北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

富士学校開校60周年・富士駐屯地祭(2014-07-06) PowerShotG-16撮影速報

2014-07-08 23:46:07 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆富士教導団迫力の観閲行進

 富士学校開校60周年・富士駐屯地祭(2014-07-06) PowerShotG-16撮影速報、少々遅くなりましたがお伝えしましょう。

Fsimg_4624 富士学校長武内誠一陸将へ敬礼する富士教導団長山中洋二陸将補、武内陸将は第四師団長を経て富士学校長へ着任されました。富士学校とは、陸上自衛隊の普通科特科機甲科の職種専門教育及び戦術研究と新装備評価試験を行う陸上自衛隊の教育機関で、学校総務部、管理部、普通科部、機甲科部、特科部、富士教導団、部隊訓練評価隊を以て編成されています。

Fsimg_4640 富士学校祭の観閲行進、その主役は富士学校の実動訓練や放火試験などを担う富士教導団です。その先頭に先ず、団本部及び本部付隊の観閲行進が開始されました。富士教導団は人員約4000名、旅団規模の部隊です。団本部及び本部付隊ですが、写真では96式多目的誘導弾システムが観閲行進に参加していますね。

Fsimg_4655 偵察教導隊、偵察部隊は機甲科職種に属する部隊ですが、師団や旅団の最先鋒となって敵勢力の規模や陣地展開状況を威力偵察する部隊です。なお、富士教導団の編成は本部付隊、普通科教導連隊、戦車教導隊、偵察教導隊、特科教導隊、教育支援施設隊、教導団教育隊、教導団音楽隊を基幹編成としています。

Fsimg_4663 偵察教導隊の87式偵察警戒車、25mm機関砲と微光増倍方式暗視装置を搭載しています。機関砲を以て威力偵察に当たる装備で、自衛隊では敵の有無を図るのが斥候、敵の規模や能力を図るのが偵察と区分しており、偵察隊は後者の任務に当たる。

Fsimg_4668 普通科教導連隊の観閲行進、82式指揮通信車の射場より連隊長麻生竜伸1佐が敬礼、滝ヶ原駐屯地に駐屯しており、観閲行進へ富士駐屯地へ展開してきました。本部管理中隊、第1中隊、 第2中隊、 第3中隊、 第4中隊、 重迫撃砲中隊、対戦車中隊 、を以て編成されています。

Fsimg_4690_2 第1中隊、89式装甲戦闘車を装備しています。35mm機関砲と対舟艇対戦車誘導弾を装備し、戦車に随伴可能な機動力と一定以上の防御力を装備する装甲戦闘車です。当初は350両程度生産され、北部方面隊の各師団へ一個連隊程度が配備される計画でしたが、冷戦の終結に伴い戦車師団である第7師団の普通科連隊一部中隊に配備される程度にとどまりました。しかし、統合機動防衛力の整備には今後必要となる装備と言えるでしょう。

Fsimg_4702 第2中隊、軽装甲機動車を装備しています。2000年より大量配備が開始され1800両が配備、現在も生産が継続されている装備です。小型装甲車に小銃班を分散させることで乗車戦闘の火力単位分散化を図りました。北部を除く全国の普通科連隊の一個中隊が充足されており、01式軽対戦車誘導弾の機動手段としても運用されているため火力は侮れません。

Fsimg_4719 第3中隊、高機動車を装備しています。陸上自衛隊の代表装備となった本車は1992年より配備が開始、普通科連隊のほぼすべてに装備されているほか、全ての職種部隊の装備運用母体ともなっています。普通科部隊では小銃班一個をそのまま機動させる装備として多数装備されており、高機動車化中隊は普通科中隊の代表的編成と言えるかもしれません。

Fsimg_4730 第4中隊、96式装輪装甲車を装備しています。戦車師団を除く北部方面隊全ての普通科連隊に一個中隊が配備されているほか、戦車部隊や特科部隊に一部施設科部隊や通信科部隊と後方支援部隊等に装備されています。路上を迅速に展開する装甲車両です。このように普通科教導連隊は全ての部隊運用を研究可能なように各中隊が異なる装備を持っています。

Fsimg_4739 対戦車中隊、79式対舟艇対戦車誘導弾、96式多目的誘導弾、中距離多目的誘導弾等を装備しています。陸上自衛隊は各国と比較しても非常に重層な対戦車誘導弾体系を有しており、これは冷戦時代にソ連の戦車部隊への大綱を重視して編成された所以と言えるもの。

Fsimg_4754 重迫撃砲中隊、120mm重迫撃砲RTを装備しています。フランス製で射程と持続射撃能力に命中精度が高く、500門を装備しています。師団普通科連隊に中隊規模で、旅団普通科連隊に小隊規模で装備されています。高機動車で牽引していますが、もともと高機動車もこの牽引用としての位置づけが強かった。

Fsimg_4761 特科教導隊、隊長の小野真嗣1佐が敬礼、野戦特科部隊の教育訓練及び高級教育、新装備評価試験と戦術研究や照準標定戦法等を研究する部隊で、特科部と協同します。昨年度より指揮通信車に代えて装輪装甲車を指揮車両として大量装備するようになりました。

Fsimg_4771 特科教導隊第1中隊、FH-70榴弾砲を装備しています。英独伊共同開発のFH-70は連続射撃能力と持続射撃能力に射程が大きく高性能な装備として完成しましたが、取得費用が大きく自走榴弾砲並みの費用を要したため欧州では一部装備となったのですが、陸上自衛隊は全欧配備総数を上回る479門を導入しています。

Fsimg_4778 第2中隊、こちらもFH-70榴弾砲を装備しています。自走榴弾砲を集中装備した北部方面隊に対し、本州以南の師団に大量配備されたのがFH-70で欧州と異なり比較的小型でその分性能が大きかったことが制式化の背景にあり、最大射程30km、本装備により本土特科部隊は大きく近代化されました。

Fsimg_4782 第3中隊、99式自走榴弾砲を装備しています。最大射程40km、自動装填装置とデータリンク能力を持ち短時間での効力射と陣地転換が可能な国産装備です。今年度までに従来の75式自走榴弾砲を全て代替し、北部方面隊隷下の師団旅団特科部隊衆力火砲として運用されています。

Fsimg_4799 第4中隊、203mm自走榴弾砲を装備しています、方面特科部隊用に91門が導入されましたが年々MLRSに置き換えられています。90kgの砲弾を30km先に投射する陸上自衛隊最大の火砲で、策源地やトーチカ等の破砕攻撃に威力を発揮するもの。

Fsimg_4808 第5中隊、多連装ロケットシステムMLRSを装備しています。子弾多数を内蔵するロケット弾を投射する着上陸阻止の切り札として大量配備が開始され、91両が装備されました。その後クラスター弾禁止条約への我が国批准により射程70kmの長射程精密誘導ロケット装備へ転換されましたが、現在、一発で広範囲を制圧するサーモバリック弾の開発が伝えられます。

Fsimg_4815 第6中隊、88式地対艦誘導弾を装備しています。射程180km、着上陸の洋上撃破への切り札となる地対艦誘導弾で、MLRSとこの装備により我が国への着上陸へは相当の困難を伴う事となりました。一個連隊で96発を同時発射可能、後継装備である12式地対艦誘導弾の部隊配備への準備が進められています。

Fsimg_4823 第303観測中隊、対砲レーダ装置、気象観測装置、無人ヘリコプターによる遠隔監視装置、電子標定装置、などなど。様々な装備を以て正確な目標位置の把握と確実は目標の破壊を司る装備群です。自衛隊特科の正確な射撃を支えているのは、これら高度な装備体系に裏打ちされているといえるでしょう。

Fsimg_4834 教育支援施設隊、滝ヶ原駐屯地に駐屯しています。施設科職種には施設学校がありますが、富士が甲はその教育上施設科部隊の支援を受けなければ円滑な教育訓練を実施できないため、富士教導団隷下にも教育支援施設隊が置かれています。

Fsimg_4845 92式地雷原処理車、91式戦車橋、後者については本州ではほとんど見ることが出来ない装備です、89式装甲戦闘車や99式自走榴弾砲に203mm自走榴弾砲についても同じことが言えますが。このように本州ではなかなか見ることが出来ない規模の観閲行進が富士駐屯地祭の見どころ。長くなりましたので戦車教導隊については次回掲載することとしましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする