■二〇二〇年代拓く新戦車
この戦車は10式戦車よりも凄いかもしれない、様々な意味で実感した初めての戦車がドイツにより開発、2010年代の10式を超える2020年代の戦車です。自衛隊戦車の雄姿と共に概要を見てみましょう。
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ドイツのラインメタル社は、現在開催中のユーロサトリ2022国際兵器展にて新型戦車KF-51パンターを発表しました。パンター、ドイツの戦車はレオパルド2ではないか、こう思われる方も多いでしょうが、レオパルド2A7として最新型が配備開始となった時節でもあるとともに、ラインメタル社はゲームチェンジャーと成り得る試作車を発表しました。
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パンター戦車といえば、画像検索された方は即座に第二次大戦中の往年の名車を見る事となったでしょう、そして戦車に知識がおありの方はパンター戦車は極めて重量のあるティーガー戦車を補完する高速の戦車、現代の主力戦車に繋がる攻撃力機動力防御力の均衡を考えた戦車である事も、思い出されるでしょう。実際、驚くべき性能を以て発表されます。
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130mm滑腔砲と20発の自動装填装置を搭載、AIと連動した目標自動識別能力を備えた射撃統制装置、主砲の戦車砲弾とは別に自爆型無人機とも要される徘徊式弾薬発射能力を持ち見通し線外攻撃力を備える。そして現代戦車戦闘に充分な防御力を有しつつ各国戦車が日本を除き重装甲化により70t台へ向かう中でも重量は59tと常識的に抑えられている。
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戦車の時代は終わった、ウクライナ戦争に手進攻したロシア軍の戦車を見ますとこう誤解される方は多いようですが現実を見ますと、戦車が対戦車ミサイルにより一方的に撃破されていたのは最初の数週間のみ、開戦数カ月、ウクライナの戦場では戦車戦が続いていまして、戦車に対して対抗できるものはあっても戦車部隊に対抗するには戦車が必要です。
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戦車の時代、しかし、一部同意するのは、第三世代戦車を揃えるだけの時代は終わった、とは考えます。ただ、第四世代戦車というものが醸成されつつあるのも事実で、少なくとも第三世代戦車がどんどん防御力強化により重量が70t台に迫る中、これ以上重くなれば橋梁や泥濘地での活動が不可能になるという可能性、またデジタル化も課題となっている。
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10式戦車が2010年に開発された当時は、戦闘重量44tという軽量さが世界中を驚かせ、その軽快な運動性、スラローム射撃能力が注目されました、一方、ユーロサトリ2020にてドイツはフランスとEMBT欧州戦車の開発を発表、当初はルクレルクの優れた砲塔とレオパルド2の信頼性ある足回りが組み合わさったものでしたが、2022年、新型が出された。
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KF-51パンター、新しく発表された戦車は新開発の130mmラインメタルフューチャーガンシステムを搭載しています。フューチャーガンとはSF的で未来的という印象を強く与えますが、これは130mm滑腔砲と自動装填装置を一体化したもので、自動装填装置には20発の130mm戦車砲弾が搭載されている。滑腔砲で130mmとは世界最大の口径です。
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130mmラインメタルフューチャーガンシステム、機関砲を除けば自動装填装置はドイツ戦車としては初の採用となります、120mm滑腔砲弾で20kg前後となっており、熟練装填手は一分間で15発以上を装填するということですが、130mm砲弾となれば更に重く、走り回り揺れる戦車内での安定した装填は、人力では限界が来ているという証左なのでしょう。
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FGSと略称されるフューチャーガンシステムは自動装填装置とともに全自動弾薬管理機能も付与されており、130mm砲弾には空中炸裂モードが設定されています、また同軸の連装銃には12.7mm機銃を採用、戦車砲弾では過剰威力な目標は自動で機銃を選択するといい、またKE運動エネルギー弾は従来の120mm砲用APFSDS弾を凌駕する威力を持ちます。
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KF-51パンター、130mm FGSという新機軸を採用している戦車ですが、この他に多彩な武装を持つ点も特色です。ドイツという第二次大戦中から戦後まで一貫した戦車開発を行っている云わば戦車大国が、改造続くレオパルド2戦車から敢えて新型を開発したのですから、ある意味当然といえるのかもしれませんが打撃力からして新技術が続々とならぶ。
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Natter-RWS遠隔操作銃搭はラインメタル社が開発した新型RWSで、機銃そのものは7.62mmとなっていますが、制御システムのオプションとして、近年脅威度の増大している自爆ドローン攻撃に対する迎撃機能があり、また、Uビジョン社が開発したHERO-120徘徊式弾薬を搭載可能、つまりドローンに怯える事無くドローンを駆使する事が可能という。
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射撃統制装置は、AIを内蔵しているとのこと。推測ですが近年ドイツはイスラエルとの防衛協力を強化しています、ミサイル防衛や対戦車ミサイルに無人機など近年は幅広い、そのイスラエルはカルメル計画という、火器管制装置とAIを一体化し目標を識別し乗員へ大画面で表示する技術を開発中であり、こうした技術の提供など、あったのかもしれません。
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KF-51パンター、もちろんこの戦車は概念実証車であり、この戦車がパンターⅡ戦車としてドイツ連邦軍へ採用される事が決定した訳ではありません、しかしラインメタル社では近年、画期的な戦闘車両を開発し続けています、例えばKF-41リンクス装甲戦闘車、これは連邦軍へ配備が進むプーマ装甲戦闘車、重装甲で知られるプーマよりも更に頑丈です。
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KF-41リンクスは装甲戦闘車でありながら戦闘重量は45tと自衛隊の10式戦車よりも重量が在り、歩兵部隊の確実な防御力を提供するものです。そしてラインメタル社はリンクス120として、120mm滑腔砲を搭載した機動砲型を開発しました、もともとのリンクスが重い為、軽戦車というには第三世代戦車の定義を満たす防御力を有しているのが特色です。
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ドイツの戦車といえばレオパルド2、しかし試作車完成は1979年、43年前となっています。楔形追加装甲の採用や車長用照準器の追加に暗視装置の改良、車両間データリンク装置の追加や長砲身砲への主砲換装が行われましたが、その都度重量は増大し続けています、レインメタル社の本気は1979年では停まっていない、KF-51はその誇示なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
この戦車は10式戦車よりも凄いかもしれない、様々な意味で実感した初めての戦車がドイツにより開発、2010年代の10式を超える2020年代の戦車です。自衛隊戦車の雄姿と共に概要を見てみましょう。
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ドイツのラインメタル社は、現在開催中のユーロサトリ2022国際兵器展にて新型戦車KF-51パンターを発表しました。パンター、ドイツの戦車はレオパルド2ではないか、こう思われる方も多いでしょうが、レオパルド2A7として最新型が配備開始となった時節でもあるとともに、ラインメタル社はゲームチェンジャーと成り得る試作車を発表しました。
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パンター戦車といえば、画像検索された方は即座に第二次大戦中の往年の名車を見る事となったでしょう、そして戦車に知識がおありの方はパンター戦車は極めて重量のあるティーガー戦車を補完する高速の戦車、現代の主力戦車に繋がる攻撃力機動力防御力の均衡を考えた戦車である事も、思い出されるでしょう。実際、驚くべき性能を以て発表されます。
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130mm滑腔砲と20発の自動装填装置を搭載、AIと連動した目標自動識別能力を備えた射撃統制装置、主砲の戦車砲弾とは別に自爆型無人機とも要される徘徊式弾薬発射能力を持ち見通し線外攻撃力を備える。そして現代戦車戦闘に充分な防御力を有しつつ各国戦車が日本を除き重装甲化により70t台へ向かう中でも重量は59tと常識的に抑えられている。
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戦車の時代は終わった、ウクライナ戦争に手進攻したロシア軍の戦車を見ますとこう誤解される方は多いようですが現実を見ますと、戦車が対戦車ミサイルにより一方的に撃破されていたのは最初の数週間のみ、開戦数カ月、ウクライナの戦場では戦車戦が続いていまして、戦車に対して対抗できるものはあっても戦車部隊に対抗するには戦車が必要です。
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戦車の時代、しかし、一部同意するのは、第三世代戦車を揃えるだけの時代は終わった、とは考えます。ただ、第四世代戦車というものが醸成されつつあるのも事実で、少なくとも第三世代戦車がどんどん防御力強化により重量が70t台に迫る中、これ以上重くなれば橋梁や泥濘地での活動が不可能になるという可能性、またデジタル化も課題となっている。
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10式戦車が2010年に開発された当時は、戦闘重量44tという軽量さが世界中を驚かせ、その軽快な運動性、スラローム射撃能力が注目されました、一方、ユーロサトリ2020にてドイツはフランスとEMBT欧州戦車の開発を発表、当初はルクレルクの優れた砲塔とレオパルド2の信頼性ある足回りが組み合わさったものでしたが、2022年、新型が出された。
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KF-51パンター、新しく発表された戦車は新開発の130mmラインメタルフューチャーガンシステムを搭載しています。フューチャーガンとはSF的で未来的という印象を強く与えますが、これは130mm滑腔砲と自動装填装置を一体化したもので、自動装填装置には20発の130mm戦車砲弾が搭載されている。滑腔砲で130mmとは世界最大の口径です。
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130mmラインメタルフューチャーガンシステム、機関砲を除けば自動装填装置はドイツ戦車としては初の採用となります、120mm滑腔砲弾で20kg前後となっており、熟練装填手は一分間で15発以上を装填するということですが、130mm砲弾となれば更に重く、走り回り揺れる戦車内での安定した装填は、人力では限界が来ているという証左なのでしょう。
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FGSと略称されるフューチャーガンシステムは自動装填装置とともに全自動弾薬管理機能も付与されており、130mm砲弾には空中炸裂モードが設定されています、また同軸の連装銃には12.7mm機銃を採用、戦車砲弾では過剰威力な目標は自動で機銃を選択するといい、またKE運動エネルギー弾は従来の120mm砲用APFSDS弾を凌駕する威力を持ちます。
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KF-51パンター、130mm FGSという新機軸を採用している戦車ですが、この他に多彩な武装を持つ点も特色です。ドイツという第二次大戦中から戦後まで一貫した戦車開発を行っている云わば戦車大国が、改造続くレオパルド2戦車から敢えて新型を開発したのですから、ある意味当然といえるのかもしれませんが打撃力からして新技術が続々とならぶ。
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Natter-RWS遠隔操作銃搭はラインメタル社が開発した新型RWSで、機銃そのものは7.62mmとなっていますが、制御システムのオプションとして、近年脅威度の増大している自爆ドローン攻撃に対する迎撃機能があり、また、Uビジョン社が開発したHERO-120徘徊式弾薬を搭載可能、つまりドローンに怯える事無くドローンを駆使する事が可能という。
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射撃統制装置は、AIを内蔵しているとのこと。推測ですが近年ドイツはイスラエルとの防衛協力を強化しています、ミサイル防衛や対戦車ミサイルに無人機など近年は幅広い、そのイスラエルはカルメル計画という、火器管制装置とAIを一体化し目標を識別し乗員へ大画面で表示する技術を開発中であり、こうした技術の提供など、あったのかもしれません。
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KF-51パンター、もちろんこの戦車は概念実証車であり、この戦車がパンターⅡ戦車としてドイツ連邦軍へ採用される事が決定した訳ではありません、しかしラインメタル社では近年、画期的な戦闘車両を開発し続けています、例えばKF-41リンクス装甲戦闘車、これは連邦軍へ配備が進むプーマ装甲戦闘車、重装甲で知られるプーマよりも更に頑丈です。
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KF-41リンクスは装甲戦闘車でありながら戦闘重量は45tと自衛隊の10式戦車よりも重量が在り、歩兵部隊の確実な防御力を提供するものです。そしてラインメタル社はリンクス120として、120mm滑腔砲を搭載した機動砲型を開発しました、もともとのリンクスが重い為、軽戦車というには第三世代戦車の定義を満たす防御力を有しているのが特色です。
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ドイツの戦車といえばレオパルド2、しかし試作車完成は1979年、43年前となっています。楔形追加装甲の採用や車長用照準器の追加に暗視装置の改良、車両間データリンク装置の追加や長砲身砲への主砲換装が行われましたが、その都度重量は増大し続けています、レインメタル社の本気は1979年では停まっていない、KF-51はその誇示なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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