■実任務増大の海上自衛隊
北朝鮮核開発経済制裁違反の密輸監視が海上自衛隊新任務となりました。しかし、海上自衛隊の任務は規模の限界を超えており、三自衛隊の協同を視野に入れるべきと考えます。
RF-4偵察機、航空自衛隊が誇る戦術偵察機ですが、過去に海上自衛隊はソ連艦隊の識別用にこのRF-4偵察機の導入を検討した時代がありました。フィルムを高性能カメラにより撮影し、その上で基地にて現像しなければならないという手間はあります。さて、海上自衛隊、現在は多数の実任務を同時並行しており、その能力の限界分水嶺にあるといえる。
かなり厳しいです、とは基地の街を散策していて聞こえてくる言葉です。十年ほど前にもミサイル防衛任務とアラビア海対テロ給油支援任務の同時展開に際し聞こえてきた声ではあるのですが、十年間で防衛力は特に護衛艦の規模で維持、実質増強は実現していません。逆に12隻が量産された護衛艦はつゆき型が大半練習艦移籍か除籍され汎用艦の不足著しい。
ノーベル平和賞受賞の核兵器禁止条約推進団体ICANベアトリスフィン事務局長が広島の原爆慰霊碑に献花、広島での講演で北朝鮮により核兵器が使用される危機的状況へ警鐘を鳴らしました。仮に核兵器禁止条約が核不拡散条約を強化し、特に核兵器国以外の核保有国への一致した核兵器放棄への強制措置を執り得るならば日本が主導し進める枠組と考えるのですが、現状、海上自衛隊に無理を通してでも経済制裁により何とか北朝鮮核開発を阻止せねばなりません。
航空自衛隊や陸上自衛隊の装備の中で、海上自衛隊が実施する実任務について支援することは出来ないかを真剣に検討すべき段階となっているのかもしれません。海上自衛隊の任務は、主なものだけでもソマリア沖海賊対処任務、南西諸島中国艦船警戒任務、日本海北朝鮮弾道ミサイル警戒任務、国連制裁履行支援東シナ海日本海黄海上船舶監視任務、など。
国連制裁履行支援東シナ海日本海黄海上船舶監視任務、これは北朝鮮核実験及び長距離弾道ミサイル実験を受け新たに追加されたことが13日に報道された海上自衛隊の新任務で、広範な海域において第三国船舶から北朝鮮船舶への禁制物資移転を監視し追跡する任務です。ただ、南西諸島警戒と海賊対処任務にミサイル警戒任務だけでも手一杯といっていい。
RF-4E/EJ戦術偵察機でも、例えば北朝鮮船舶の偵察写真撮影、こうした写真でも大型フィルムを用いており通常のデジタル一眼レフカメラ以上に積載物資等を写真情報解析に大きな画像情報を収集できます。滞空時間についてRF-4E/EJはP-3C哨戒機ほど長くなく、継続的追尾には限界がありますが、海上自衛隊のP-1やP-3C哨戒機の補完は可能でしょう。
U-125A救難機、航空自衛隊では遭難航空機や災害派遣に際し、救難ヘリコプターに先行し遭難者や遭難現場の特定などの情報収集と救難物資投下に用いられる航空機ですが、U-125Aにも捜索用のTIE赤外線暗視装置と捜索レーダーを搭載、運用は捜索救難機ではありますが、洋上用搭載機材の性能からは海洋哨戒機としての能力を十分に有しています。
C-130H輸送機、大きな滞空時間とともに空中給油能力を付与した機体も航空自衛隊には配備されています。実は飛行中に扉の開閉が可能である輸送機は、世界では捜索救難機として運用される事例が多い。海洋遭難事案では余裕ある機内に多くの要員を搭乗させ、双眼鏡等による捜索を実施可能です。夜間は厳しいですが、監視任務には適した機体の一つ。
LR-2連絡偵察機、陸上自衛隊の連絡偵察任務にあたる航空機です。原型機であるスーパーキングエア350は、アメリカ陸軍ではMC-12WとしてISR機、つまり情報収集機として運用されています。ビジネス機としての座席数と比較的長い航続距離を有する使いやすい航空機であり、このLR-2等も陸上自衛隊機ですが、海洋監視任務の一翼を担えるでしょう。
海上自衛隊の任務が限界を超えつつある、具体的には過剰勤務により事故が発生する分水嶺を意識しなければならない状況を考えねばならない状況、今回の新任務は商船の監視が任務であるのだから、海上自衛隊の艦艇や航空機でなくとも対応できます。勿論、海上保安庁巡視船等も協同する任務ですが、救難機や連絡機の転用に敢えて臨むべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
北朝鮮核開発経済制裁違反の密輸監視が海上自衛隊新任務となりました。しかし、海上自衛隊の任務は規模の限界を超えており、三自衛隊の協同を視野に入れるべきと考えます。
RF-4偵察機、航空自衛隊が誇る戦術偵察機ですが、過去に海上自衛隊はソ連艦隊の識別用にこのRF-4偵察機の導入を検討した時代がありました。フィルムを高性能カメラにより撮影し、その上で基地にて現像しなければならないという手間はあります。さて、海上自衛隊、現在は多数の実任務を同時並行しており、その能力の限界分水嶺にあるといえる。
かなり厳しいです、とは基地の街を散策していて聞こえてくる言葉です。十年ほど前にもミサイル防衛任務とアラビア海対テロ給油支援任務の同時展開に際し聞こえてきた声ではあるのですが、十年間で防衛力は特に護衛艦の規模で維持、実質増強は実現していません。逆に12隻が量産された護衛艦はつゆき型が大半練習艦移籍か除籍され汎用艦の不足著しい。
ノーベル平和賞受賞の核兵器禁止条約推進団体ICANベアトリスフィン事務局長が広島の原爆慰霊碑に献花、広島での講演で北朝鮮により核兵器が使用される危機的状況へ警鐘を鳴らしました。仮に核兵器禁止条約が核不拡散条約を強化し、特に核兵器国以外の核保有国への一致した核兵器放棄への強制措置を執り得るならば日本が主導し進める枠組と考えるのですが、現状、海上自衛隊に無理を通してでも経済制裁により何とか北朝鮮核開発を阻止せねばなりません。
航空自衛隊や陸上自衛隊の装備の中で、海上自衛隊が実施する実任務について支援することは出来ないかを真剣に検討すべき段階となっているのかもしれません。海上自衛隊の任務は、主なものだけでもソマリア沖海賊対処任務、南西諸島中国艦船警戒任務、日本海北朝鮮弾道ミサイル警戒任務、国連制裁履行支援東シナ海日本海黄海上船舶監視任務、など。
国連制裁履行支援東シナ海日本海黄海上船舶監視任務、これは北朝鮮核実験及び長距離弾道ミサイル実験を受け新たに追加されたことが13日に報道された海上自衛隊の新任務で、広範な海域において第三国船舶から北朝鮮船舶への禁制物資移転を監視し追跡する任務です。ただ、南西諸島警戒と海賊対処任務にミサイル警戒任務だけでも手一杯といっていい。
RF-4E/EJ戦術偵察機でも、例えば北朝鮮船舶の偵察写真撮影、こうした写真でも大型フィルムを用いており通常のデジタル一眼レフカメラ以上に積載物資等を写真情報解析に大きな画像情報を収集できます。滞空時間についてRF-4E/EJはP-3C哨戒機ほど長くなく、継続的追尾には限界がありますが、海上自衛隊のP-1やP-3C哨戒機の補完は可能でしょう。
U-125A救難機、航空自衛隊では遭難航空機や災害派遣に際し、救難ヘリコプターに先行し遭難者や遭難現場の特定などの情報収集と救難物資投下に用いられる航空機ですが、U-125Aにも捜索用のTIE赤外線暗視装置と捜索レーダーを搭載、運用は捜索救難機ではありますが、洋上用搭載機材の性能からは海洋哨戒機としての能力を十分に有しています。
C-130H輸送機、大きな滞空時間とともに空中給油能力を付与した機体も航空自衛隊には配備されています。実は飛行中に扉の開閉が可能である輸送機は、世界では捜索救難機として運用される事例が多い。海洋遭難事案では余裕ある機内に多くの要員を搭乗させ、双眼鏡等による捜索を実施可能です。夜間は厳しいですが、監視任務には適した機体の一つ。
LR-2連絡偵察機、陸上自衛隊の連絡偵察任務にあたる航空機です。原型機であるスーパーキングエア350は、アメリカ陸軍ではMC-12WとしてISR機、つまり情報収集機として運用されています。ビジネス機としての座席数と比較的長い航続距離を有する使いやすい航空機であり、このLR-2等も陸上自衛隊機ですが、海洋監視任務の一翼を担えるでしょう。
海上自衛隊の任務が限界を超えつつある、具体的には過剰勤務により事故が発生する分水嶺を意識しなければならない状況を考えねばならない状況、今回の新任務は商船の監視が任務であるのだから、海上自衛隊の艦艇や航空機でなくとも対応できます。勿論、海上保安庁巡視船等も協同する任務ですが、救難機や連絡機の転用に敢えて臨むべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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