■舞鶴展示訓練2007
2007年7月28日に行われた舞鶴地方隊による舞鶴展示訓練、本日は日本海におけるその模様を詳報として掲載したい。
舞鶴展示訓練の参加艦艇は、舞鶴基地に所在する艦艇の一年間の訓練成果を各種展示を通じて一般に公開する行事で、一般公募により見学することが出来る。舞鶴展示訓練に参加したのは護衛艦5隻、潜水艦1隻、掃海艇2隻、ミサイル艇2隻、海上保安庁巡視船1隻の計11隻で、航空機は6機が参加した。
護衛艦『はるな』艦上より、展示訓練海域までの長い時間を利用して、護衛艦の仕組みについてや、操砲展示、各種装備の説明を行う。
展示訓練海域には、既に進出した護衛艦が停止状態で待機している。観覧者同士、艦上から手を振って同好の士の絆を確かめる一幕もあった。
護衛艦『はるな』の艦橋。海上自衛隊護衛艦では最古参、第3護衛隊群旗艦というだけあって、士気は高く、行動や言動は洗練され無駄が無い。
イージス艦『みょうこう』を中心に、『はるな』以下の単縦進に対して反航する護衛艦部隊。緻密精密な航海技術は旧帝国海軍以来の伝統、いよいよ舞鶴展示訓練の開始だ。
旗艦『はるな』艦上、艦橋の上で、舞鶴地方総監が座乗する『みょうこう』に敬礼の準備を行う第3護衛隊群の鍛冶雅和群司令。
イージス艦『みょうこう』。第3護衛隊群第63護衛隊の護衛艦であり、日本で三番目に就役したイージス艦。満載排水量は9500㌧に達し、北朝鮮弾道弾追尾や工作船浸透事案海上警備行動など、日本海の護りという言葉を艦歴にしたような殊勲艦だ。
『みょうこう』艦上、舞鶴地方隊の加藤耕司総監と幕僚たち。艦橋には多くの見学者がみえる。向こうもこちらも、艦船ファンで、行うことはやはり同じ。
『せんだい』が参加した背景には舞鶴地方隊の護衛艦一隻に不具合があり、代えて九州から参加した一隻。その向こうには舞鶴地方隊の『はつゆき』型護衛艦がみえる。
舞鶴地方隊第24護衛隊の護衛艦『みねゆき』。満載排水量は4000㌧で、護衛艦隊用の『はつゆき』型を地方隊用に転用したもの。
群青の大海原を背景に大型護衛艦と小型艦艇が続々と続いている。
『はるな』の5インチ単装砲が訓練展示において空包を発射する。
突き抜ける砲焔とともに噴出す白煙が衝撃波とともにこちらにやってくる。
艦隊行動を展示する舞鶴地方隊第24護衛隊の『あぶくま』と、佐世保より展開した『せんだい』。ガスタービンの熱気が遠景にみえる艦影をぼやかしてみえる。
横須賀の第2潜水隊群第4潜水隊の潜水艦で、水中排水量は3200㌧である。
掃海展示に向けて前進する掃海艇。各国では安価なFRP製の掃海艇が建造される中、耐爆性や対磁気機雷用に優れた木造掃海艇の建造を堅持してきた。
ミサイル艇が後方より展示に向けて高速で前進してくる。俊足を活かして一撃離脱を行うミサイル艇は高速航行の展示を行った。
先を往く艦隊。先頭の艦からは艦首に白波を蹴立てて前進する様子がみえただろう。第3護衛隊群には旗艦よりも大型のイージス艦2隻が配備されているが、この後十年で、新型の大型DDHが配備されれば、この様子も様変わりするだろう。
『うわじま』型掃海艇の『ながしま』。第44掃海隊の一隻。いままさに波を乗り越えている瞬間だ。掃海艇は掃海機具の曳航を展示していた。
舞鶴警備隊第2ミサイル艇隊の高速航行。舞鶴地方隊には3隻のミサイル艇が装備されている。ミサイル艇は、高い打撃力を有するが、島嶼部防衛や対浸透戦には、スウェーデンの90H型襲撃艇や駆潜哨戒艇のような戦闘艇も必要になろう。
満載排水量は240㌧、44ノットの俊足を活かして打撃戦に、哨戒にと、各種任務につく。
能登半島沖北朝鮮工作船浸透事案を契機として導入された警備力強化型巡視船で、導入の経緯から『はやぶさ』型ミサイル艇と類似する点がある。海上保安庁巡視船としては珍しく、ダメージコントロール機能などを付与されている。
ミサイル艇による機動展示。防御は専らチャフ・フレアと機動性、16200馬力のガスタービンエンジンとウォータージェットが高い機動性を付与している。
航空機による飛行展示。SH-60J哨戒ヘリコプターが3機編隊で上空に進入してくる。
対潜魚雷二本を搭載し、対潜センサー、データリンクを駆使して潜水艦を追う任務を有する。滞空時間が長く、進出速度が早いヘリコプターは、潜水艦の行動を大きく制約させる強敵だ。
哨戒ヘリコプターは、機動飛行なども展示した。工作船対策用に映像伝送装置、機銃、防弾装備などの追加改修が逐次行われている。
本機は海上自衛隊の主力航空機で、導入は1981年からであるが、捜索能力向上のためのレーダー改修、衛星通信装置、自衛装備(チャフディスペンサー)装備など、進化を続けている。
航空自衛隊の主力戦闘機である本機は、海上自衛隊機にはできない高速度飛行などを展示した。
舞鶴基地に向けていっせいに単縦進を解き、進路を反転させる。
護衛艦「はるな」艦上では、ヘリコプター護衛艦ならではの広大な飛行甲板を利用して様々な催しが行われた。その幾つかを紹介したい。
その一つが喇叭の展示。号令に用いられる喇叭は演奏用ではなく、文字通り実用品。入出港から敬礼、国旗掲揚から巡検に警報まで、様々な展示を行った。
後方の格納庫では、グッズ販売が行われていた。3機の哨戒ヘリコプターを搭載する広大な格納庫は日差しを避けて、多くの観覧者で賑わった。
舞鶴基地までの道程は、かなり時間を要する。艦内では、カキ氷やアイスクリームが即売されており、食堂は家族の団欒や、初対面の艦船愛好家同士で情報交換や感想の話題が弾む。
乗員の人に聞いてみると『はるな』でも、こういった試みは最初のようだ。
寸劇の内容は、映画「海猿」に憧れた隊員が、水中処分隊を志望し、厳しい訓練を乗り越えて憧れの徽章を手に入れるまでの道のりをコメディタッチで展示。
乗員に演劇好きがいたから実現したとの事。なかなか好評だった。
二隻の掃海艇の背景にみえる美しい舞鶴の情景は、早朝の出港時と夕刻の帰港時で、また表情をかえる。
潜水艦の姿もみえた。燃料タンクを背景に、入港する様子は文字通り軍港の姿であり、美しい日本海の情景を平和に保つべく、強力な艦艇部隊が日々、訓練を続けている。その一こまを、僅か数時間ではあるものの、今回の展示訓練見学でみることができた。日本海、北方海域、太平洋、南西諸島で、こうした展示訓練は行われている。
HARUNA
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