◆日本電気製、野外通信システム14式を調達
朝雲新聞が平成24年度防衛省中央調達実績を発表しました、これによれば防衛産業は、三菱重工、日本電気、川崎重工が上位三社を占めた、とのこと。
防衛産業、と言いますと戦車やイージス艦に戦闘機を生産する三菱重工、そして続いて川崎重工が、という印象が強かったのですが、平成24年度の調達に限って述べるならば、川崎重工よりも日本電気がその中心を担い、三菱重工に次いで第二位の取引額を有していました。
主要調達を俯瞰しますと、陸幕では、野外通信システムが日本電気より14式が877億円、10式戦車が13両三菱重工より111億円、99式自走榴弾砲が日本製鋼所より6両43億円、CH-47JAが川崎重工より3機135億円、UH-60JAが三菱重工より2機47億円と続きます。
AH-64Dは一機富士重工より31億円、対空戦闘指揮統制システムが三菱重工より一セット51億円、03式中距離地対空誘導弾二セット293億円、1式地対空短距離誘導弾二セット東芝より95億円、87式対戦車誘導弾一式41億円を川崎重工から、中距離多目的誘導弾1セットを43億円で川崎重工から。
海上自衛隊は、19500t型22DDH一隻がジャパンマリンユナイテッドより740億円、イージス艦へのミサイル防衛能力付与改修契約が米海軍床より一式を341億円、潜水艦2900t型一隻が308億円を川崎重工と富士重工が、P-1哨戒機用エンジン3セットがIHIより33億円で契約となりました。
加えて、海上自衛隊との契約ではMCH-101掃海輸送ヘリコプター3機を川崎重工と142億円で、哨戒ヘリコプターSH-60K7機を197億円で三菱重工及びIHIと、12式魚雷一式を三菱重工と121億円で、シースパローミサイルRIM-162を一式95億円で、それぞれ契約しています。
航空自衛隊ではF-35A戦闘機一式が米空軍省と569億円、C-2輸送機が川崎重工と2機が287億円で、救難ヘリコプターUH-60Jが二機を三菱重工が30億円で、地対空ミサイルペトリオットが三式を三菱重工と773億円で、99式地対空誘導弾B一式を57億円で、レーダーセットAN/APG63V1が一式95億円で三菱電機と契約した、とのこと。
技術研究本部は03式中距離地対空誘導弾開発費に一式110億円を三菱重工と、XASM-3空対艦誘導弾を三菱重工と一式89億円で、新電子戦システム一式を三菱電機と69億円で契約し、防大より8億円、防衛医大より16億円、内局より110億円の契約が交わされています。
防衛装備品の契約は全体では6833件と前年度よりも1871件減少したとのことですが、金額は全体で1兆5287億円と前年度比では572億円増額されています。全体では電子関連装備品の契約が相当大きな比重を占めています。
師団通信システムは一挙に全師団と旅団に当たる14式が調達され、877億円と戦車100両分にあたる費用です。情報共有が協同交戦能力を以て全体の能力と高めると共に、その整備費用が相当おおきいことを端的に示しているといえるでしょう。
その費用面では、19500t型護衛艦やF-35A戦闘機五機の取得費用よりも大きく、逆にその費用対効果の高さも垣間見えるようです。なお、本文に一式とあるものは必ずしも一セットを示すものではなく、同種の装備を一式としたものとなっています。
実は防衛装備品は我が国を防衛する陸海空防衛という装備体系、システムの一要素を個々の装備品が構成しているもので、これらを連携させる通信システムや共同交戦能力が装備品の能力発揮と全体の能力を大きく左右させるため、此処の装備品単体の能力検証は必ずしも全体の能力を反映するものではなく、防衛装備品に関する検証と研究を行う上での大きな留意点となっていることを忘れてはなりません。
北大路機関:はるな
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