◆再起動に成功した嘉手納以南返還合意
嘉手納基地以南の米軍基地全面返還、これは民主党政権交代以前に日米合意で決定し、民主党が覆し初期化した課題でしたが、年内に推進するようです。
6月13日に日米合同委員会に置いて決定したもので、小野寺防衛大臣臨時記者会見によれば返還が実現するのは、キャンプ瑞慶覧に隣接する西普天間米軍住宅地区の返還で、当初予定よりも半年間はやく年内にも返還が実現する方向で調整している、とのこと。
半年間の前倒しは、地元宜野湾市からの早期返還を求める要望に対応するもので、返還される米軍施設は地権者へ返還されることとなっています。この年内返還とは、管理替えを意味するのではなく、年内に地権者へ土地が返還される、とのことで、これにより宜野湾市が構想する観光開発などが進むこととなるでしょう。
返還されるのは住宅地区で、航空基地ほど再利用への障壁は大きくは無く、他方用地返還は西普天間の場合、当初の巨大商業施設への再利用に失敗し荒廃している読谷補助飛行場跡地に比べれば那覇市街地に近いため、住宅街としての需要も大きいといえるかもしれません。
加えて、今回は半年間前倒しで実現するという方針が、米議会で実現性が疑問視され予算の凍結などが指摘される在沖米軍のグアム移転事業への具体的な推進について、民主党政権の何も決まらず先送りのみ政治主導で決定するという方策からの、自民党政権への転換に合わせた脱却と推進を印象付ける点で意義は大きい。
併せて、宜野湾市が求める航空機事故への懸念についても、これは改善されることとなります。普天間基地の航空機についても安全性が向上する計画で、具体的には今年夏には老朽化が進み構造疲労などが指摘されている旧式のCH-46が新型に代替されることが発表されましたが、他にも旧式木の置き換えは進みます。
既に旧式化していたUH-1N汎用ヘリコプターは昨年までに改良型のUH-1Yへ置き換えられましたが、AH-1W攻撃ヘリコプターも新型のAH-1Zへ、CH-53D重輸送ヘリコプターもCH-53E機種転換が開始される計画で、これにより普天間基地の所属航空機が一挙に更新されることとなります。
普天間基地そのものについての返還計画は名護市への代替飛行場建設が沖縄県側の反対により遅々として進みませんが、仮に実現すれば沖縄の玄関である那覇空港から最初の米軍基地まで、鉄道とバスを乗り継いで延々一時間半を掛けて足を運ばねば出会わない事となり、これは沖縄が米軍基地の島、という印象を大きく塗り替える事でしょう。
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