■空母キティーホーク、横須賀から最後の出港
日本海海戦を記念する海軍記念日翌日にあたる今日、1998年から今日までの間、アメリカ海軍横須賀海軍施設に前方展開していた空母キティーホークが除籍のために日本を離れた。
空母『キティーホーク』は、横須賀に前方展開する航空母艦としては『ミッドウェー』『インディペンデンス』に続き三隻目にあたる。同艦はパールハーバーにおいて『インディペンデンス』より装備人員の移駐を受け、1998年8月11日に横須賀基地へ入港、以来、9.11同時多発テロに伴うアフガニスタン空爆、2003年のイラク戦争への参加を筆頭として北東アジア地域におけるアメリカ海軍の最大限のプレゼンスとして君臨し続けた。
1961年に就役した『キティーホーク』は、艦齢延長工事とともに近代化を重ね、世代とともに艦載機も一新。巨大な空母の船体は、F-4,A-6,A-7,A-8等からF-14、F/A-18、そして今日のF/A-18Eに至るまでの航空機の近代化にも対応し、想定される最大限の脅威に対しても対応する能力を保持し続けた。
満載排水量81123㌧、全長は323.6㍍にも達し、イージス艦や原子力潜水艦より成る空母機動部隊の作戦能力は中小国の空軍力や中堅国の海軍力を遥かに凌駕する規模を誇る(GEORGE WILSONの著書『SUPER CARRIER』によれば、アメリカ海軍の航空母艦はあまりもの人員と装備規模から、空母艦長には経営学修士号や経済学博士号をもつ海軍軍人が優先されるとのこと)。
国際政治の観点から国際経済、更には国際金融の観点などからも、アメリカや世界にとっては北東アジア地域の安定は重要な課題であり、これは冷戦中から今日、そして見通せる限りの将来にわたっても不変の命題である。航空母艦の前方展開が有する意味は、アメリカ海軍の航空母艦勢力が冷戦以後減少を辿っていることからもポテンシャルが高まっていることを示しており、同時に良好な日米関係の象徴ともいえる存在である。
HARUNA
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