パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

大晦日に聴いた曲

2020年12月31日 19時52分52秒 | 音楽

生の演奏会ほど集中はできないが、家で録音媒体を聴くのは都合の良いこともある
それは自分勝手に(聴く)プログラムを組むことができることだ
交響曲とかピアノ・ソナタのお気に入の楽章だけとか
歌があったり、ソロ演奏だったり、作曲された時代がバラバラだとか
そうしたものがその時の自分の気分で好き勝手に並べられる

昨日のうちに今日聴こうと決めていた音楽を聴いた
それ以外にも耳慣らしがあったので、今日のプログラムは
スメタナ作曲 「モルダウ」  フルトヴェングラー指揮 ウィーンフィル
ベートーヴェン作曲「弦楽四重奏曲7番」 第三楽章 ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
ベートーヴェン作曲「ミサ・ソレムニス」アニュス・デイ クレンペラー指揮 ニューフィルハーモニー管弦楽団
ベートーヴェン作曲「ピアノソナタ32番」ピアノ バックハウス

モルダウとフルトヴェングラーの組み合わせは意外な感じもするが
冒頭のフルートの掛け合いから別世界に誘う
普通の演奏よりは遅い
だが遅くすればあのニュアンスが誰にでも生まれるかと言えばそうではない
何かが確かに違うのだ
音の意味合い、、フルート同士の対話、、聴手に語りかける音色
そしてこのあとあの有名な旋律が弦で奏された時、憧れが胸いっぱいに広がるこの感じ
これは彼の演奏でしか感じられない
聴く度に何が違うだろうと思ってしまう

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲7番は、ラズモフスキー一番とも呼ばれるが
第三楽章が考えるアダージョでとてもこころが落ち着く
アダージョの作曲家はブルックナーが有名だが、ベートーヴェンも負けていない
沈潜した思考は、ブルックナーの自然の中の音とは少し違う

ミサ・ソレムニスのアニュス・デイは、初めて聴いた時は涙が出て止まらなかった
人生の最後の最後においてベートーヴェンが「憐れみ給え」とか「平和を」と
心から訴える音楽は、移行部のヴァイオリンのフレーズのところでこらえきれなくなった
冒頭のバリトンの深い音楽に、徐々にソプラノ等のソロの歌手が加わって
それぞれが絡み合うさまは「美しい」としか言いようがない(自分にとっては)

最後のピアノ・ソナタはベートーヴェンの全作品の中でも好きなものの一つ
特に第2楽章の変奏曲は信じられない別世界の音楽だ
ハ長調で肩の力を抜いて奏される旋律はとても美しい
美しいと言っても感傷的とか聴きやすいというのではない
それは何度も検討され、無駄なところは削りとられた、純度の高い旋律だ
ただこの旋律を美しいと感じるには、聴く方の経験が(人生体験が)必要だ(と思う)
渋い音楽というのでもない、、ただ時間を経たものにしかわからない音楽のようだ
好きな曲だけにこの音楽のレコードやCDは何人かのピアニストのものを持っている
その中でバリバリと坦々と弾ききってしまうバックハウスが、全体をガチッと把握した上で
演奏されているようで、名人芸と言うよりも、その把握の仕方に参ってしまっている
バックハウスはピアニストのコンクールでバルトークを破って一等賞になった人物で
なるほど、バルトークなみの音楽家だといつも実感する


 


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