壇に詳しい諸外国の評論家に打診していた、といわれる。その中で二人の間で決めてもらってはどうか、という話が持ち上がったようだ。
」(p116~117)

 
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理系学部というオアシス

2020年12月08日 06時41分45秒 | Weblog
【ぼっち】リアルな理系大学生の一日の過ごし方

 私が大学生のころ、よく「法学部砂漠」という言葉が使われていた。
 法学部生はたくさん勉強しなければならないので、マスプロ講義の大教室、図書館と自宅の「トライアングル生活」で無味乾燥な生活を送るという意味の言葉だったようである。
 ちなみに、聞くところによると、ロースクールが出来てからも、「法学部における犠牲強要とクソな競争」は変わっていないようだ。
 これに対し、最近の理系学部の大学生の中には、「犠牲強要」とも「クソな競争」とも無縁な人がいる。
 その代表例が、大学生版「比企谷八幡」とも言うべきパーカーさんである。
 こういう人物が存在しうるのは、理系学部の学生だからなのか(例えば、「双方向型」の講義が重視されるロースクールだと、他人と会話せずに一日を過ごすことは難しい)、はたまた少子化によって「犠牲強要」や「クソな競争」の必要性が乏しくなったからなのか、分からないけれども、ポストバブル期より状況が改善したことは確かなようである。
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家族の力

2020年12月07日 06時23分20秒 | Weblog
大久保嘉人、東京V退団へ「このままでは終われない」38歳現役続行希望
 「「憲剛さんの声を聞いてね。なんだかやめられないと。『憲剛さんの分まで』じゃないけど、最後までやりきりたい気持ちが強くなった。このままでは終われない」と来季以降は、他クラブでの現役続行を強く希望している。」

 大久保選手といえば、家族を大切にすることで有名で、奥さんが奇胎後HCG存続症と診断された際、病気の治療で髪の毛が抜けるかも知れない奥さんを励ますために、子ども達3人と一緒に丸坊主になった話がよく挙げられる(妻を励ますために丸坊主に)。
 このとき、おそらく奥さんは泣いて喜んだのではないだろうか?
 私などは、こういう家族の一員でありたいと思うのである。
 
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帰省の代わり

2020年12月06日 06時04分27秒 | Weblog
帰省の代わりに「年賀状」 コロナで今年超える勢い
 「帰省の代わりに年賀状、今年を超える勢いです。

 年賀状や暑中見舞いの需要は年々減少していたようだが、来年の年賀状に限ればそうではないようだ。
 確かに、帰省したとしても、老親・祖父母が施設に入所中又は病院入院中であれば、面会することは出来ないので、帰省する意味が乏しい。
 だが、お年玉を期待している甥・姪たちがいるのであれば、帰省しないとガッカリさせてしまう。
 帰省しない代わりに、「現金書留でお年玉」をやってみるのはどうだろうか?
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逆襲

2020年12月05日 06時02分40秒 | Weblog
【独自】「桜」前夜祭巡り安倍前首相の公設秘書を立件へ…東京地検、政治資金規正法違反容疑で
 「安倍晋三前首相(66)側が主催した「桜を見る会」の前夜祭を巡り、東京地検特捜部は、政治団体「安倍晋三後援会」の代表を務める安倍氏の公設第1秘書を政治資金規正法違反(不記載)容疑で立件する方針を固めた。
二階派で3人目の逮捕者?吉川元農水相の疑惑のきっかけは河井夫妻事件
 「自民党の吉川貴盛元農水相(70)=北海道2区=が、養鶏会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の元代表から数回にわたって、計500万円を受け取った疑いがあることが、東京地検特捜部の捜査でわかった。

 安倍前首相秘書の件と吉川議員の件から、東京地検特捜部が、自民党主流派をターゲットに定めていることが窺われる。
 こんなことになった理由についてだが、黒川氏問題と検察庁法改正の件で、安倍・菅ラインが法務・検察を敵に回したからだと考えるのが自然だろう(はしごが外れるをご参照)。
 おそらく、法務・検察の逆襲が始まったのだろう。
 経産省や財務省に加え、法務・検察までも敵に回したとなると、政権運営はなかなか厳しいものになりそうである。
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世襲業界

2020年12月04日 06時35分15秒 | Weblog
杉さんの言葉 藤井比早之

 有料記事なので上のリンクで全文は読めないが、政界だけでなく、芸能界でも世襲化が進んでおり、杉良太郎さんのような大スターでさえ苦労したという話が載っている。
 政界については、叩き上げの菅さんが首相となり、若干は変わっていくのかもしれないが、芸能界の方はどうだろうか?
 
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ファースト・キャット

2020年12月03日 06時12分17秒 | Weblog
ホワイトハウスに猫が帰ってくる。12年ぶりの「ファーストキャット」をバイデン氏が飼うことに 猫好きにも朗報。犬だけじゃない、ホワイトハウスに猫も戻ってきます!
 「バイデン氏は大統領選挙で勝利が確実になった後、「この国を分断ではなく団結させる大統領になる。赤い州や青い州ではなく、団結した国にする」と宣言した。犬と猫の両方を飼うことは、そんなバイデン氏の団結政策の助けになるかもしれない。

 アメリカにおける「ファースト・キャット」の復活は、団結政策の一環のようだ。
 ところで、犬好きか猫好きかは、「飼い主の性格による」と言われてきたが、そうとは限らないと思う。
 なぜなら、犬のような性格の猫もいるからである。
 たとえば、「もちまる」などは、飼い主にべったりで、まるで犬のような性格である(もちまる日記)。
 
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禁止の解除

2020年12月02日 06時13分15秒 | Weblog
20年前に任天堂を訴えたユリ・ゲラーさん、「ユンゲラー」のポケモンカードを許可すると明らかに
 「ユリ・ゲラーさんは11月29日にTwitterで、「20年前にしたことを本当に申し訳なく思っている。ユンゲラーの禁止を解除する。ユンゲラーのカードが復活するかどうかは任天堂次第だ」と投稿しました。

 懐かしい名前だが、ユリ・ゲラー裁判というものがあったのだ。
 超能力者も裁判所に頼るしかない場面があったのである。
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