北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十一年度一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報 2

2010-01-21 23:35:36 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 厳寒の列島に寒波襲来、かと思いきや大寒の日には小春日和という、なんだかよくわからない気候の日本列島です。

Img_86391  さて、そうした中での一月期自衛隊関連行事ですが、駐屯地祭、基地祭、航空祭などは行われません。もう少しすれば高知駐屯地移転直前の一般公開や春日井駐屯地祭などが行われるものの、この寒い時期では公式行事は難しいです。そこで、こういう季節は艦艇寄港、という行事を掲載してみます。

Img_9091  最新鋭、そして海上自衛隊最大のヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが、青森に寄港します。青森地方協力本部HPによりますと、2010年1月22日、つまり明日なのですが、八戸港八太郎四号埠頭へ、ひゅうが、が入港します。四号埠頭というのは、三菱製紙工場側の埠頭、とのこと。

Img_8777  満載排水量19000㌧の大型護衛艦。一般公開は、1月23日土曜日、0900~1600時まで行われるとのことで、乗艦券は不要、手荷物検査だけで見学することができます。ひゅうが、一般公開は、巨大な航空機格納庫から航空機エレベータを通り、飛行甲板に上がります、通常の護衛艦とは全く異なる艦容は迫力の一言に尽きます。

Img_8829  八戸港へは、本八戸駅、長苗駅が最寄りなのだけれども、貨物専用の八戸臨海鉄道沿線をかなりの距離、歩く必要があるので、徒歩は難しいやもしれません。自動車かタクシーで、というのが妥当なのでしょう、本八戸駅から南部バスで“フェリー埠頭毛いつシルバー病院行き”バスが八戸港フェリーターミナルまで運行されているのですが、地図を見ますと八戸フェリーターミナルからも3~4kmあります。近くに海上自衛隊八戸航空基地と八戸駐屯地があり、青函地区防衛の一つの拠点となっているようですね。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 1月23日:護衛艦ひゅうが一般公開(八戸港)・・・http://www.mod.go.jp/pco/aomori/

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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ハイチ大地震へ派遣命令!第13旅団を中心にハイチ国際緊急医療援助隊を編成

2010-01-20 22:18:44 | 国際・政治

◆瓦礫の首都、犠牲者七万を収容

 ハイチ大地震は発生から一週間。各国緊急救助チームはあらゆる機材と技術とを結集し、瓦礫の下からの救助活動を続けている。

Img_0026  日に日に生存者の発見は少なくなっているものの、奇跡的に生存者が救出されることもあり、救助活動は継続されているのだが、明日にも救助活動から復旧活動へ移行するという一部報道も為されている。現地には、米陸軍第82空挺師団への増援として海兵隊800名が現地入り、国連もPKO部隊3500名の増援を決定、ドミニカ軍など中南米諸国に加え、カナダ軍などが2000名を派遣する意思を表明している。ハイチ政府によれば、収容された犠牲者は七万を超えており、インド洋大津波と並ぶ今世紀最大の自然災害となりつつある。一方で、倒壊した刑務所からの脱獄囚が治安に深刻な問題を与えている。救助が必要な被災者は300万とのことだが、救助物資は概ね30万名分しかなく、現地では混乱が続いている。

Img_3194  現在、ハイチ地震へは航空自衛隊のC-130H輸送機が一機、ハイチ国際緊急援助空輸隊として任務にあたっており、人道物資の輸送や、ハイチ国内から脱出する外国人の緊急輸送にあたっているが、防衛省によれば本日、新たに百名規模の緊急人道支援部隊としてハイチ国際緊急医療援助隊をハイチへ派遣することが決定し、本日、派遣部隊の編成式が行われた。国際緊急援助隊の編成は、中部方面隊と中央即応集団へ待機命令が18日に出されているが、派遣されるのは、医療活動を行う部隊で、医官や看護師を中心とした百名規模の部隊となり、本日陸上自衛隊海田市駐屯地にて編成完結式を行った。

Img_3380  ハイチ国際緊急医療援助隊は、レオガン市において文民を中心とした国際緊急援助隊医療チームの実施している医療活動を引き継ぐこととなる。また、ハイチ国内での関係機関と連絡調整にあたるべく、統合連絡調整所に10名が防衛省より派遣されているが、これを増強して30名体制とするとのことだ。ハイチ国際緊急援助空輸隊が現在任務にあたっているが、この部隊がフロリダとハイチとの間の輸送支援を行うとのことで、現在任務にあたっている輸送機は、明日以降小牧を出発する機体と入れ替えを行うとのことだ。

Img_0359_1  遅きに失した、という声もあるものの、遅ればせながら自衛隊によるハイチ大地震への支援が本格化する。ただし、一週間後の今日に派遣することが決定している訳なのだけれども、現地まで展開するのに少なくない時間を要する。直下型地震が人口密集地域を襲い、救援が遅れているという背景もあり現地の治安が悪化しているという状況。未知数の修羅場に踏み込むのではあるが、これまで培った災害派遣や人道支援の能力を最大限発揮できるよう祈念したい。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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日米安全保障条約改定への署名から本日で半世紀

2010-01-19 22:44:36 | 国際・政治

◆安保改定50周年

 本日、日米安全保障条約は安全保障条約改訂の署名から50周年を迎えた。東西冷戦下においては、環太平洋の自由主義を担う重要な二国間関係であり、今日では二国間同盟の最も成功した形、と称される日米同盟である。

Img_5013  日米両国の安全保障に関する関係は、単なる軍事同盟ではなく、ドル体制に依拠した国際金融の面での安定化、両国間の資本関係や知財関係、国際公序に関する理念の一致などの面で深層部分までが連結しており、例えば普天間移設問題や航空自衛隊F-X問題、インド洋給油支援終了というものだけで長期的には簡単に揺らぐものではないと言う事は出来る。

Img_57101  日米安保改訂50周年を記念し、海上自衛隊横須賀基地では杉本正彦自衛艦隊、司令官ジョンバート第七艦隊司令官出席のもとでの日米合同記念式典が盛大に行われ、護衛艦には満艦飾、同様の行事は米海軍と並ぶ海上自衛隊佐世保基地においても行われた、とのことである。

Img_3298  他方で、日米関係は締結当初の欧州との連環も意味する対ソ同盟という関係から、今日では日本が最も影響を受けるだろう対中関係、そしてグローバルに展開されるテロリズムネットワークに対しての同盟関係、という複合的な要素を盛り込んでの関係となっており、今後、日米関係に連動した形での同盟関係を如何に昇華させるかが重要となるのだろう。

Img_2733  さて、冒頭に日米関係を考える上で不安要素、として取り上げられているものを列挙したが、一方でハイチ地震への人道物資輸送に展開した航空自衛隊のC-130H輸送機が、米国政府からの要請で、在留アメリカ人のハイチ国外への輸送支援を行ったとのこと。波立つことはあっても、深層面での関係が良好であるからこその任務といえる。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は、北大路機関の著作物であり無断転載は厳に禁じる)

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普天間移設問題、グアム島の人口では現行案以上の米軍は引き受けられない

2010-01-18 22:47:32 | 国際・政治

◆グアム基地拡充事務所ポールシンタク所長が表明

 普天間をグアムへ、という案だが、グアム島の人口から物理的に引き受けられない、という回答が寄せられた、本日は普天間移設問題に関する新しい視点として、この話を掲載したい。

Img_8067  最初にハイチ関連。ハイチ地震からまもなく一週間、国際援助の遅れから治安は一気に悪化、全土には非常事態宣言が発令され、米軍をはじめ治安任務支援に続々と展開する中、日本のC-130Hがリビー基地での戦術空輸訓練を終え、20名の医療チームとともにハイチへ展開したが、死者5~20万という21世紀最大の自然災害にどう立ち向かうのか、地震国日本の姿勢を注視したい。

Img_9935  さて、普天間飛行場移設問題について社民党が提示するグアム移転案が事実上不可能であることは過去にも掲載したが、我々は、グアム島自体の人口が18万、という単純な事実を忘れていたようだ。17日、名護市長選挙の公示が行われ、キャンプシュワブ沖合への普天間飛行場機能移設容認で現職の島袋吉和氏と、前名護市教育長で移転反対の立場である稲嶺進氏が立候補した。さて、沖縄県民不在の議論として、社民党や一部政党などから批判を集めている名護市キャンプシュワブ沖合への移設案であるが、事実上、グアムの受け入れ能力も議論には不在となっているようだ。

Img_9466  改めて今度はグアムとして、受け入れが不可能であるとの回答が寄せられた。これは一月十五日にNHKが報じたニュースにて、グアム政府基地拡充事務所のポールシンタク所長が表明したもので、現在18万のグアム人口から考えて、現在計画されている以上の海兵隊受け入れは都市機能の観点から不可能、という解析がだされたものとのこと。

Img_2536  ポールシンタク所長によれば、現在沖縄から受け入れる海兵隊8000名の移転を受け入れることで、海兵隊員と海兵隊宿舎建設などのインフラ整備要員をあわせ、最盛期にはグアム島住民が現在の18万から26万名に達する事が予測され、学校や医療機関などのインフラが不足する恐れがあるとしている。以上の点から、ポールシンタク所長は、海兵隊8000名の移転だけで、グアムにとっては大きな問題であり、負担はこれで充分行っている、それ以上の受け入れは非常に困難である、との立場を示した。そうした上で、普天間飛行場のグアム移設にたいして、反対する、という立場を鮮明に示したかたちだ。

Img_0005  社民党は、アメリカ政府のみならず、グアム政府との会合などの機会をこれまでに設定したのかについて、残念ながら手元に情報はないが、沖縄県民の意志さえ聞けば、ほかの地域住民の声は無視できる、というような考え方のように聞こえてしまう。現時点で海兵隊側としては沖縄本島の戦闘部隊と協同訓練が可能な範囲内での移設を求めていることから、沖縄本島か、その近傍の伊江島というような島々以外に、事実上実現可能性はない。

Img_0060  しかし、それは踏まえたうえで現行案であるキャンプシュワブ沖合への移転案以外の、下地島や大村、富士、そしてグアムへの基地機能移転が仮に可能であったとしてもその地域へは同時に普天間飛行場に展開する部隊の家族や支援インフラの機能も同時に移転することとなるため、受け入れるには人口や社会インフラについて、一定以上の規模が必要となってくる訳だ。グアムの人口18万、という数字を念頭に8000名の海兵隊員と、その家族が移転する、ということを考えるならば、人口は一割以上増加、一時的には五割近くが増加するということになり、このあたりが限界なのかもしれない、とも思えてくる。

Img_9451  社民党としても、18万の人口であるグアムにこれ以上の負担を、という現地からも反対される案以外の提案はあってしかるべきでは、と考える。もちろん、北大路機関としては、第一にキャンプシュワブ沖合、第二に那覇空港をキャンプシュワブ沖合に移転しての海兵隊の那覇基地移転案を示したのだが、幾つか、もちろん実現可能性は低いのだけれども提案の選択肢を提示したい。

Img_6982  条件は、社民党が譲れないであろう沖縄県以外、という条件を踏まえて、ヘリコプターとともに海兵隊戦闘部隊を受け入れることができる地域で、且つ演習場に隣接している地域である。繰り返すが、海兵隊はこれまでの日米合意にあった沖縄本島が一番現実的なのだ、としている。しかし、それが駄目、と社民党が提唱するのならば、せめて何か、というのが主眼。

Img_2906  筆頭にあげるのは、北海道帯広周辺。陸上自衛隊第五師団が第五旅団へ縮小されており。駐屯地面積に余裕があるとともに、帯広空港に隣接している。演習環境も良好である。大村や鹿児島県島嶼部など、九州が候補に挙がっているが、残念ながら九州は、駐屯地の新設が難しい状況だ、一個普通科連隊規模の演習場ならばともかくとして今回は海兵隊のヘリコプターと戦闘部隊が受け入れ、という前提である。

Img_2153  大村の候補案が出ているものの、九州よりは北海道の方が現実的だ。九州は両用戦車両の演習を行える適地が限られているほか、演習場のローテーションを考えても陸上自衛隊の第四師団、第八師団が駐屯していることから、ちょっと九州は難しい、二個師団が島嶼部防衛のために維持されているので駐屯地にも演習場にも空きが無いのだ。

Img_2901  対して、北海道は四個師団が二個師団二個旅団に縮小されており、加えて協同転地演習で実施されているように、浜大樹での揚陸演習が可能でもある。富士地区も静岡での上陸訓練は可能であるが、キャンプ富士を拡大するにしても、在沖米軍海兵隊を受け入れるには面積的な限界がある。帯広も然別演習場は、決して十分な面積とは言えないが北海道大演習場などに近く、ヘリコプターを機動運用する佐世保の揚陸艦には、青森県の海上自衛隊大湊基地があることも大きい。

Img_8822  次案。もう一つは、在比米軍基地跡地の活用である。フィリピン国内の米軍基地はすべて返還されているが、近年、米比関係はテロとの戦いや対中関係により再び接近している。もともと基地としてのポテンシャルは、在日米軍よりも在比米軍の方が重視されており、最盛期は多くの米軍基地がおかれていた。

Img_0983  返還後のクラーク空軍基地、スービック海軍基地跡は、経済特別地域へ指定されており、経済特別市域への指定には、その運用に限界があり、成立していないのではないか、という指摘はあるものの、一度商業地域として開発されていることから再び海兵隊の拠点として活用することは現実的に難しい。

Img_9451_2  他方、マニラ近郊のニコルス空軍基地は現在もフィリピン軍が運用中で、アパリ海軍航空基地、フロリダブランカ空軍基地跡地などの利用可能性について、社民党としてはフィリピン政府と意見交換を行ってはどうかと思う。米軍撤退後、フィリピンは中国との間でミスチーフ環礁の不法占拠なろ南沙諸島問題での摩擦があり、アメリカとしてもフィリピン国内への基地再構築は対中戦略の関係上、望ましいこともある訳だ。こうしたなかで、社民党がアメリカとフィリピンの架け橋として仲介を行う事が出来たのならば、連立与党の一員として、対米外交能力の強化という貢献も出来るはずだ。

Img_1577  次案。韓国の議政府に駐屯する在韓米軍第二歩兵師団、米軍再編により一個旅団を除き撤収が予定されているのだが、ここに海兵隊を移転できないか韓国と協議を行う、という選択肢もある。韓国に残る一個旅団はストライカー装甲車を運用する部隊で、この旅団をキャンプハンセン、キャンプシュワブに受け入れ、議政府に海兵隊を移駐させるという案だ。そんな無茶な、ということも言えるが、狭い下地島に押し込める案よりは“まだ”現実的だ。

Img_1578  緊急展開部隊である海兵隊をヘリコプターとともに南北軍事境界線近くの議政府に移駐させるという提案は、北朝鮮の理解が必要になるかもしれないが、日本の政党でほとんど唯一北朝鮮の朝鮮労働党と良好な関係を築いてきた社民党でなければ、説得できないものであり、少々無理はあるものの検討してみるべきかもしれない。また、もしかしたらば、この交渉や結果が南北分断の解決に一役買うこともあるかもしれない。

Img_8270  さて、米軍基地をロシア沿海州や中国内陸部、台湾や北朝鮮に建設できる訳は無いので、帯広、フィリピン、韓国、と提案を挙げてみたのだが、とくに韓国の議政府などは難しい点もあるのだから現実的かと問われれば、キャンプシュワブ沖合を筆頭に沖縄本島周辺ほど移転先として、現実味は無い。しかし、グアムは人口の観点から受け入れることはできないと明確に回答してきたのだがら、社民党も真摯に受け止め、上記のような別の選択肢を模索してみてはどうか、と考える次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)、1995年1月17日から十五年

2010-01-17 23:26:58 | 国際・政治

◆過去の教訓を活かしつつ過去に束縛されない防災を

阪神大震災から本日で十五年を迎える。阪神大震災は神戸市のほぼ直下にある断層がきわめて浅い深度で弾性エネルギーを爆発させ、姫路市や京都市にはあまり被害がなかった一方、神戸市、西宮市、芦屋市を中心とした地域に計り知れない被害を与えた。

Img_7573  六千名以上の犠牲者というのも想像できないものであり、荒廃した街並みを想像以上の努力と熱意、決心によって復興させ、今日に至る過程は、当事者から聞くならば誰しも落涙を禁じえない。その復興過程を記すことは本稿の目的とするものではないので割愛するが、危機管理、安全保障という観点から阪神大震災の教訓を次の巨大地震に活かすための視点については、考えたい。

Img_7707  阪神大震災は、直下型地震という。被害地域は局限化されるものの狭い地域に激しく鋭い揺れが瞬間的に発生し、低層建築物を中心に破滅的な打撃を与える特性を有する地震であった。阪神大震災の教訓として見落としてはならない点としては、阪神大震災が日本にと離船後初めてとし直下が他事心として大きな被害をもたらした、ということに起因する対処の遅れである。

Img_0325  明らかにあの地震災害は、神戸の被害に先んじて大阪や姫路の被害の少なさから、事態の大きさが初動の段階で中央に過小評価された、という点が否めない。しかし、神戸市と兵庫県が状況の深刻さを中央に伝達する優先順位を見誤っていた、といわざるを得ない状況に際して、偶然にも被災地である伊丹市に中部方面総監部が所在していることから桧町は被害状況が単純な地震災害といえる規模ではないことをつかんでいる。

Img_1265  兵庫県知事が自宅で、とにもかくにも公用車の到着を待っていたことで災害派遣要請は遅れたものの、第三師団は近傍災害派遣としての準備を開始していた。兵庫県庁の危機管理意識の低さは説明のしようもないが、中央政府の対処の遅れは乏しい知識に直下型地震の被害特性についての情報がなかったことに起因する。

Img_7652  さて、現在迫っている地震災害について懸念するのは、現在の政府についてである。即ち阪神大震災の教訓を誤って解釈しているのではないか、ということ。第一に現在もっとも我が国に対して脅威を及ぼしているのは東海地震、東南海地震、南海地震だろう。東海地震に対処するべく地震予知連絡会が設置され、大規模地震対策特別措置法が制定されたのが1970年代、あれから東海地震は起きないものの、ほかの地震は阪神大震災を含めかなりの数が起きているので、地震学者はなにをしているのか、という直情的な憤りとともに東海地震は本当に近い将来無視できない範囲内での脅威を及ぼすのだろうか、という素朴な疑問がわいてこないでもない。

Img_1252  まず、現在の耐震基準は関東大震災を筆頭とする様々な地震災害を教訓として制定されたものであるが、1948年6月の福井地震、1964年6月の新潟地震、1968年5月の十勝地震、1978年1月の伊豆大島近海地震、6月の宮城県沖地震、1983年5月の日本海中部地震など、多くの地震被害を元に制定されているのだが、もっとも大きな教訓を残しているのは阪神大震災だろう。

Img_8170  しかし、直下型地震と違い、深い震度で発生する海溝型地震は、振動の特性がゆっくりと長周期で長時間発生するというもので、超高層ビルなどの建築物に対して直下型以上に大きな負担を加えるという危険性が指摘されている。東京タワーなどは関東大震災の二倍もの加速度を想定した強度といわれるが、振動の周期の相違を考えれば果たして大丈夫なのか、という不安も残る。

Img_2047  加えて阪神大震災が直下型地震という事で前述のように被害が一か所に集中していたことが大きな特色であった。一方で、一か所に多数の救助要員を集中することが出来た、という教訓を残している。他方で、東海地震、東南海地震、南海地震は海溝型地震(東南海地震は直下型)としての性格を有しており、被害地域は広域化する特性をもっている。

Img_8616  一か所の防災と災害対処、という教訓のもとで対処しようにも、被災地が広域化すれば、近隣都市の支援を受けられない場合も当然あり、阪神大震災の教訓だけを元に一都市平均で一定以上の救助要員を集中しようとすれば、結果的にロジスティクスの面で無理が生じてしまう可能性も忘れてはならない。

Img_4302  もうひとつは、連動型地震となる可能性だ。これは映画や小説だけの話、と個人的経験も含め勘違いしやすいのだが、少しでも年表を調べてみると、これは単なるフィクションではないことが見えてくる。1854年の安政東海地震ではマグニチュード8.4の巨大地震が、事実上東海地震と東南海地震の連動として発生し、日本に来航した外国船が津波で沈没するなどの被害があった、翌日にはマグニチュード8.4の安政南海地震が発生、明後日には豊予海峡地震が九州四国を襲っている。

Img_7884  1707年の宝永地震は東海・東南海・南海地震が同時発生したものでマグニチュード8.7というきわめて大きな規模のものであった。四国、紀伊、東海道沿岸は津波に襲われ犠牲者は最大二万、一ヶ月半を経て富士山が噴火、有名な宝永噴火口が誕生した噴火災害は、東海・東南海・南海地震の同時発生後に発生したのである。

Img_3215  1605年にはマグニチュード8の東海・東南海・南海地震の同時発生があり、津波災害の話は小説日本沈没一部末尾にシベリア鉄道車内で小野寺と摩耶子の描写で出ていたことはSFファンの間では有名だ。1498年の明応地震は東海・東南海地震の同時発生となったケースだ、マグニチュード8.4、新幹線で浜松から名古屋に向かう際、美しい浜名湖と太平洋の車窓を楽しむことができるが、浜名湖と太平洋が繋がったのは、この地震による地殻破壊が原因と考えられている。

Img_0311  887年の仁和南海地震はマグニチュード8.5、京都を中心に大きな被害があり、同時期東海地震・東南海地震が発生したという地質分析の結果があり、684年には白鳳南海地震による津波が四国太平洋岸に被害を及ぼしているが、近年の研究では同時に東海・東南海地震が発生したと地層分析の結果判明している。

Img_8476  日本国憲法制定後、もしくは明治維新後こそ、連動型の巨大地震に関する記録は無いものの、地質学的にはこうした巨大地震は連動し得る、という記録を残している。阪神大震災のような巨大地震に対処する準備をしつつ、地震被害は阪神大震災と比べれば広域化することもあれば、津波を伴う事もあり、海溝型地震であれば連動する可能性もある。こうした多種多様の可能性を踏まえ、防災の備えを行う事が、過去の地震被害への一つの鎮魂となるのではないか、と考える次第。

HARUNA

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海上自衛隊インド洋派遣部隊へ撤収命令 遥かインド洋での補給任務を完遂

2010-01-16 22:43:59 | 国際・政治

◆本日0000時、任務終了

 本日16日0000時を以て海上自衛隊インド洋派遣部隊の長い任務が終了、撤収命令に基づき進路を母港へと向けた。

Img_5616  海上自衛隊のインド洋における補給任務は、戦闘行動の支援としては海上自衛隊発足以来最大の規模のものとなっており、補給任務は、単なる洋上の補給拠点を供するという意味以上に、NATO加盟国とイスラム世界という、利用されがちな安易な対立構造から離れて、テロリズムという理不尽な暴力に対して、秩序と安定を求める共同体、という構図を示すうえでも重要であった任務だ。

Img_98701  補給支援任務を開始した当時、海上自衛隊に、ましゅう型のような大型補給艦は整備されておらず、一個護衛隊群への補給支援を前提としている、とわだ型補給艦三隻と、海上自衛隊初の総合補給艦として建造された、より小型の補給艦さがみ、という四隻の補給艦が運用されているだけであり、2010年の今日、ましゅう型2隻に加え、護衛艦も、ひゅうが型の就役が始まっている、時代の推移を感じる印象を与える。

Img_8019  増強されたとはいえ、五隻の補給艦のうち、必ず一隻をインド洋洋上に遊弋させ任務に充てるというローテーションは、日本周辺海域での任務も展開する必要があり、加えて日本周辺情勢も従来からの任務に加えて、隣国の核実験や、島嶼部防衛任務の必要な国際情勢とともに、新しく弾道ミサイル防衛を任務に加えられるなど安穏とした情勢では必ずしもなく、期せずして2方面作戦を強いられることとなり、苦労もあったのだろう。

Img_6905  補給支援任務は終了したが、これに続く日本のテロとの戦いへの国際貢献の在り方については現段階では未知数だ。危険なアフガニスタンに決死の覚悟で民間ボランティアを自衛隊の護衛とともに投入し復興人道支援にあたるのか、民主党が野党時代から必要としていたテロ対策の恒久法を制定して再び補給艦を派遣するのか、再びイラクへの復興人道支援を模索するのか、未知数ではあるが、長きにわたったインド洋における給油支援任務は終了し、無事、撤収命令が発令されたことは一つの大きな区切りである。

HARUNA

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ハイチ地震、首都ボルトープランス市を中心に五万人が犠牲の可能性

2010-01-15 22:27:14 | 国際・政治

◆各国救助支援始まる、しかし何もかもが不足

 ハイチ地震について、海外の放送と日本政府の動きをまとめてみました。ハイチ地震に対して、日本政府の対応は遅れに遅れていますが、遂に自民党が動いた、という模様です。

Img_0288  自由民主党:ハイチ地震への対応についての緊急申し入れ・・・日本時間1月13日午前6時53分、カリブ海のハイチで発生した強い地震によって数万人規模の死傷者が発生し、現地では極めて困難な状況となっている。米国はじめ、中国、欧州各国は既に災害救援チームを派遣し、救援活動を行っている。政府の対応は、当面の支援として500万ドルの資金協力を決定したが、具体的な人道支援策は、医療分野での支援を念頭にした 調査目的のための緊急調査チームを14日に派遣したのみで、そのチームも現段階では現地入りもできていない。

Img_6347  こうした鳩山内閣のハイチ地震への取り組みは、国際的にも極めて遅く、消極的と言われてもやむを得ない対応である。わが党は本日、「ハイチ地震対策本部(谷垣禎一本部長)」を設置した。政府においては、ハイチ地震に関する情報収集及び救援、復旧等について早急に本腰を入れて取り組むとともに、わが国としてできる限りの措置を迅速に取るよう、申し入れる。既に中国軍をはじめ各国の救援部隊の展開が本格化している状況があるわけで、しかも自民党政権時代であれば既にこれだけの規模の災害ならば手は打たれていたはず、インド洋大津波スマトラ沖地震の際にも2500名の部隊が派遣され、復旧に当たったということは記憶に新しいといえます。こういう場合は、早い時間帯ならば護衛艦一隻でもいいので、物資の量にかかわらず派遣することが重要でしょう。時間が経てば混乱が本格化してきますので、相手の受け入れ能力そのものが飽和状態になってしまう、という事も忘れてはなりません。

Img_9601  これにたいして、民主党も独自の動きを表明したようで、首相の判断は不明ですが防衛大臣が独自の判断を発表しました。防衛大臣記者会見概要平成22年1月15日(10時30分~10時39分)Q:今の国際貢献に関わるかもしれませんが、ハイチで先日地震が起こりまして、防衛省としてどういったことができそうかということについて如何でしょうか。  A:昨日も外務省と防衛省で調査のための派遣をいたしましたから、もう間もなく向こうに着くのかも知れませんが、現地の報告が来ると思います。ひとつ考えられますことは、たまたま米国での訓練で、C-130がアリゾナにおりますので、今日辺り終わるようですので、それをすぐに活用できるかということと、それから日本の救援物資がフロリダに確保してありますから、それを活用できるかどうかということを早急に報告を受けて処置をしたいと思っております。

Img_7157  アメリカ海軍は早い時期に空母カールビンソンの派遣を発表しました。病院としての機能、発電能力も大きい大型航空母艦は、ノーフォーク基地からサンディエゴ基地へ帰港する途上、フロリダでヘリコプターを搭載し急きょ出動が決定したという事です。このほかにはマーシー級病院船、これはタンカーを改造した非常に大型の病院船なのですが、派遣が決定しています。そして、アメリカ海軍の巡洋艦は既にハイチに入港したようですね。治安面でも不安な面が伝えられていることから、精鋭、第82空挺師団から治安出動という形で兵士が派遣されるようです。これによって、米軍としては近年最大規模の派遣となるようです。

Img_4745  それでは、各国の報道を元に少し日本が行える支援などについて考えてみましょう。BBCによれば、ハイチの首都、ポルトープランスの打撃は想像以上のもので各国は2億ポンドにも上る資金援助を申し出ているが、BBCによれば各国の支援は全く届いていないという。現時点では、国連は1000万㌦を投じることとしている。しかし、もともと中米の最貧国ということもあり、各国からの救援を受け入れるだけの基盤は無く、ハイチ安定化のために投入されているPKO部隊や国連職員も被害を受けており多数がし死亡したり行方不明となっている状況。

Img_7763  イギリスからは70名の専門医療チームと救助犬が派遣されているが、ハイチは貧困国ということもあり、空港も壊滅、閉鎖されている状況。イギリスの救助隊は隣国であるドミニカ共和国で待機中となっている。救援機も着陸できず、隣国に着陸しているという状況。BBCは以上のように報じましたが、空港機能復旧のための人員、必要に応じて臨時滑走路を建設する能力が必要でしょう。しかし、この能力については米軍工兵隊の方が秀でているものがありますので、どちらかといえば回転翼機などでドミニカからハイチに向かうという方法が理想的かもしれませんね。それよりも問題なのは空港機能の問題です。航空自衛隊の輸送機を派遣しよう、という状況ではありますが、空港機能は満杯状態で、戦術輸送機であるC-130Hは、もう少し早く派遣できていれば、と思う次第です。空港が機能を維持するには航空管制と地上クルー、そして航空燃料の備蓄が何よりも重要となってきますからね。

Img_7619  ABCはダイアンソイルをハイチへ派遣。ABCによれば、空港は非常な騒音に見舞われているという、それは着陸できない航空機多数が上空を旋回している為である。合計で50トンの援助物資を搭載した航空機が空港に着陸しようとしているのだが、ポルトープランス空港が破壊され着陸できないということ。飲料水が不足、被災者は辛抱強く救援を待っている。あちこちに厚さの中遺体が放置されている。水も食料も医薬品も無く、水は一本一ドルで売られているが、買うことができる人はわずか。援助物資の搬送準備は進んでいるが空港が混乱している。FAA連邦航空局によれば空港は混乱しており、一時閉鎖したとのこと、応急管制塔を設置して、今朝だけで120機が着陸した。本物の管制塔は倒壊してしまった状況。アメリカの救助チームはC-130で展開、着陸すると国連本部に展開したが、国連本部では既に20名が死亡、120名が行方不明となっている。夜間の病院照明はカメラのライトだけという状況。地震発生から49時間を迎えている。バージニア州から派遣されたアメリカの捜索チームはハイチ最高級のホテルモンタナ倒壊現場に展開し、二日間生き埋めの被害者を救出した、というような僅かな明るいニュースは伝えられている。

Img_20161  救助関係者によれば、一番つらいのはどれだけの人が生き埋めとなっているのかが不明、ということだ。瓦礫の下から必死にはい出ようとしている人とともに、生存者の多くは丘陵地帯にある、かつての青空市場に集まり、救助物資が無い中である食料を分け合っている。被災者を連れてゆく場所は無く、ガソリンスタンドなど、残った建物が野戦病院のように扱われているとのこと。市内には多くの遺体が放置されているが、今のところ感染症は広がっていない、悲惨ではあるが、被災地で感染症がふえる、ということは稀であるとのこと。重要なのは水であるが、混乱状況にある、とアメリカ人医師はコメントした。ハイチの人々は、絶望的な状況にあっても祈りをささげ、歌を歌いながら励ましあっているという。ABCについては以上、やはり瓦礫の下の人員を迅速に救助することが何よりも求められるようで、こちらについては都市消防などの緊急対策チームが成果を上げているようです。

Img_0681  こうしたレスキュー隊は数十名で、軍隊のような物量ではありませんが、各国が順次投入することで次第に人数が集まってきているようです。日本のハイパーレスキューや医療チームなどの出動が待たれる状況ですね。他方、陸上自衛隊が各駐屯地に配備している人命救助システムにも同様の用途に用いることができるのですから、派遣についても充分考える必要があるでしょう。とにもかくにも、瓦礫の下からの救出は時間との闘いですが、民間機の運航は非常に限られている状態です。日本から既に派遣された調査団が未だに現地に入れないのは、こうした状況があるからですし、自衛隊機かチャーター機により直接ハイチか隣国ドミニカに展開することが重要でしょう。

Img_7599  PBSによれば、四万五千人の死亡が赤十字により確認されており、首都は助けを求める街、という状況となっている。数えきれない人ががれきの下敷きとなっている。二日目に入り昼夜を問わず救出、被災者は救助を求めているが、病院を始め水食料医薬品が底を尽きかけている。首相は救助を求める声明を発表した。けが人は数少ない無事な病院にドアや荷車で運び込まれている。ポルトープランスから96km離れた病院へは次々と負傷者が運び込まれている状況が報じられている。骨折と昼間の暑さでの感染症の利管制が高まっている。総合病院の遺体安置所は満杯で朝には1500の遺体が外に並んでおり数は増える一方。最大に避難キャンプの一つが倒壊した大統領宮殿の反対側、略奪が横行するが警官の姿は見えない。徒歩で首都から避難している人も多いが破壊された自動車が行く手を阻んでいる。しかし、瓦礫の山に囲まれていても立ち直ろうとする人たちもいる。

Img_5845  14日には160名、15日には360名のアメリカ人が脱出。重機の搬入が試みられるが困難となっている。フランスからは65名の専門家が到着、救援機三機でマルティニーツ経由で向かっている。中国からの救援隊は、荷降ろしの専門車両がないため機材を手動で下し、六時間を要した。なお、救難機の相次ぐ発着により空港からは航空燃料の備蓄がつきつつある状況だ。アメリカは第82空挺師団より14日に100名が分権隊として展開、数日以内に数千人が派遣される。クリントン国務長官は、アジア歴訪を中断、ロジスティクスの再構築を忍耐を以て正常な状態に戻す、困難を乗り越える、と発表した。バージニア州の救援部隊は13日に展開、イギリスの緊急支援チームは14日に展開した。ガートウィック空港から10トンの重機などとともにポルトープランスへ到達。イスラエルは軍の救援チームが一日500名の治療を行える野戦病院を建築するべく展開、イスラエルは地震被害での野戦病院建設に経験がある。

Img_6039  オーストラリアのスミス外相は1000万ドルの支援を発表、IMFも1億ドルを拠出するが、国家レベルの新しいアプローチが必要になるだろう、と話した。実際、国際赤十字によればん三百万人が救援を、少なくとも一年間にわたり必要である、と分析している。救世軍によれば一刻も早く食料が、そして直ちに医療を必要としている、機材が底を突いているが直ちに必要な状況。驚くべき状況であるが惨状の中で起きたことに対して現地の人々は戦っている、勇気を持って頑張っている、という状態です。不安な中で乗り越えようと頑張っているという状況。赤十字が直面しているのは医療通信物資の各チームが到着するのだが、いま最も大切なのは救出活動である。

Img_7939 赤十字も含め国際社会が懸念しているのは亡くなった方への配慮、遺体が路上におかれたままとなっていること。赤十字によれば水は被災者は手に入るところで入手している、ハイチでは露店でモノが売られているが、そこでも物資が尽きかけているという状況だ。地震前に輸入された食料を保管する倉庫が大きな被害を受けている状況にあって、必死で物資を求め、そして待っているとの状況。港湾は打撃を受けている、しかし、空港は管制塔が被害を受けているものの滑走路に着陸することは可能、ただし航空機多数が展開するので航空管制が難しい状況になっているとのこと。クリントン元大統領は国連ハイチ特使である、インタビューでは、これから一週間、十日間の支援が重要、犠牲者と行方不明者の両方を行い、捜索、医療以外で必要なのは現金、そして食料と水、テント。米軍は国連ハイチ安定化派遣団とともに活動に当たっている、アメリカ大使館は幸い無事でしたがほかの政府施設は破壊されている。今は義捐金が必要なのです。数日間を乗り切ることが出来たならば、政府機能は回復するでしょう。ハイチ政府では、大統領官邸が破壊され、議会議事堂も損壊しました。アメリカはオバマ大統領をはじめ目覚ましい活躍です。

Img_7003 アマミ特使にかわる新しい国連特使が入りました、現在、国連は空港近くの仮設施設に入っています。責任者は生きているかわかりませんが、責任を以て人々は頑張っています。しかし、港湾の破壊により荷降ろしにはクレーンやリフトが使えず、小さな船に乗せ換えるのか、クレーンの搭載された船舶でしか使えませんし、瓦礫を除去できる機械、機械を現場に到達させることのできるものが十分ではない、ということが問題です。現在は空港の夜間運用能力を回復させることに取り組んでいて、十日後にはがれきの除去が始まるでしょう、そしてハイチ政府も国連も立て直すことが出来るでしょう。国連事務所は五階建てのホテルに入っていましたが倒壊してしまいました。遺体は冷凍保存できないので、埋められています、冷蔵船や発電機能のある船舶が持ってくることが出来たら、と思います、というのもこのままでは遺体の写真を撮って遺族に埋葬場所を知らせるしか方法が無くなってしまいます。しかし、米国の支援、米州機構の支援でハイチは復興できると確信しています。

Img_3833 ハイチにおける人道団体について、ケアUSAのヘレンゲール博士によれば、援助が届かないことに怒った被災者が遺体を道路に積み上げて抗議しているのですが、現地は混乱して大変な常態、インフラも破壊されており支援を始められない状態にあるので一つ一つステップを踏んでいくこと、国中の道路を通行可能な状態にして援助物資が届くようにする、そして港湾も修理する、すばらしいことにやる気は示されており、空港も再び稼働を開始、援助の人たちも隣国のドミニカ共和国から入国を開始しました、しかし、大変な緊急事態で簡単にはいかないでしょう、今一番必要なのは多くの人が言うように今は捜索と救助、生存者への緊急で確実な支援、水、食料、テントが最初の72時間い必要でさらなる死者が出ないようにすることが必要であるとともに、死者の尊厳を守る事も重要です、緊急に治療を必要とする人やもともと十秒の人もいますので、当面は治療と遺体の問題、復興と債券の素早く迅速に行う方式も必要でしょう。

Img_9977 ケアなど既に派遣している団体は即座に対応に当たることが出来ましたし、実績ある団体はもともと備蓄している物資を活用することが出来ました、スタッフも緊急に派遣していますし、パナマなど近隣諸国からも備蓄されている人道団体の物資を被災地に届けようとしています。協力体制についてですが、まず最初に必要なのは義捐金、義捐金があれば物資を届け物資を買うことが出来ます。現地に行って支援したい人はいるかもしれませんが、今はそれは無理です、行くことはできずインフラも破壊されていますから、連携については不充分ですが、津波災害など過去の災害の協力から連携の重要性は分かっていると思いますのでそれぞれの得意分野を活動して行けると考えています。PBSについては以上です。

Img_0413  やはり道路状況の復旧、この分野で米軍やPKO部隊に不十分な部分を陸上自衛隊の施設科部隊が担うか、もしくは陸上自衛隊が伝統的に重視している偵察隊によるオートバイ斥候部隊を、血清や医薬品などの緊急輸送に用いることが支援策として考えられるでしょうか。道路復旧については、普通の工兵隊でも対応可能なのですが、一応視野の片隅に入れておくことは重要でしょう。もう一つはヘリコプターの派遣ですね。道路状況に関係なく輸送を担う事が出来ます。造水能力から考えますと陸上自衛隊の給水部隊よりも掃海母艦や補給艦による給水の方が理想的かもしれません、造水能力が違いますからね。もうひとつは輸送艦の重要性でしょう。港湾設備が破壊されている以上、輸送艦による上陸支援が威力を発揮すると考えられます。

Img_9063 F2によれば、死者数万人、想像を絶する被害という状況を報じている。救助は重機がはいれないことから専ら手作業となっており、瓦礫となった家屋から生存者を捜す作業が続けられている。遺体は1500名が安置所におかれているが、病院、官庁が破壊されており電話も不通、多くの死者は路上に放置されており、津波が押し寄せるというデマが一時パニックを引き起こした。国連PKO部隊は指揮官が死亡、大統領宮殿は倒壊し、大統領は難をのがれたが閣僚数名が安否不明となっている。警察長官によれば刑務所が破壊され、多くの凶悪犯が脱獄、既にスーパーマーケットでは銃撃戦や略奪が起きているとのこと。フランスからは地震災害卓作専門隊員60名が派遣、ルブレットフランス大使が出迎えた。死傷者の正確な数は把握できていないという。最高級ホテル“モンタナ”が倒壊して宿泊者300~400のうち100名としか連絡が取れていない。

Img_993_3  空港は破壊され、アメリカの救援機は着陸できない状況、路地すティクスの面で問題が大きすぎる状況、空港はマヒ状態、数機の航空機が着陸しているのみ。首都の治安が心配されるが、救援部隊の略奪や襲撃はF-2記者が目撃していない、ただ、ガソリンの輸送車が各坐しており、ガソリンをめぐっての暴行が目撃されており、一番の問題は飲料水や食料の問題、徐々に治安悪化の可能性がある。サルコジ大統領は数週間以内にハイチ入りを予定しており、ブラジル、カナダとともに復興会議の開催をオバマ大統領に提案する意思を表明した。F2については以上です。復旧の必要性もさることながら、復興という長期的な面での検討も視野に入れておくことが重要ということですね。そして、いま重要なのは無計画な物資投入よりも、ロジスティクスの確保が重要、ということでしょうか。空港は管制塔が破壊され、無線で地上から完成している状況ですので、どんどん輸送機を送り込む、というのは逆に混乱を生むようです。

Img_6053 RTRによれば、地震の犠牲者は50万に及ぶ可能性がある。がれきの下に多くの負傷者がいるが収容できず、病院は満杯状態、負傷者はスタジアムに収容されている。通信手段がないことで情報が錯そう、地震当時18名のロシア人が在留していたが、全員ドミニカに出国することができた。メドベージェフ大統領は非常事態省に命令し3機の輸送機が発進、もう1機が待機態勢にある。ポルドープランス空港には一本しか滑走路がない状況となっており、出国者であふれているという状況となっている。ロシア非常事態省の輸送機にはBK117ヘリコプターを搭載しており、現地に展開させるほか、携帯式の救助器具を携行する。救助チームには、医師、心理学者、着陸後40分で治療を開始できる可搬式手術システム、特殊車両などが投入。非常事態省のポポフ次官はまだ生存者はいる、としている。国連に派遣されているMi8ヘリが既に現地で活動中。

Img_8271  RTRについては以上です。ロシア非常事態省がBK117を運用していたのには少し驚きましたが、道路などの交通手段が破壊されている状況下では、ヘリコプターの重要性が大きい、ということがあるのでしょう。そして、心理学者を含め派遣している、ということですが、各国が災害派遣で培ったノウハウを用いている、ということですね。ロシア非常事態省の輸送機は、順次必要なものが集まり次第、パッケージングして集団として送り込んでいるという状況のようで、時間云々よりも隣国ドミニカへ物資を集約する、という事が重要なのでしょう。同時に物資集積のロジスティクス指揮所のようなものを、いち早く立ち上げることが望ましいのですが、米軍であれば米本土から指揮通信で対処できるのでしょうが参加している各国との調整所のようなものは必要となるのでしょうね。

Img_2009  アメリカ本で訓練中のC-130Hにフロリダに集積している物資を搭載して派遣できないか、という事で調整していると報じられましたが、足りないものは本土のU-4多用途機に搭載し、早い進出速度と航続距離を活かして展開し、C-130Hに米国内で積み替える、という運用が考えられるでしょう。もうひとつ、ヘリコプターが必要で、これもC-130Hに搭載しての空輸、というものが考えられるでしょう。時間はかかりますが、負傷者の救助だけでなく、地上インフラ復旧のために施設科部隊を輸送艦で輸送する、という方法もあり得ます。現地はハリケーンに襲われる地域ではありますが、輸送艦により仮設住宅を輸送する、という支援も当然考えられます。どういった支援が必要か見極めてから、といつかの阪神大震災を思い出しそうなことを現在の日本の外務大臣は仰ってますが、アフガン支援、気候変動防止に数十億㌦を簡単に捻出すると表明する日本国なのですから、こういうときくらいは物量で対処しては、と考える次第、出来ることは全て行うという姿勢が必要なのでしょうね。

HARUNA

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インド洋海上阻止行動給油支援、鳩山民主党新政権の意向で明日終了

2010-01-14 23:07:07 | 国際・政治

◆脱国際協調路線、代案無き一方的終了

 タリバンはアフガニスタンでの支持を失いつつあり、一方、アルカイダはその活動拠点をアフガニスタン、パキスタンからイエメンなどアフリカ大陸へ移しつつある状況だ。

Img_5876  そうした中、時限立法として制定されたテロ対策特別措置法が明日2010年1月15日に失効する。海上自衛隊の対テロ海上阻止行動給油支援任務は、アフガニスタン、パキスタンからアフリカ方面、イラクを含む中東へのテロリストや関連物資の移動を阻止する水上戦闘艦部隊への支援である。アフリカへ拠点が移動しつつある状況で、いきなり給油支援を打ち切るという行為は、テロリズムの暴力を排し、安定を構築しようという国際協調を脱するものと国際社会は理解するだろう。

Img_1275 もちろん、アルカイダは、テロ組織であり、軍隊のような命令系統と秩序に依拠した威力行使というものは行わず、思想と信念に依拠していることから近年、アメリカ国内で過激思想に影響され、テロ行為を行う可能性さえ指摘されているなか、海上阻止行動の事業評価は必ずしも簡単ではない。

Img_3822  しかし、これまで軍事行動を伴う国際協調への参加に消極的であると考えられた日本にとり、給油支援というかたちでの補給艦、護衛艦の派遣は一つの象徴的な行動であり、常に補給艦を日本本土から大きく離れた海域へ展開させる、という活動は単なる給油支援以上の意義はあった訳だ。加えて、対テロ国際協調に参加するということでの、テロリズム関連の参加国間情報共有は、日本国内のテロ対策でも大きな意義があったことも忘れてはならない。

Img_0247 給油支援がアフガニスタンの復興に直接的な寄与をしない、ということで現在の鳩山政権は特措法延長を行わなかった訳であるが、これはアフガニスタンでの地上支援、民間NGOや自衛隊による支援により、より直接的な支援を行う、という観点からの発想であった筈だ。しかし、党のアフガニスタンが米軍三万人の派遣を行わなければならないほど危険な状況と分かれば、掌を返すように資金援助だけを提示した。

Img_4247  安易な資金援助はアフガニスタン現政権の汚職の原因となり、汚職がアフガニスタン国民をかつて、厳格な宗教倫理に基づき行動するタリバンへの支持へ繋がったことを忘れてはならない。加えて、海軍の無いアフガニスタンの政府に海上阻止行動給油支援を必要とするかを尋ねることも誤っている。海上阻止行動により武装勢力の移動を抑制することがアフガニスタン復興に寄与するかを問うべきであった。

Img_0732 シーレーン防衛や洋上護衛任務のように、被害無しを以て成果とする事例もあるため、安易に給油支援も成果なし、と判断するのはあまりに乱暴であると考える次第である。加えて、前述のように派遣していることで得られる様々な恩恵、情報、信頼醸成というものも評価しない、というのは如何なものだろうか。

Img_8537  海上自衛隊による給油支援は、補給艦が、とわだ型3隻、ましゅう型2隻という5隻体制では、決して楽なものではなかった。しかし、この種の艦船は、水上戦闘艦の装備と比べ後回しとされがちなもので、5隻という体制は決して少なくない、それでも各国補給艦と交代交代にアラビア海を遊弋するのではなく、日本が常時一隻を展開させるのである。ローテーションには相応の負担はあっただろう。

Img_3817  補給支援は、明日を以て終了か、通常国会にて民主党か自民党が新法を提出し、再開されるのかは定かではないが、アフガニスタンに陸上自衛隊を展開させるよりは、人命のリスクは少ない。もちろん、ヘルマンド州へヘリコプターを派遣しての輸送支援などを行えば、その覚悟に各国は一定の評価を出すだろう、とは思うのだが、何となれ、給油支援は明日ひと段落、そして代案としての任務は実施されず、テロとの戦いから日本政府は手を引く、一時的か恒久的かは定かではないかが、この事だけは確かなようである。

HARUNA

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中米ハイチでM7.0直下型地震 首都を直撃、大統領府倒壊、数千人が被害

2010-01-13 23:00:50 | 国際・政治

◆冷淡な現政権、今回も“友愛ボート”派遣無し

 カリブ海に浮かぶ中米、ハイチを現地時間12日1653時(日本時間13日0653時)、マグニチュード7.0の直下型地震が襲った。地震は首都ポルトーフランスを直撃、人口200万の都市は大統領府、国連施設、世界銀行施設、国会議事堂が倒壊するなどの被害をうけた。

Img_7256  自民党政権時代ならば、即座に国際緊急援助隊として緊急人道支援へC-130Hが小牧を出発したのだろうが・・・。被害を受けたボルトーフランス市、人口200万といえば、名古屋市の人口に近いのだが、もともとカリブ海は地震が発生しない地域ということもあり、耐震構造という建築基準とは無縁の地域であることが今回の被害を拡大させている。

Img_8924  マグニチュード7.0の巨大地震は、深度10kmと神戸を襲った阪神大震災を思い出させるもので、大統領府をはじめ政府関係施設が倒壊、国連施設やPKO施設などが被害を受け、国連に依れば現地国連職員との連絡が取れない状況となっている事を発表した。このほか、日本大使館も亀裂が入り倒壊の恐れがあるとのことだ。外務省は邦人の安否確認を急いでいる。在留邦人の数は20名程度とされるが、KC-767あたりに救援物資を搭載して派遣してもいいのでは、と思う次第。

Img_2047  そもそも、鳩山総理は、自衛艦を“友愛ボート”と称して人道支援任務に充てる、という構想を持っていた。その案を即座に実行できる最初の機会は、政権交代直後の2009年9月29日、西太平洋のサモア周辺で発生したマグニチュード8.0の巨大地震と、津波被害に見舞われた際なのだが、新政権は何ら救援の手を差し伸べることなく今日に至る。

Img_7979  ハイチを襲った今回の地震は、前述したように震源が深度10kmという浅い場所で生じた直下型地震である。阪神大震災の淡路断層がそうであったように、直下型地震の被害は、非常に狭く、神戸や芦屋、西宮、淡路島の被害に対して隣の大阪市、姫路市の被害は非常に少なかった。

Img_8240  直下型地震は、被害が局地的である半面、弾性エネルギーは鋭い揺れとなり中層以下の地上建築物を破壊、被害は集中する。阪神大震災では耐震構造の日本建築物が次々と倒壊し、山陽新幹線などの鉄道施設、高速道路橋脚部分も破損、伊勢湾台風以上の戦後日本災害市場最大の被害を与えた。

Img_38501  この教訓から、直下型地震に対しては即座に自衛隊を派遣し、自治体の防災機能が本格的に指導するまでの間、集中的に民生復旧に当たることの重要性を学んでいるはずだ。既に元宗主国のフランス、そして中米に影響力を持つアメリカは災害派遣の準備態勢に入っていると報じられている。

Img_8162  中米地域への自衛隊による国際緊急援助隊派遣であるが、1998年11月14日から12月5日まで、ホンジュラスでのハリケーン被害に対して陸上自衛隊第10師団より緊急医療援助隊80名、航空自衛隊国際緊急援助空輸隊105名が派遣、防疫、医療、浄水、復旧などに当たった前例がある。

Img_1676  ホンジュラス派遣の際には、C-130Hにとって、中米は非常に遠く、搭載物資を2㌧に制限したものの、五日間の時間を要したという。しかし、現在はKC-767空中給油輸送機が配備されており、先ごろ四号機が小牧基地に入ったとのこと。このKC-767であれば、一回の経由地を経て一日で中米に展開する能力がある。

Img_3422  ううむ、現政権は“いのちを大事に”ということを強調して平成22年度予算を制定し、気候変動防止に関しては国益を越えた地球益がある、という趣旨の発言をしていたように記憶する。日本は地震国であり、台風が毎年直撃し、豪雨は都市部をも被害をもたらし、火山噴火の記憶も新しい災害大国である。

Img_6426  災害大国であるだけではなく、災害に立ち向かう多くのノウハウを自衛隊が数多の災害派遣から有しており、直下型地震への対処も行ってきた。奇しくも間もなく1月17日、阪神大震災追悼の日が近づいてきた、小沢幹事長付近に検察捜査の手が入り、政府は思考停止に近い状態かもしれないが、政府として防災立国の手本となる自衛隊派遣を早期に期待したい次第。

HARUNA

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新砕氷艦しらせ 南極観測支援へ昭和基地に初入港

2010-01-12 23:45:55 | 海上自衛隊 催事

◆積雪と氷床に苦戦!

 海上自衛隊の新砕氷艦しらせ、が南極大陸の昭和基地へ初入港を果たし、就役後最初の南極観測支援任務が成功した。

Img_2716_2  海上自衛隊は、海上保安庁の砕氷船宗谷に続き、砕氷艦ふじ、砕氷艦しらせ(初代)を運用、南極観測支援任務に充てている。最初の砕氷船宗谷は船の科学館に展示されているが、総トン数4100㌧、非常に小さく、もともと砕氷艦として建造されたわけでもないこも踏まえれば、これでよく南極まで航海したものだ、と思ったのだが実際、何度も難渋し、ソ連やアメリカの大型砕氷艦に助けられている。60年代には、原子力砕氷艦を、という声もあったようだが、新鋭の専用砕氷艦ふじ、は通常動力として完成した、現在の新しらせ、は基準排水量12650㌧、満載排水量22000㌧、連続1.5㍍の砕氷能力を有する。

Img_2691  南極観測船しらせ、昭和基地接岸 予定より6日遅れ・・・【昭和基地=南極観測隊同行記者】南極観測船「しらせ」が10日午後11時30分(日本時間11日午前5時30分)、昭和基地に接岸した。例年の約2倍の厚さの氷と積雪に進路を阻まれ、当初の予定より6日遅れでの到着。第51次南極観測隊の輸送、観測計画に影響が出るのは必至だ。昨年5月に完成したばかりのしらせにとって、初めての同基地接岸。船首に散水装置を備えるなど、世界トップクラスの砕氷能力を持つ同船だが、基地沖20キロの辺りから厚さ2~3メートルの氷と1~2メートルの積雪に苦戦した。11日未明から、船と基地のタンクを直接パイプでつないで燃料を送る「バルク輸送」が始まり、雪上車による観測・設営物資の輸送も順次行う。接岸場所が見える「見晴らし岩」では、既にヘリコプターで基地入りしている51次隊員や、約1年前から南極に滞在する50次越冬隊員がしらせを出迎えた。2010/01/11 10:32   【共同通信】http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010011101000082.html

Img_2461   当初、新砕氷艦は20000㌧型を建造する構想があったのだが、財政状況を考慮して12650㌧となった。もともと平成16年度予算に盛り込まれる予定であったのだが、南極観測支援を行う文部科学省が予算を捻出できず、設計予算のみ通った経緯があり、平成17年度予算せ建造、文部科学省予算で建造し、海上自衛隊が運用する、という方式を採っている。旧しらせ、艦橋には、荒れ狂う南極海を航行している際の物凄い船体動揺を傾斜計が記録しているが、新しらせ、も今回の南極観測支援任務で大きな動揺が記録されたことだろう。新しらせ、の南極処女航海を迎えたのは例年以上の積雪と連続破砕能力の限界に迫る分厚い氷床、気候変動か、単なる異常気象か、これらを調べることも南極観測の任務として挙げられ、その支援を行う第一歩を、新しらせ、は無事実施中である。

HARUNA

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