音楽、絵画、彫刻、小説など一般に芸術の分野とされるものの効能は
まずはそれらと対峙している時に感じられる楽しさや快感(ある時は苦痛)
ところが案外馬鹿にできないのは、それから先の事
たくさんの芸術作品に触れる事によって
人は知らないうちに何らかの審美眼を持つ事ができる様になる(のではないか)
つまり古典となった作品群は(音楽、絵画、彫刻、小説などの)
作家が心血を注いで作り上げたもので
それを味わうためには受け手もそれなりのエネルギーを必要とされる
この多少困難を伴う経験を重ねる事によって
人は初めて対峙するものが(人でも作品群でも)
本物かそれとも安易なものかを直感的に判断できる様になる
例えば、好き嫌いは別にしてドストエフスキーの小説を何冊か読み終えたひとは
その濃厚さを一旦味わってしまうと
大概の小説は軽く感じてしまう
勿論それは比較の上で、しかも長くは続かない感覚かもしれないが
とにかくそんな感覚を持つ
ケーキ、食事でも美味しいものを味わってしまうと
今度は評価がその美味しいかったものとの比較になる
芸術等の場合はこの比較する感覚が
芸術の一分野に止まらず一般の判断にも適用できそうなところがある
そしてこれが芸術の効能のひとつ
と考えるのは夢想家の戯言か?