小説以外の本(例えば解説書など)を読む場合
その中に一つの印象的な事柄を見つけられれば
元はとったと思うことにしている
最近読んでいる本「不安に克つ思考」
(多くの学者さんや経済人のインタビュー記事が載っている)
の中で見つけたそれはピケティが扱われた章で
ここには直感とか今までの常識的な考え方とは異なる事実が紹介されている
それは、有権者の行投票行動が所得、資産、学歴、民族的出自、宗教に応じて
どのように変化するかを調査した結果(調査期間は1948年〜2020年)
「左派政党を支持するのは庶民から高学歴層になった」との実態が書かれている
以前は、容易に想像できるように庶民階級が平等社会を求めて社会主義政党に投票し
「ブルジョワ」階級(高学歴層もここに含まれる)は保守政党に投票していた
(これはブルデューの「ディスタンクシオン」でも似たような結果が紹介されているだろう)
ところが、徐々にこの投票行動に変化が生まれてきて、社会的に恵まれた階級と
庶民の階級の間の双方で分裂が起きてきたとしている
社会的に恵まれた階級においては、所得が最も高い層は右派政党をし続けたのに対し
学歴が最も高い層は左派政党を支持するようになったというのだ
(高学歴の人々はノブレス・オブリージュの考えが身について
左派の理想にも違和感を持たないのかもしれない)
庶民階級でも移民の問題、人種問題をめぐって分裂が起きて
アメリカでは低学歴の白人(庶民層)は共和党(保守政党)へ
投票するようになった(以前なら自らを守るために社会主義政党に投票していたのに)
それはいくつかある理由の中で、社会に金融市場の規制が緩和され
資本の移動が自由になったが、そのような規制緩和を税制の調整もせずに
徹底的に推進したのは(頭でっかちの)中道左派の連中とみなされることになった
そうしたことから、中道左派政党はグローバル化で勝ち組となった人の
政党と思われるようになった
簡単に言ってしまえば
頭の良い人々(学歴の高い人)の良しとする政党は左派
それについて行けなかった底辺の人は保守党にシンパシーを感じるということ
最近はこの様に社会は経済的な分断だけではなく、学歴による分断もあるということだ
これは反知性主義と言われる人々が、知性主義(理想)を標榜する人を煙たく思い
もっと地に足のついた現実の問題に心を寄せてくれる人を支持するということだと思う
左派の高邁な理想より、現実対処法を打ち出す保守の方が
庶民には近しい気持ちを持つのだろうと想像する(これは特にアメリカ社会)
で、日本はどうなのか?と考えると
この国はそもそもそうしたことを突き詰めて考える国ではない気もする
「なんとなく」とか、「みんながそうだから」とか
所謂「空気」というものが今も大きな力を持っている気がする
ということで、一般論で社会のことを思っても
自然と自分の国のことを思うようになる
これは外国に行っても気がつくと自国のことを考えるのと同じだ
またもや日曜日らしくない、まとまらない話
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