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榛名防衛備忘録:新型コロナに打ち勝つ自衛隊の知見,COCOA機能不随とプログラム業務隊

2021-02-07 20:01:24 | 国際・政治
■60年代から独自デジタル人材
 海上自衛隊のプログラミング人材教育が1960年年代初頭から始まっていると説明しますと、多くの方は驚かれます。

 COCOA不具合昨年9月から。報道に驚かされたものですが、厚生労働省が昨年より国民スマートフォン用へ提供した接触確認アプリで、15分以上スマートフォン同士が接近していたことを個人情報を含まない接触情報として記録し、後日、誰か、スマートフォン所有者がCOVID-19養成となった場合、職場や食事、通勤電車や映画館で接触した方へ通知するというもの。

 各省庁で海上自衛隊のプログラム業務隊のような独自のプログラミング人材を養成する必要があるのではないか、海上自衛隊のプログラム業務隊とは現在、拡大改編を経て開発隊群へ拡大されていますが、そんな独自人材の重要性を、厚生労働省のCOVID-19新型コロナウィルス接触確認アプリCOCOAの不具合を俯瞰して、考えさせられたものでした。

 厚生労働省の濃厚接触者追尾への切り札的に投入されたものです。しかし2021年2月に入って報道などにより指摘され、厚生労働相自身が確認したのは、2020年9月のアップデートを最後にAndroid版COCOAが機能していなかった、ということでした。ios版などは機能していたという事ではありますが、感染拡大期全般に渡り機能していなかった事に。

 COCOAはパーソルに三億円で下請けに出され1600万円の孫請けで開発、文字通り接触者確認以外に個人情報などに応用できない点に特化され提供されたもので、厚生労働省は運営を委託されていた構図ですが、アップデートなどについて必要な情報、要するに仕様変更要求書、こうしたものはプログラミングの最低限知識がなければ作成もできない、ここが機能不随に影響したかたち。

 プログラム業務隊、1970年に創設された海上自衛隊のプログラム専門部隊で、OJTにより人材養成も行う。厚生労働省も部局とは別に自前の必要な業務プログラムを作成する専門組織を構築する、もしくは総務省が自衛隊以外の各省庁に必要なプログラム開発を中央省庁全体で包括開発できる、組織を構築する必要はあるのかな、と。デジタル庁とは違う実務要員養成機関として。

 ターターシステム導入。海上自衛隊は1961年に当時建造が進む海上自衛隊初のミサイル護衛艦あまつかぜ、この装備化に併せ、あまつかぜ搭載のアナログ方式ターターシステムは近い将来、デジタルシステム化するために独自のプログラミング人材を養成する必要が生じます。先ずここで海上幕僚監部人事部は、アメリカ留学組を活用することとしました。

 デジタル要員教育、これは汎用半導体を用途ごとにつなぎ替えて様々な任務に対応させていた事にたいして、010101のコードを書き換えるだけで様々な用途に対応させるという、物理的なつなぎ替えではなくソースコードの書き換えで対応する、基本的な理念が、当然ではありますが1961年では普遍的な考え方ではなく、留学組はかなり苦労があったとも。

 アメリカ留学組、幹部自衛官二名が派遣されたのですがアメリカ海軍士官向けの高度プログラム教育を受ける基礎知識が無かったため、下士官基礎教育課程から開始され、なにか名物となってしまったようで、毎回講義後に行われる小テストを乗り切り、最初は打ち解けなかったものの、最後には学校側が金曜日にカレーを出してくれるほど打ち解けた、と。

 プログラム業務隊はこうした人材をもとに1970年に正式に発足しました。システム艦、ヘリコプター搭載護衛艦しらね竣工とP-3C対潜哨戒機、護衛艦はつゆき型量産時代に入りますと戦闘システムを筆頭に護衛艦や哨戒機をひとつ運用するにも戦闘システムを管理するシステムエンジニアが必須となってゆきます。もっともこの話には不思議なおまけがつく。

 イージス艦。海上自衛隊はその後にプログラム業務隊出身幹部と艦艇幹部という二つの体系が生まれ、1980年代にはイージス艦導入論とハリアー搭載護衛艦導入論という二つの論争へ展開してゆくのですが。さて閑話休題。COCOA,厚生労働省がこのCOCOAの不具合を自己検証する充分なシステムエンジニアを養成できなかった、もしくは枠組みの欠如が。

 デジタル庁が新設されることが決定していますが、こちらはデジタル人材の養成教育行政や社会基盤のデジタル化を省庁横断的に行う監督官庁であり、デジタル庁が独自にデジタル教育学校やデジタル業務局を設置してデジタル庁自身がデジタル人材を供給するわけではありません。実際のところ、省庁のデジタル人材は独自養成よりも中途採用組が多い。

 COCOA不具合、もちろん監督官庁としての厚生労働省には、海上自衛隊が護衛艦や哨戒機、潜水艦という機材の戦闘情報処理を自前で行う必要があったためのシステムエンジニア重視とは異なる価値観がある事は理解するのですが、必要な人材を全て下請けに任せ、自身で保守管理の定義を仕様書にさえ出来ない状態のままでは、合理的とはいえないでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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