■特報:世界の防衛,最新論点
戦車と火砲にミサイルという冷戦型の重戦力がウクライナ戦争により依然として地上戦を左右する事を突き付けられている昨今です。
ドイツのラインメタル社はリンクス120装甲機動砲を発表しました、同社が開発したリンクス41装甲戦闘車の派生型です。リンクス41はラインメタル社がプライベートベンチャーにより開発した次世代の装甲戦闘車で、近接戦闘において大量の人員を輸送する装甲戦闘車に高い防御力を付与させたもの、その分基本重量は34t、最大重量は50tとなります。
リンクス120装甲機動砲は、同社が世界に供給しているラインメタル120mm滑腔砲の改良型を搭載し砲塔にはレオパルド2A5を思い起こさせる楔形装甲を採用、レオパルド2主力戦車と共通化させているDM-11多目的榴弾を射撃可能で陣地攻撃や対装甲車両に対応します。車体重量や懸架装置の関係からかAPFSDS弾の運用能力有無は明言されていません。
リンクス41装甲戦闘車はドイツ連邦軍では先行して開発されたプーマ装甲戦闘車が採用され連邦軍採用には至りませんでしたが、ハンガリー軍が採用しており、オーストラリアでも採用が有力視されています。リンクス120は一定程度の対戦車戦闘能力を有し、例えばロシアのアルマータシリーズのような装甲車両体系に発展させる事も可能かもしれません。
■ストライカーにジャベリン
日本も国産のRWSを開発したのだからこうした派生型を01式軽対戦車誘導弾などと行わなければ。
アメリカ陸軍は第4歩兵師団第2ストライカー旅団戦闘団のストライカー装輪装甲車にジャベリンミサイル搭載を実施しました。ストライカー装輪装甲車は12.7mm重機関銃を搭載したRWS遠隔操作銃搭を搭載していますが、従来のRWSでは重機関銃を搭載するのみで、戦車と遭遇した際にはミサイルを手に対戦車兵を下車戦闘させる必要がありました。
CROWSジャベリン遠隔操作システムは、ストライカー装輪装甲車に搭載されているコングスベルク社製RWSとジャベリンミサイルを一体化させたもので、高度な暗視能力を持つRWSを通じてジャベリンを照準可能となり、1500mの距離で対戦車戦闘が可能です。第4歩兵師団第2ストライカー旅団戦闘団はコロラド州フォートカーソンに駐屯しています。
■ポーランドのエイブラムス
ポーランドの隣国ウクライナでは戦車の不足が痛感されている中でエイブラムス戦車が遂に欧州輸出実現です。
ポーランド政府はアメリカよりM-1A2SEP-V3主力戦車250両の輸出を正式許可を受けた。重量73.6tの巨大な戦車は60億ドルの商談だ。これは近年に高まるロシア軍脅威を受け、防衛力強化を進めると共にアメリカ製戦車導入による防衛力強化も見込む。ポーランドはNATO加盟国、北部でロシアの飛び地カリーニングラードと陸上国境が接しています。
M-1A2SEP-V3主力戦車250両の導入要請は、同時にM-88A2戦車回収車26両、M-1110戦車橋17両、そしてM-830A1-HEAT弾13920発と新型のM-1147先進MP弾6960発、M-865訓練弾9168発なども要請しています。敵戦車の装甲を貫徹させるAPFSDS弾は要求されていませんが、M-1A2SEP-V3主砲はポーランドのレオパルド2戦車と同設計です。
戦車国産能力を持つポーランド軍はポーランド製PT-91戦車232両、そして冷戦時代に導入したソ連製T-72戦車382両、ドイツより中古取得したレオパルド2A4やレオパルド2A5など249両を保有していますが、T-72戦車の旧式化が深刻です。ポーランドは独自にPT-16主力戦車を開発していますが、実績と同盟関係からM-1A2SEP-V3が選ばれたのでしょう。
■ハリコフでT-64近代化改修
開戦に間に合ったのは南鐐なのだろう。
ウクライナ陸軍はロシア侵攻直前、ハリコフ装甲製造公社にてT-64戦車近代化型T-64BV戦車の評価試験を開始した。T-64戦車は複合装甲や自動装填装置など革新的な技術を多数盛り込んだものの先進過ぎた点が稼働率や信頼性に影響した事で知られる。しかしハリコフ戦車工場にて量産されていた事からソ連崩壊後独立したウクライナでは主力戦車である。
T-64BV戦車は、ソ連時代のT-64戦車と比較し暗視装置を一新、車体位置ナビゲーションシステムを追加搭載し通信機材もNATO規格の新型へ換装しており、対戦車火器対策へ樹脂製追加装甲し稼働率に影響を及ぼしていた燃料系統等も更新している。ウクライナ軍は先行して100両以上を前型のT-64BM仕様に改造しているが、BVは更なる改良型である。
■ハンガリーのギドランMRAP
数を揃える装甲車の重要性という印象だ。
ハンガリー軍はトルコ製ギドラン耐爆車両40両の取得と100両のライセンス生産を行う、これは3月21日にハンガリーのマロス国防次官が発表したもので、40両は既に引き渡されていて、ライセンス生産については今後行うとのこと。このギドラン耐爆車両はNurolMakina社が開発したもので、製造費用を抑えた一方各種派生型を開発しています。
ギドラン耐爆車両は四輪駆動、兵員輸送車を基本型としていて指揮通信車や対地雷簡易爆発物処理車輛に通信車とCBRN偵察車と自走対戦車ミサイル型や自走近距離防空車輛、レーダー車輛や長距離偵察車輛に電子戦車輛など、この種の提示は単に積載できるか詰めるものを列挙しているだけのものが多いのですが、多種多様な任務に対応するとしています。
■UAE,ホーク改良へ
ホークミサイルは生産終了していますがミサイルそのものが大型である為に様々な改良が可能となっている。
アラブ首長国連邦軍はホークミサイルなど地対空ミサイルに関する近代化改修と予備部品契約でアメリカとの間に6500万ドル規模の有償軍事供与契約を結んだとのこと。関連装備はホークミサイルに加えてペトリオット地対空ミサイルと弾道ミサイル迎撃用のTHAAD最終段階高高度迎撃ミサイルがふくまれていて、アメリカ国務省の認可待ち。
HAWK,ホーミングオールウェイキラーことホークミサイルは初期の地対空ミサイルは運用開始から半世紀城が経ていますが、ミサイル本体が大型である事から様々な電子機材の追加搭載が可能です、しかし運動性能など旧式である事も事実で各国では代替装備への置き換えが進みます。一方、動きの鈍い長距離ドローン攻撃等へは有効なのかもしれません。
■レーザーウォールシステム
機関砲やミサイルと違いレーザーは電源さえ確保出来ていれば連続射撃の冗長性が高いものなのです。
イスラエルはアイアンドームミサイル防衛システムの後継としてレーザーウォールミサイル迎撃システムを今後一年間で開発する、これはイスラエルのベネット首相が2月1日に記者会見の場において表明しました。レーザーウォールとはその名の通り、高出力のレーザー砲によりロケット弾等の攻撃を迎撃するという先進的な防衛システムを示します。
アイアンドームミサイル防衛システムはイスラム過激派が多用するカッサムロケットなどの同時飽和攻撃に対抗して射程15kmのミサイルを20連発の迎撃ミサイル発射装置3基をに搭載し、同時多数のロケット弾攻撃をミサイルのドームにより人口密集地への落下を阻止するものですが、一発当たり費用が9万ドル、連射の際の負担が指摘されていました。
レーザーウォールミサイル迎撃システム、レーザーによる巡航ミサイルや砲弾の迎撃は世界各国で一定の技術的成果が挙げられていますが、電気代だけで対応出来る為、一回の照射に数百ドル程度の支出で対応できるとしています。各国では技術実証から実用化まで進む例は中々無く、レーザーウォールが実現した場合はイスラエルが世界初となるでしょう。
■フランス,HK416調達
自衛隊もMINIMIのようにHK-416をライセンス生産する選択肢はあったのかもしれない。
フランス陸軍は2022年取得のHK-416F小銃10000丁を受領したとのこと。フランス軍は1979年に採用されたFA-MAS小銃の後継としてドイツ設計のHK-416小銃を独自仕様HK-416Fとして正式採用しており、2017年から2028年までの長期間に渡り9万3080丁のHK-416Fが配備される計画である。なお、FA-MASは40万丁が製造されていた。
HK-416F小銃はフランス軍の整理再編を受け9万3080丁という調達数に収斂している。計画では3万8505丁を標準型とし5万4575丁をカービンモデルとして調達、標準型については40mm擲弾筒を装着するとのこと。H&K社との契約金額は1億6800万ユーロでありドル換算では1億7700万米ドル、一丁当たりは1902ドル、23万円ほどとなっている。
HK-416小銃はドイツのH&K社がコルト社のM-4A1カービン改良事業として開発したもので、砂塵や漏水に脆弱性の在ったAR-15方式の装填機構をAR-18と同系統としており、命中精度の高さからアメリカ海兵隊では重銃身型をM-27ISR分隊支援火器として採用している、難点は取得費用の高さであるが近年は量産効果により取得費用も低下している。
■フィンランド,G-MLRS
自衛隊はMLRSをどんどんと削減しているがウクライナ戦争でそろそろ転換しないとまた新品を大金積んで購入することに。
フィンランド軍はMLRSの精密誘導型ER-GMLRS-AW導入計画を発表しました、これは同国のカイコネン国防相が2月10日に発表したもので、既に2016年に導入しているMLRS用のGPS誘導弾薬M-31がありますが、今回導入するのはその射程延伸型、従来のM-31ロケット弾は射程は80kmですが今回導入の改良型ER-GMLRSは135kmとなる。
フィンランド軍がMLRSを採用したのは2006年ですが、ER-GMLRS-AW導入計画はフィンランド軍のMLRS長期運用家角の一環としており、改良型弾薬の導入によりMLRSを2050年代まで運用継続する構想とのこと。ER-GMLRS-AWはロッキードマーティン社が製造しており、アメリカ国務省が許可すれば2025年にもアメリカから納入される計画です。
■台湾,ペトリオット改良
台湾は大量の短距離弾道弾で狙われている為に防空を重視していますが准中距離弾道弾の増加は九州南西諸島でも余所事ではない。
中華民国台湾はペトリオットミサイルシステムの能力向上へアメリカと1億ドル規模の契約を締結しました。これはPAC-3システムの更新とミサイル本体の保管期限後年間延長に関する本体整備、システム管理など、IESPペトリオット国際エンジニアリングサービスプログラムとして各国に採用されているペトリオットミサイルの能力維持支援一環です。
ペトリオットミサイルシステムの能力向上は中国とアメリカとの係争問題を思い起こさせますが、アメリカの1982年台湾関係法に基づくもので、当時のアメリカレーガン政権は、台湾への武器売却へ大陸中国と協議しない事を明示しています。台湾は多数の中国短距離弾道ミサイル脅威に曝されており、ペトリオットミサイルは重要な防空装備となっている。
■ブッシュマスターにNSM
NSMについて痛感するのはシステムをかなり小型化しているという点で自衛隊のSSMも今後分散運用を行うならば二発程度を高機動車から運用する検討も必要か。
オーストラリアのタレスオーストラリア社はブッシュマスター耐爆車両にNSMミサイルを搭載します。これはコングスベルクディフェンスオーストラリア社とともに進めるオーストラリア軍のLAND4100PHASE2として進められている地対艦ミサイルもので、コングスベルク社が開発した海軍ストライクミサイルNSMを装甲車に搭載するというもの。
ブッシュマスター耐爆車両は陸上自衛隊にも配備されている10名乗りの装甲車両で、タレスオーストラリア社は操縦席を除く後部部分へNSMミサイル発射器2基を搭載する方式、NSM発射器は各400kgであり、充分搭載可能です。NSMは射程350kmといい、装甲車に搭載し、発射装置を分散配置する事で有事の際の生存性を高める狙いがあるのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
戦車と火砲にミサイルという冷戦型の重戦力がウクライナ戦争により依然として地上戦を左右する事を突き付けられている昨今です。
ドイツのラインメタル社はリンクス120装甲機動砲を発表しました、同社が開発したリンクス41装甲戦闘車の派生型です。リンクス41はラインメタル社がプライベートベンチャーにより開発した次世代の装甲戦闘車で、近接戦闘において大量の人員を輸送する装甲戦闘車に高い防御力を付与させたもの、その分基本重量は34t、最大重量は50tとなります。
リンクス120装甲機動砲は、同社が世界に供給しているラインメタル120mm滑腔砲の改良型を搭載し砲塔にはレオパルド2A5を思い起こさせる楔形装甲を採用、レオパルド2主力戦車と共通化させているDM-11多目的榴弾を射撃可能で陣地攻撃や対装甲車両に対応します。車体重量や懸架装置の関係からかAPFSDS弾の運用能力有無は明言されていません。
リンクス41装甲戦闘車はドイツ連邦軍では先行して開発されたプーマ装甲戦闘車が採用され連邦軍採用には至りませんでしたが、ハンガリー軍が採用しており、オーストラリアでも採用が有力視されています。リンクス120は一定程度の対戦車戦闘能力を有し、例えばロシアのアルマータシリーズのような装甲車両体系に発展させる事も可能かもしれません。
■ストライカーにジャベリン
日本も国産のRWSを開発したのだからこうした派生型を01式軽対戦車誘導弾などと行わなければ。
アメリカ陸軍は第4歩兵師団第2ストライカー旅団戦闘団のストライカー装輪装甲車にジャベリンミサイル搭載を実施しました。ストライカー装輪装甲車は12.7mm重機関銃を搭載したRWS遠隔操作銃搭を搭載していますが、従来のRWSでは重機関銃を搭載するのみで、戦車と遭遇した際にはミサイルを手に対戦車兵を下車戦闘させる必要がありました。
CROWSジャベリン遠隔操作システムは、ストライカー装輪装甲車に搭載されているコングスベルク社製RWSとジャベリンミサイルを一体化させたもので、高度な暗視能力を持つRWSを通じてジャベリンを照準可能となり、1500mの距離で対戦車戦闘が可能です。第4歩兵師団第2ストライカー旅団戦闘団はコロラド州フォートカーソンに駐屯しています。
■ポーランドのエイブラムス
ポーランドの隣国ウクライナでは戦車の不足が痛感されている中でエイブラムス戦車が遂に欧州輸出実現です。
ポーランド政府はアメリカよりM-1A2SEP-V3主力戦車250両の輸出を正式許可を受けた。重量73.6tの巨大な戦車は60億ドルの商談だ。これは近年に高まるロシア軍脅威を受け、防衛力強化を進めると共にアメリカ製戦車導入による防衛力強化も見込む。ポーランドはNATO加盟国、北部でロシアの飛び地カリーニングラードと陸上国境が接しています。
M-1A2SEP-V3主力戦車250両の導入要請は、同時にM-88A2戦車回収車26両、M-1110戦車橋17両、そしてM-830A1-HEAT弾13920発と新型のM-1147先進MP弾6960発、M-865訓練弾9168発なども要請しています。敵戦車の装甲を貫徹させるAPFSDS弾は要求されていませんが、M-1A2SEP-V3主砲はポーランドのレオパルド2戦車と同設計です。
戦車国産能力を持つポーランド軍はポーランド製PT-91戦車232両、そして冷戦時代に導入したソ連製T-72戦車382両、ドイツより中古取得したレオパルド2A4やレオパルド2A5など249両を保有していますが、T-72戦車の旧式化が深刻です。ポーランドは独自にPT-16主力戦車を開発していますが、実績と同盟関係からM-1A2SEP-V3が選ばれたのでしょう。
■ハリコフでT-64近代化改修
開戦に間に合ったのは南鐐なのだろう。
ウクライナ陸軍はロシア侵攻直前、ハリコフ装甲製造公社にてT-64戦車近代化型T-64BV戦車の評価試験を開始した。T-64戦車は複合装甲や自動装填装置など革新的な技術を多数盛り込んだものの先進過ぎた点が稼働率や信頼性に影響した事で知られる。しかしハリコフ戦車工場にて量産されていた事からソ連崩壊後独立したウクライナでは主力戦車である。
T-64BV戦車は、ソ連時代のT-64戦車と比較し暗視装置を一新、車体位置ナビゲーションシステムを追加搭載し通信機材もNATO規格の新型へ換装しており、対戦車火器対策へ樹脂製追加装甲し稼働率に影響を及ぼしていた燃料系統等も更新している。ウクライナ軍は先行して100両以上を前型のT-64BM仕様に改造しているが、BVは更なる改良型である。
■ハンガリーのギドランMRAP
数を揃える装甲車の重要性という印象だ。
ハンガリー軍はトルコ製ギドラン耐爆車両40両の取得と100両のライセンス生産を行う、これは3月21日にハンガリーのマロス国防次官が発表したもので、40両は既に引き渡されていて、ライセンス生産については今後行うとのこと。このギドラン耐爆車両はNurolMakina社が開発したもので、製造費用を抑えた一方各種派生型を開発しています。
ギドラン耐爆車両は四輪駆動、兵員輸送車を基本型としていて指揮通信車や対地雷簡易爆発物処理車輛に通信車とCBRN偵察車と自走対戦車ミサイル型や自走近距離防空車輛、レーダー車輛や長距離偵察車輛に電子戦車輛など、この種の提示は単に積載できるか詰めるものを列挙しているだけのものが多いのですが、多種多様な任務に対応するとしています。
■UAE,ホーク改良へ
ホークミサイルは生産終了していますがミサイルそのものが大型である為に様々な改良が可能となっている。
アラブ首長国連邦軍はホークミサイルなど地対空ミサイルに関する近代化改修と予備部品契約でアメリカとの間に6500万ドル規模の有償軍事供与契約を結んだとのこと。関連装備はホークミサイルに加えてペトリオット地対空ミサイルと弾道ミサイル迎撃用のTHAAD最終段階高高度迎撃ミサイルがふくまれていて、アメリカ国務省の認可待ち。
HAWK,ホーミングオールウェイキラーことホークミサイルは初期の地対空ミサイルは運用開始から半世紀城が経ていますが、ミサイル本体が大型である事から様々な電子機材の追加搭載が可能です、しかし運動性能など旧式である事も事実で各国では代替装備への置き換えが進みます。一方、動きの鈍い長距離ドローン攻撃等へは有効なのかもしれません。
■レーザーウォールシステム
機関砲やミサイルと違いレーザーは電源さえ確保出来ていれば連続射撃の冗長性が高いものなのです。
イスラエルはアイアンドームミサイル防衛システムの後継としてレーザーウォールミサイル迎撃システムを今後一年間で開発する、これはイスラエルのベネット首相が2月1日に記者会見の場において表明しました。レーザーウォールとはその名の通り、高出力のレーザー砲によりロケット弾等の攻撃を迎撃するという先進的な防衛システムを示します。
アイアンドームミサイル防衛システムはイスラム過激派が多用するカッサムロケットなどの同時飽和攻撃に対抗して射程15kmのミサイルを20連発の迎撃ミサイル発射装置3基をに搭載し、同時多数のロケット弾攻撃をミサイルのドームにより人口密集地への落下を阻止するものですが、一発当たり費用が9万ドル、連射の際の負担が指摘されていました。
レーザーウォールミサイル迎撃システム、レーザーによる巡航ミサイルや砲弾の迎撃は世界各国で一定の技術的成果が挙げられていますが、電気代だけで対応出来る為、一回の照射に数百ドル程度の支出で対応できるとしています。各国では技術実証から実用化まで進む例は中々無く、レーザーウォールが実現した場合はイスラエルが世界初となるでしょう。
■フランス,HK416調達
自衛隊もMINIMIのようにHK-416をライセンス生産する選択肢はあったのかもしれない。
フランス陸軍は2022年取得のHK-416F小銃10000丁を受領したとのこと。フランス軍は1979年に採用されたFA-MAS小銃の後継としてドイツ設計のHK-416小銃を独自仕様HK-416Fとして正式採用しており、2017年から2028年までの長期間に渡り9万3080丁のHK-416Fが配備される計画である。なお、FA-MASは40万丁が製造されていた。
HK-416F小銃はフランス軍の整理再編を受け9万3080丁という調達数に収斂している。計画では3万8505丁を標準型とし5万4575丁をカービンモデルとして調達、標準型については40mm擲弾筒を装着するとのこと。H&K社との契約金額は1億6800万ユーロでありドル換算では1億7700万米ドル、一丁当たりは1902ドル、23万円ほどとなっている。
HK-416小銃はドイツのH&K社がコルト社のM-4A1カービン改良事業として開発したもので、砂塵や漏水に脆弱性の在ったAR-15方式の装填機構をAR-18と同系統としており、命中精度の高さからアメリカ海兵隊では重銃身型をM-27ISR分隊支援火器として採用している、難点は取得費用の高さであるが近年は量産効果により取得費用も低下している。
■フィンランド,G-MLRS
自衛隊はMLRSをどんどんと削減しているがウクライナ戦争でそろそろ転換しないとまた新品を大金積んで購入することに。
フィンランド軍はMLRSの精密誘導型ER-GMLRS-AW導入計画を発表しました、これは同国のカイコネン国防相が2月10日に発表したもので、既に2016年に導入しているMLRS用のGPS誘導弾薬M-31がありますが、今回導入するのはその射程延伸型、従来のM-31ロケット弾は射程は80kmですが今回導入の改良型ER-GMLRSは135kmとなる。
フィンランド軍がMLRSを採用したのは2006年ですが、ER-GMLRS-AW導入計画はフィンランド軍のMLRS長期運用家角の一環としており、改良型弾薬の導入によりMLRSを2050年代まで運用継続する構想とのこと。ER-GMLRS-AWはロッキードマーティン社が製造しており、アメリカ国務省が許可すれば2025年にもアメリカから納入される計画です。
■台湾,ペトリオット改良
台湾は大量の短距離弾道弾で狙われている為に防空を重視していますが准中距離弾道弾の増加は九州南西諸島でも余所事ではない。
中華民国台湾はペトリオットミサイルシステムの能力向上へアメリカと1億ドル規模の契約を締結しました。これはPAC-3システムの更新とミサイル本体の保管期限後年間延長に関する本体整備、システム管理など、IESPペトリオット国際エンジニアリングサービスプログラムとして各国に採用されているペトリオットミサイルの能力維持支援一環です。
ペトリオットミサイルシステムの能力向上は中国とアメリカとの係争問題を思い起こさせますが、アメリカの1982年台湾関係法に基づくもので、当時のアメリカレーガン政権は、台湾への武器売却へ大陸中国と協議しない事を明示しています。台湾は多数の中国短距離弾道ミサイル脅威に曝されており、ペトリオットミサイルは重要な防空装備となっている。
■ブッシュマスターにNSM
NSMについて痛感するのはシステムをかなり小型化しているという点で自衛隊のSSMも今後分散運用を行うならば二発程度を高機動車から運用する検討も必要か。
オーストラリアのタレスオーストラリア社はブッシュマスター耐爆車両にNSMミサイルを搭載します。これはコングスベルクディフェンスオーストラリア社とともに進めるオーストラリア軍のLAND4100PHASE2として進められている地対艦ミサイルもので、コングスベルク社が開発した海軍ストライクミサイルNSMを装甲車に搭載するというもの。
ブッシュマスター耐爆車両は陸上自衛隊にも配備されている10名乗りの装甲車両で、タレスオーストラリア社は操縦席を除く後部部分へNSMミサイル発射器2基を搭載する方式、NSM発射器は各400kgであり、充分搭載可能です。NSMは射程350kmといい、装甲車に搭載し、発射装置を分散配置する事で有事の際の生存性を高める狙いがあるのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)