パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

海外派遣の高校生は、何を感じたか

2019年09月07日 08時54分44秒 | あれこれ考えること

電車で見かける高校生をやたらと幼く感じることが最近多い
自分は年齢を重ねていくが、高校生は15歳から18歳くらいまでで
いつも同じだから、自分が歳とった分だけそう感じるのかもしれない
高校生がこんなだから自宅の前を自転車で通り過ぎる中学生は
もっと幼く思えて、まるで小学生そのものと感じてしまう

昨日「高校生海外派遣報告会」が新城商工会議所で行われた
これは世界中の「新城」と名付けられた都市との交流を目指した
「ニューキャッスル・アライアンス」事業の一環で、毎年海外の
「新城」に一定数の高校生を派遣し、交流を深めると同時に
個人の経験を積んで今後に生かしてもらおうとするものだ

今年はイギリスのニューキャッスル・アポン・タインへ
15名の高校生(女性9名・男性6名)が派遣されたが
自分たちの若い時代はこんな興味深い試みなどはなかった
と少しばかり羨ましい思いを持ちながら報告を聞いた

報告会とはいうものの、派遣の高校生がみんな平等に報告するので
時間がたりず、結局深いところまでの報告はなかった
ただ、多分初めての海外旅行ということで、それに対する高揚感が
メンバー全体から感じられた

自分が一番関心を持ったのは、彼らが何を感じたか、、という点
英語の必要性を改めて実感したとか、積極的な態度が必要とかは
想像できたので、それ以外に何が心に残ったか知りたいと思った

公的な派遣のせいか、受け入れ側が「おもてなし精神」を発揮して
飽きないようにいろんな場所へ連れて行ってくれたり体験をさせてもらったようだ
ロンドンにいってハリー・ポッターの電車のプラットホームの撮影場所にいったり
武藤が所属するプレミアリーグのスタジアムに行ったり、2階建てのバスに乗ったり
そして彼らも、無邪気に思いっきり楽しい時間を過ごしたようだ

でも自分の関心はどうしても、彼らは遠くの地で何を感じたかという点で
それは自分の体験との比較となる

自分が最初の海外に出たときは、まずは日本との違いに驚いた
石造りの街、電柱のない景観、右側通行、横断歩道の信号、日曜休みの店舗、教会の多いこと
最初に驚いたのはこんなことだった
もう少しすると人に関することに移って
ユースホステルで知り合ったなかには、いい年をした(20代後半とか30代)の学生が多いことに驚いた
また街(コブレンツ)をブラブラ歩いていると、ちょいと酔っ払ったおっさんが
「お前は日本人か、今度も一緒に(戦いを)やろうな。イタリアは除いて」
と話しかけてきたのを覚えてる

ポーランド人がやたらと日本のことについて詳しいのに驚いた
大相撲の話とか、アントニオ猪木がモハメッド・アリと戦ったことだとか
遠藤周作だとか(彼はポーランドでなにかの賞をもらっていたようだが)
これは、当時ソ連の実質的な支配下にあったポーランドが
日露戦争で大国ロシアに勝った日本を、少しばかり尊敬の目で見ていたことの裏返しのようだ
(彼は共産主義ノーノーとこぼした)

その他にも食べ物に関すること
意外に質素な食生活(ドイツ)色とりどりの生命力に満ちた野菜や果物
水は炭酸入りが標準だったこと

石造りの住居に住む人たちの孤独は、日本の木造の家に住む人達の孤独とは
少し違うように思えたこと
桁外れのお金持ちや王侯のその豪華な生活ぶりを知ることで、
その立場にたちたいという欲望は自然に湧き上がる感情かもしれない、、と思ったこと

こうしたちょっとした気付きの中で、徐々に日本と比べている自分がいるのに気づいた
ここが日本は駄目だ、、経済大国と言われていても実質的にはまだまだだ、、
その感情は、数年前にドイツ・オーストリアを旅したときも感じたことだった

海外に出ることによって必然的に感じる日本との違い
高校生の心の中に何が刻まれたのか、、
その素直な気づきを知りたいと思ったが、残念ながら高校生の時点では
内的なものまで落とし込まれるまではいっていない気がした

でも個人差はあるし、時間の経過でいつかこれらの経験が急に大きな意味を
持つようになるかもしれない
これは市長のあいさつにもあったが、普段意見を異にすることの多いが
洞察力と実感に満ちたこの部分は、珍しく納得した

もしかしたら自分の感じ方は案外、市長と似てるのかもしれない、、(世代も一緒だし)
だから、彼の考えることが予想がつくとか、、と不意に浮かんだが
洞察力や想像力、知識は認めるとしてもスタートの部分が違うから
結局は水と油かな、、

海外にトライする人間の男女比は、もしかしたら女性が多くて彼女らは遊びで海外にでかけたとしても、
そこで世界の標準とか世界から見た日本を見るようになるに対して、
男どもはいろいろ理由をつけて外に出ず、結局は日本国内の常識とされいる、もしかしたらガラパゴス状態の
判断基準に支配されているのではないか、、との不安が浮かんだが
二年に一度行われるこの高校生海外派遣事業の前回は、男子のほうが多かったと聞いた
それで、少しホッとしたが、、実態はどうなんだろう

それにしても高校生は幼いな、、(それ故かわいいな)
あの中で「カラマーゾフの兄弟」を読んで、頭が破壊されるような経験をしている人がいたのだろうか
と自分を振り返って、つい思ってしまった

コメント
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