北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-広島,江田島練習艦隊出航待つ広島港にてインドのカレー料理

2022-03-27 18:18:42 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 広島県と云えば呉市は呉基地に呉地方総監部の置かれるまさに総監部の御膝元ですし、江田島には海軍兵学校を受け継ぐ幹部候補生学校が置かれている。

 練習艦隊江田島出航。近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊という二つの部隊が堂々と江田内を出航する毎年の行事です。あの東日本大震災の直後にも粛々と行われ、いまのCOVID-19新型コロナウィルス拡大下においても連綿と海上防衛の基礎を固めているもの。

 広島港。毎年江田島の練習艦隊出航に際してこの広島港を基点に江田島へ向かうのですが、ここには不思議な港情緒がありまして、広島市電よりも運行間隔が長いものですから待ち時間というのはちょっとした息抜きができる、この忙中有閑が港情緒なのだとおもう。

 ガネーシュ。広島湾を一望する好立地でカレーを頂けるということで昨年も紹介しまして、いや実は今年の練習艦隊出航では広島県まん延防止等重点措置解除ということで楽しみにして広島港ビルのエスカレータを早足で登ったものなのですよ、久しぶりだなあ、とね。

 まん延防止等重点措置、現実は厳しかった。門扉には延々と営業自粛の期間が張り紙に張り紙を重ねる様に貼られていまして、そして内装品の撤去作業が開始されていました、それは明らかに廃業した事を意味します。肩の力が抜けたというか、あと漫画喫茶できてた。

 ヒヨコマメ、インドと云えば豆のカレーだというのを、草創期の北大路機関の会合所に汚点紫という謎の店が北大路通り沿いにありまして、そこで豆のカレーをお教えいただいて以来、一つの定番となっています。汚点紫、円町近くに移転し、そして、そこはまあ、ね。

 波止場で一杯、これは旅に出かけた雰囲気が増しますが何より此処は呉の入り口、いや広島市なのですけれども、呉軍港への入り口にてカレーを頂けるのですから。こう、インドのシンハービールを注いで、時計をふと見て連絡線まであと何分、ビールを口へはこぶ。

 カレーナンコツ。海を渡った先こと20分先に在る江田島でも牡蠣という美味しい目的がありますので、ここで満腹というものも考えてみますと三時間後の未来を塞いでしまいますので、慎重に。歯応えが面白いのですが、年配の友人知人は歯に来るという、若者向けか。

 シンハービールも良いけれども、アサヒビールも広島だから良いよなあ、インドのみんなごめんね、両方とも美味しい。そしてジョッキのビールと少し少しと注ぐ瓶ビールはそれぞれの良さがあるように思う。考えてみるとスパイスの利いた料理とビールが相性いい。

 タンドリーチキンが香りと音と共に来た、高速船の時間と調理の時間を考えて、一番のお楽しみはやはりというかタンドリーチキン、美味しさは確実なのだけれども、スパイスが指につくと延々とタンドリーチキンを主張するという、食べ方に注意しなければならない。

 カレーまで行けるかな、とも考えたのですが高速船には時間の縛りがある、ただ、今考えてみれば、2022年に閉店してしまう事を考えれば、またあるさ、という考えよりは一期一会を認識しなければならないのが、COVID-19のウィズコロナという厳しい時代なのです。

 広島にはガネーシュの視点は閉店となってしまった広島港の宇品店だけではなく、沼田店、多分群馬の沼田ではない、本通り店、多分路面電車で知らずに通過してる、鷹野橋店があるという。今度は改めてこの視点の方で、ひっそりと乾杯してみようとおもっていますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ドンバス重点攻略-ロシア軍ウクライナ侵攻長期化で転換か,撤退訓練は充分か-難しい撤退作戦と潰走の可能性

2022-03-27 07:00:54 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 キエフ北方のロシア軍を大きくウクライナ軍が圧し戻した事でウクライナ情勢は転換点を迎えつつあるようです。

 ロシア政府は25日の発表で、ロシア軍は今後の作戦重点として親ロシア系住民が多く居住する東部ドンバス地域に注力すると発表しました。これはロシア軍が首都キエフ攻略など大き過ぎる作戦計画を見直し、ウクライナ東部二州に限定して割譲を目指す方針へ転換したということでしょうか。開戦一ヶ月以上、ロシア軍攻勢は現在完全に停滞しています。

 ウクライナ軍は反撃を開始しており、ウクライナのゼレンスキー大統領は25日の声明で、的に強力な打撃を与えた、と発表しており、またキエフ北方でのロシア軍を大きく押し戻しています。今回のロシア軍行動は、参謀本部が立案したとは思えないほど、キエフ、ハリコフ、オデッサ、マリウポリへ戦力分散し進められ作戦が稚拙、各所で撃退されている。

 ロシアでは3月11日を最後にショイグ国防相が公式の場に姿を現しておらず、健康上の問題か更迭など様々な可能性が指摘されていますが、予想以上にウクライナ軍に対しロシア軍は苦戦し損害が増大している為、強固なキエフやハリコフとオデッサ攻略を断念し、東部地域に戦力を集中するよう切り替えたのかもしれません。しかし、ここで新たな問題が。

 撤退の訓練は行っているのだろうか。素朴な疑問です、撤退というものは単に兵力を曳きますと追撃を受けます、撤退計画と訓練を無に単純に戦線を離脱して後退を始めた場合は攻撃に対して無防備となっている状況に他なりませんので、撤退がそのまま潰走となってしまいます。この為に、先ず撤退に際しては全部隊の一割程度を殿に置く必要がある。

 殿は自殺任務にならない様に収容部隊として一定時間の防衛線維持の後に素早く後退する事が求められ、遺棄する重装備の破壊計画や鹵獲されないよう物資などの処分、撤退部隊の迅速な集結に収容部隊との離隔が大きくならないように調整、そして殿部隊が持久する時間と撤退に必要な時間を勘案してと、加えていわば攻撃作戦以上に撤退作戦は難しい。

 撤退が失敗し潰走となった場合は、この可能性を危惧する背景には今回ロシア軍のウクライナ侵攻は複数の軍事目標に中途半端な部隊を展開させ、緊要地形など無視し都市攻撃を行い失敗した場合は迂回するという手法を用いている為、戦線の縮小が簡単ではありません、そもそも撤退とは防衛線を一つ引くものなのですが、今回の作戦変更は距離が大きい。

 ルガンスクなど東部二州へ戦力を集中するといいますが、東部要衝ハリコフを迂回してキエフに向かった部隊などは400kmも移動していますので補給線が伸びきっていますし、中途半端に幹線道路沿いに進撃した為、ウクライナ軍歩兵部隊が幹線道路沿いを徒歩機動し、常に叩ける位置に展開している、歩兵はあらゆる地形と気象を克服する特性を活かして。

 ロシア軍の損害が増大している背景には無計画な戦線の拡大により幹線道路沿いに無人機と砲兵、歩兵と対戦車ミサイル、分散した戦車部隊が諸兵科連合を組んで臨機応変に集合分散し攻撃してウクライナ軍は戦果を挙げている、すると撤退計画を立案するよりは、現状、損害が増大しているので政治主導で戦線縮小を一方的に決めている様にも思えます。

 停戦が成立して撤退するならば、ウクライナ軍は追撃などを行わないのでしょうが、今回の撤退は単純に兵力不足をロシア軍が悟って東部二州に兵力を集中させるための転進なのですから、ウクライナ軍としては撤退中のロシア軍を叩かなければ東部二州がロシア軍の攻撃に曝されます、すると手元に対戦車火力がある現状で追撃しない理由はありません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影特報】トンガ派遣準備進む小牧基地.C-130H輸送機とKC-767空中給油輸送機(2022-02-14)

2022-03-26 20:16:44 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■U-680A飛行点検機飛来
 U-680A飛行点検機,接近してくる航空機の正体がこの機体である事を判別できた際は気分が高揚しました。

 U-680A飛行点検機。実は初めて撮影する機会となる、航法装置が作動しているかを点検するための航空機で、YS-11とU-125が運用されていましたが、残念なことに2016年にU-125墜落事故が発生、これを契機に導入された後継機です。今年撮影の新装備ですね。

 COVID-19感染拡大は2020年初頭からですが、このU-680Aが自衛隊へ納入されたのは2020年3月21日から、3機が108億円で調達され先ず2020年に2機が納入、残る1機は2021年に納入され入間基地の飛行点検隊に配備、セスナサイテーションシリーズのひとつ。

 自衛隊関連行事が総崩れとなっています昨今に、北大路機関では過去の行事写真から日曜特集を掲載し、また舞鶴基地と岐阜基地、2021年からは小牧基地と横須賀基地を加えて僅かに新しい写真を掲載する以外は、京都幕間旅情と防衛情報で凌いでいる構図があります。

 しかし、こうした中で毎年困るのが、“自衛隊最新装備”という年末の記事なのです。このU-680A飛行点検機についても、2022年でも比較的早い時期にいわゆる“はつもの”を撮影する事が出来ましたので、まずはホッと一安心、というところが実態だったりします。

 F-35戦闘機、小牧基地に隣接して三菱重工小牧南工場がありまして、ここではF-15戦闘機やF-2戦闘機の、かつては製造で今は定期整備が行われ、そしてF-35戦闘機の最終組立が行われています、小牧基地を撮影していますと、時にその発着に出会う事も出来るという。

 U-125救難機とU-680A飛行点検機が並ぶ、御承知の通りこのU-680A飛行点検機の前任として飛行点検機に当っていたのはU-125飛行点検機となっていまして、基本的にこのU-125と同型、搭載機材が捜索救難用か飛行点検用機材かの違いがあるのみとなっている。

 KC-767空中給油輸送機とC-2輸送機の並びも、中々見れない取り合わせと云えば云い得るもの。搭載しているエンジンは同型でして、個人的にC-2輸送機はもう少し評価されるべきだと考えるのですが、当初量産計画を下方修正し、そして微妙な時代を迎えています。

 C-2輸送機、C-130輸送機よりも大量の装備を長距離に輸送できるのですが、これはC-1輸送機の後継として配備されていますので、12機でC-1輸送機飛行隊は編成されていたのを、C-2は大量に運べるので飛行隊は8機で良い、と転換し製造規模が縮小されていますが。

 輸送機はどれだけ優れていても同じ機体は複数の方面へ分離して飛行する事は出来ませんし、業務輸送以外の即応機を確保する際に1機確保するには8機の内の重整備と定期整備と業務輸送と訓練飛行を差し引いた場合、12機の飛行隊と8機の飛行隊では意味がちがう。

 C-130輸送機と同程度の搭載能力で開発していれば、12機の飛行隊となっていたのかもしれませんが、それならばC-130を買えという圧力が来ます。実際、同じ選択肢を採ったブラジルのエンブラエル社はKC-390輸送機の生産数を大幅削減させているのですから、ね。

 北大路機関は防衛安全保障を主な記事として採用しているのですけれども、その為には現場の雰囲気を極力触れておく必要があります、この為にもこうした風景を撮影するというものは意味があるのだろうなあ、と思うところです。昨今ガソリン代が痛いものですが。

 小牧基地撮影、さてさて、コロナ時代が続く中ではCOVID-19感染対策を意識せざるを得ません、この際に小牧と云いますと県営名古屋空港が撮影適地として知られているのですが、隣接している公園からですと案外と風通し良く撮影でき、なかなかに快適でしたね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【榛名備防録】バルバロッサ作戦-三個軍集団208個師団420万名動員,2022年ロシア軍ウクライナ侵攻停滞背景

2022-03-26 14:10:02 | 国際・政治
■歴史の中のバルバロッサ作戦
 賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶ、有名な言葉が在るのですが多くの場合は歴史を学んだつもりが視野狭窄に陥っている事が多いのでしょうか。

 バルバロッサ作戦。今も続くロシア軍のウクライナ侵攻によるウクライナ戦争ですが、ロシア軍は過去の戦訓をあまり研究せずに作戦立案したのではないか、こう危惧するところです。こういいますのもウクライナの国土は広大であり、この全土を制圧するにはBTG大隊戦闘群を70個や90個集めたとしても、難しく、過去のドイツでさえ達成できていない。

 1941年6月22日、ドイツ軍はソ連へ侵攻するバルバロッサ作戦を発動しましたが、大軍を動員する典型的な19世紀型の戦闘を機械化して展開したものでしたが、今回のロシア軍が動員した17万名という規模とは比較にならない大規模な戦力を動員しています。このバルバロッサ作戦に際して、ドイツ軍は実に208個師団420万名を動員しているのですね。

 208個師団の内訳は、21個装甲師団と14個自動車化師団に163個歩兵師団と更に1個騎兵師団、戦車3500両と航空機3900機という文字通り桁違いの戦力でソ連へ侵攻しています。この大軍は三つの軍集団に分かれ、一つはレニングラード、いまのサンクトペテルブルクに。一つは主目標の首都モスクワへ、そしてもう一つはキエフを経てセバストポリへ。

 北方軍集団はフォンレープ元帥隷下ソ連占領下にあるポーランドのリガを経てバルト諸国を蹂躙しレニングラードへ。主力はフォンボックス元帥が指揮する中央軍集団でモスクワを。またフォンルントシュテット元帥が指揮する南方軍集団でキエフを経て軍港セバストポリを攻略すると共に連動してハリコフとスターリングラード。クルスクなどを目指す。

 今回のロシア軍ウクライナ侵攻に際してロシア軍が無視したのは、バルバロッサ作戦が208個師団420万名を動員しているのですが、防衛に当るソ連赤軍の兵力は280万であった点で、しかも奇襲攻撃により圧倒的な空軍力が文字通り一つ一つのソ連空軍基地を無力化させたうえで奇襲攻撃を加えたのですが、結果としてドイツはモスクワを制圧できていない。

 バルバロッサ作戦は演習名目での兵力集結、勿論この種の軍事演習が軍事侵攻に転用される事はままあるのですが最後までソ連への欺瞞工作が成功し、奇襲攻撃を成立させたものの、それでも到達できなかった第二次世界大戦、いやその戦訓をロシアはソ連の軍事科学と戦史研究を継承しているのだから理解しているはずなのですが、今回の侵攻はどうか。

 ロシア軍17万に対してウクライナ軍は22万まで拡大しています、そして更に動員が可能であったとともに、今回のロシア軍侵攻は事前にアメリカ政府により、ロシア軍のウクライナ侵攻蓋然性が高まっているとの事前警告があり、陣地構築や兵力分散という時間的余裕がありました、ここで侵攻するのだからロシア軍は画期的な戦術でもなければ勝てない。

 バルバロッサ作戦も、上記の通りフォンレープ元帥隷下北方軍集団とフォンボックス元帥が指揮する中央軍集団とフォンルントシュテット元帥が指揮する南方軍集団と兵力を分散させ、家局モスクワを攻略するまでに時間がかかる事を認識し、石油資源獲得を首都攻略に優先するとして主目標を南方軍集団に切替えるという、政治主導の作戦を行っている。

 ロシア軍はウクライナ東部二州の親ロシア系住民居留地域を占領するのか、首都キエフを攻略してウクライナ政府を崩壊させるのか、黒海沿岸地域を占領するのか、ハリコフを占領してドニエプル川に沿ってウクライナ東部を占領するのか、何をしたいのかわからない施策を採って、開戦一ヶ月を経てこの二週間は動けていません、過去の歴史を学んでいないのです。

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ウクライナ軍反撃-ベルジャンスクで揚陸艦オルスク撃沈!黒海艦隊戦慄-弾道ミサイルによる撃沈は史上初

2022-03-26 07:01:58 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍のウクライナ侵攻部隊がここ二週間大きな動き無く停滞しているのは報道されている通りですが、ウクライナ軍が反撃に転じました。

 ウクライナ軍が反撃に転じています。首都キエフ北方に迫ったロシア軍は撃退され、30km圧し戻されました。しかし驚かされたのはロシアの揚陸艦が撃沈された事でしょう、この規模の大型艦が戦闘により喪失するのは、1987年のイランイラク戦争におけるアメリカ海軍が展開したプレイングマンティス作戦でのイランフリゲイトジュージャン撃沈以来です。

 オルスク撃沈、ロシア海軍のアリゲーター級戦車揚陸艦オルスクは、艦首に揚陸扉を配置する第二次大戦型の戦車揚陸艦ですが、黒海艦隊に7隻配備されている揚陸艦の1隻で、24日にウクライナ南部のベルジャンスクに揚陸中、ウクライナ軍の短距離弾道弾が命中し火災の末に撃沈されました。なおこの上陸作戦では少なくとも3隻が参加していたもよう。

 アリゲーター級戦車揚陸艦は満載排水量4000tと海上自衛隊がかつて運用していた輸送艦みうら型に相当する揚陸艦で、クリミア半島のロシア海軍セバストポリ基地から部隊を輸送していましたが、港湾施設に直接揚陸していたところを短距離弾道弾が命中し撃沈、並んで停泊していた2隻は退避していますが内1隻も火災を発生させていたのが確認できる。

 弾道ミサイルによる艦船撃沈は史上初です。本来は弾道ミサイルに感染を撃沈する程の精度はありません、何故可能だったのでしょうか。背景にはロシア海軍の戦意高揚の為の拙い情報管理が在りました、ベルジャンスクに上陸している様子をロシア海軍が戦意高揚の為にWeb上で公開しまして、毎日続々とこの埠頭から増援が来ている、と発表しました。

 ベルジャンスクの埠頭はウクライナが管理していますし、なにより市街地を完全に制圧した訳ではありませんので大まかな停泊位置は暴露している状況です、そしてアリゲーター級戦車揚陸艦が並んで接岸している情報を元に、短距離弾道ミサイルを発射したのですね。当る精度は無くとも目標が並んで停泊しているならば、と発射して幸いに命中した構図だ。

 黒海艦隊には旗艦にスラヴァ級ミサイル巡洋艦モスクワが配備されていまして、ロシア海軍では比較的新しいアドミラルグリゴロヴィチ級フリゲイトも3隻配備されています、これはインド海軍のタルワー級を元にしたものでS-300系統の艦隊防空ミサイルが搭載されているのですが、ウクライナ軍のミサイル攻撃を予測していなかったのかもしれません。

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令和三年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.03.26-2022.03.27)

2022-03-25 20:22:53 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 年度末です、次回からは令和四年度であり“令和三年度三月期-陸海空自衛隊主要行事実施詳報”は今回まで隣次回は令和四年度の行事を紹介します。

 自衛隊関連行事はじょじょに募集対象者への限定公開や部内行事への招待客から始まり、そして部分的ではありますが、事前感染対策文書提示方式の一般公開へと、もう少し完全な一般公開へは時間がかかるのですけれども、日常の回帰が見えてきました。ただ、此処で焦りますと韓国のような感染者世界一という大失敗が待っていますので気が抜けません。

 自衛隊関連行事を紹介したいところですが、先ず行事よりもWeblog北大路機関の背景が新しくなりました点にお気づきの方は多いでしょう、3月21日に新しい背景レイアウトへ変更しました。前のレイアウトは“テクノカテゴリ-ブルー”というものでして、Weblog北大路機関がOCNブログからGOOブログへ移設した際に設定した新しいレイアウトです。

 GOOブログ移設は2014年11月24日ですので、もう2010年代から続く伝統のレイアウトとなっていたのですが、このたび変更しました。この点について少し説明しましょう。実はこの“テクノカテゴリ-ブルー”は前のWeblog北大路機関デザイン、つまり2005年7月29日からのデザインと共通点が在った為なのですが、旧デザインとなってしまいました。

 3月22日までに変更を。GOOブログが三月中旬にいきなり、利用しているレイアウトは使用でき無くなる為に新しいものに切り替える様に、こう通知が来ましたのでなんとかしなければならないのですが、困ったのは記事タイトルの文字数や写真一枚当たりの文字数等は全て従来のレイアウトを前提としていますので簡単に変えると昔の記事が崩れます。

 Weblog北大路機関、新しいデザインは、提示されたものは提供される夜景や青空や夕陽の写真が多いのですが、困ったのはWeblog北大路機関に掲載する写真はWeblog北大路機関の著作物という内部規約、この内部規約でSu-27戦闘機の話題をライバルのF-15戦闘機、フランス空母の話題なのに隣国のイギリス空母を使う、この内部規約に引っかかる問題が。

 写真についても従来よりも大きく表示されるものは、写真の見栄えが良くなるのですが2005年の草創期の記事も閲覧できますので、あのころの写真は兎に角小さかった、インターネット回線が今の4G回線や5G回線ではなくPHS回線。128kbpsで掲載できる水準の写真を用いていましたので画像が小さく、記事が崩れてしまう、故にここで苦労しました。

 Weblog北大路機関の従来デザインを維持でき、しかし写真の大きさなどで過去の写真と整合性を持てるデザイン、その上で第三者の撮影した写真画像データを用いないデザインはなにか。もちろんポップすぎるデザインは記事内容と整合性が保てませんのでこの当たりの留意も必要です、比較的自由度の高いツイッターの第52北大路機関の方が余程楽です。

 新しいデザインは木陰。木陰というタイトルのデザインレイアウトを採用することとなりまして、“暫定的に"木かげ"を設定してみました,防衛安全保障という厳しい世界を眺める木陰を提供できれば幸いです”という視点で決定しました。このデザインでは、写真が従来よりも大きく表示され、逆に文字が同じ文字数でも行数が減りましたが、整合性はとれた。

 2022年3月21日からWeblog北大路機関は新しいレイアウトとなりましたが、こうした背景があるものでした。写真特集の写真一枚当たりの文字数はword標準テンプレートで三行分、通常記事で四行分となっていまして、概算では写真一枚当たりにツイッターのツイート一回分程度を目安に表示しています。この他についてはレイアウトの変更はありません。

 北大路機関閲覧はスマートフォンなど縦長の画面でご覧になる方とPCの横長の画面にてご覧になる方では前者の方が多くなっているということでして、写真と文章を上手く表示できていれば幸いです。さて、このデザインはどの程度続くのかは発表されていないところですが、今後ともWeblog北大路機関新デザインテンプレートの表示をどうぞよろしく。

 こうした点とともに、さていよいよ年度末というところ。北大路機関広報は今年も行事予定特になし、というところですが冒頭に記しました通り行事再開の見通しも立ってきました。しかしその上で留意したいのは、第七波を最小限に抑える必要性です。実際第五波から間を置きましたが第六波が過去最大の感染者数を出しています、ただ回避の方法はある。

 油断大敵。実際のところ此処に尽きるのだろうなあと云うのはCOVID-19に関する点です、菅総理が昨年九月に事実上感染を抑え込んだ際には、根拠はないものの快哉を叫びたくなるほどの劇的な感染者減少で、なにしろもともとコロナウィルスは乾燥した冬季に流行する季節性感染症ですので、これで少なくとも冬までは逃げ切った、そう思ったものなのだ。

 第六波、オミクロン株が新しく確認されると、これも12月初旬に報告されましたので冬の到来を実感したものだ、重症化率の低さを注目するいっぽいうで感染力の異常な高さも警戒すべき点で、これは重症化率がデルタ株の三分の一だが感染力がデルタ株の何倍なのかで医療崩壊の原因になるぞと危惧していまして、日本は危ない綱渡りを行う事になります。

 オミクロン株は、油断大敵という実感が韓国での感染拡大で、日本よりも遥かに人口の少ない韓国が毎日30万の新規感染者数を出し、ロイター通信が示す世界感染者情報では第一位の最悪の感染拡大を動かず、死者数も毎日300名と320名と平均値が徐々に高まってゆきます、油断すると怖いものだ、K防疫を世界の誇った韓国が、こう背筋が寒くなります。

 さてさて、自衛隊関連行事、必ず復興します。ただ、まん延防止等重点措置が全て解除されましたが、これを第七波の入り口としないようにするにはどうするのかを考えなければなりません。“行事予定は特になし”こう書き続けている所ではありますが過去にも行事が情勢悪化の煽りを受ける事はありました、その期間の多寡なのです、もう少し、頑張りましょう。今回の掲載写真は懐かしい駒門駐屯地祭を掲載しました。


■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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北朝鮮ICBM大陸間弾道ミサイル発射試験!24日1433時発射ー71分飛翔し北海道西方沖150km日本海に落下

2022-03-25 07:01:24 | 防衛・安全保障
■米本土東海岸狙うICBM
 北朝鮮は日本時間24日午後、西部の平壌近郊から弾道ミサイルを日本海に向け発射しました。このミサイルは緊急発進した航空自衛隊のF-15戦闘機により上昇中の様子が撮影されました。

 ICBM大陸間弾道弾か。北朝鮮の弾道ミサイルの発射は日常的に行われるものとなっていますが、今回のミサイル発射はロイター速報が1450時というものでしたが、飛翔中というものであり落下時間まで相当時間がある速報となっていました。こうした飛翔時間の長い弾道飛行はロフテッド軌道、長射程ミサイルの実験を狭い区域で行う際に採る方式です。

 1535時頃に落下の見込み。NHK報道はミサイルが落下する前に落下予測時間が報道された訳ですが、第一報からも一時間以上を経ており、また防衛省からの発表が即座に行われた背景には、飛翔高度が高く日本本土のミサイル監視網でもいち早く検知された事を意味します。防衛省によればミサイル発射は1433時頃といいますので、そこからも時間が長い。

 北海道沖150kmの日本海に落下したとされ、ミサイル落下による船舶被害等は確認されていませんが、注目すべきは71分という数字です。今回のミサイル飛翔時間は過去最大となる71分であり、新型弾道ミサイルである事が判明しています、飛翔時間から算出した場合、射程は1万kmを優に超え1万5000km規模の大陸間弾道ミサイルであると推察されます。

 大陸間弾道弾。射程1万kmを超える時点でアメリカ西海岸のサンディエゴやロスアンゼルスにサンフランシスコといった主要都市を目標とできるものですあ、1万5000kmに達するという事は、東海岸のニューヨークや首都ワシントンDCなどを射程圏内に捉えた事となります。また射程からは欧州のロンドンやパリといった主要都市も射程に捉えている。

 6000kmの上昇高度まで到達し落下回帰までは1100km飛翔したものと考えられる。日本への影響というものを考えますと、もちろん仮に対日使用した場合は、ロフテッド軌道を用いた場合はスタンダードSM-3迎撃ミサイルの上昇限度以上を飛翔していますし、落下速度が高くなりますのでPAC-3による迎撃も難しくなりますが、過剰な性能といえます。

 アメリカ本土を狙うものだというならば、日本にとって脅威は無いのか。こう考える事も出来るのですが、北朝鮮は核保有国として次の行動に進む際にアメリカの関与、その多寡というものは大きな要素となるのかもしれません、それは南北統一がアメリカの好ましくない方式により進められた際、アメリカが関与するか否かという視点は事態を左右します。

 アメリカの好ましくない方式と云うのは、北朝鮮軍が軍事力により勧告を武力統一しようとする点でして、過去の可能性として開戦時に大量破壊兵器を使用しない限り韓国軍の現在の水準は朝鮮戦争時代に短期間でソウル失陥に陥った時代とは比較できない程に現代化されいるとの視点がありましたが、ロシアのウクライナ侵攻を見ますと前提条件が揺らぐ。

 一方で、北朝鮮が武力統一を考えず、核兵器を保有したまま南北統一を考える場合でも、核兵器を捨てられないという現実があります、それはやはりここでもウクライナ侵攻を北朝鮮が見ている為です。ロシアが世界を戦略核で脅しウクライナを戦術核で脅している事ばかりが注目されていますが、核兵器については1990年代のソ連崩壊をも見るべきです。

 アメリカは、しかし今後原則論として北朝鮮の核武装解除を進める事でしょう、しかし北朝鮮としては逆にウクライナ侵攻の現実を見ている訳ですので、ウクライナはソ連から継承した1000発以上の水爆をロシアに早々と移管した為に現状がある、核兵器を捨てたウクライナが二十五年後にロシアに侵略されている、核を捨てれば国が亡ぶ、こう見る筈です。

 北朝鮮としては原則論として核兵器を捨てられない、核兵器を廃棄したウクライナの現状を見ている訳ですのでこの不変の原則があるものの、その核兵器がアメリカを動かす事が出来なければアメリカとの交渉という、次に進む上で避けられない原則論ともぶつかりますので、今後も核兵器をアメリカ本土に到達可能な水準を強化することは不可避でしょう。

 日本としては難しい選択肢です。先ず、北朝鮮の核兵器放棄を求める姿勢は堅持せざるを得ません、しかし、その上で北朝鮮との今後の国際関係をどう展開するのか。例えば、韓国と北朝鮮の国際関係が接近に動いた場合の経済制裁継続の可否を含め、核兵器放棄を求めつつ現状維持を受忍し前進を模索するか、より厳しい制裁を期すのか、ということです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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開戦一ヶ月!ロシア軍ウクライナ侵攻,無差別砲撃と長期前進停滞-ロシア軍BTG大隊戦術群その編成上の欠陥

2022-03-24 20:12:54 | 国際・政治
■ウクライナ軍奮戦一ヶ月!
 ロシア軍のウクライナ侵攻は本日開戦一ヶ月を迎えましたが当初二日で国家崩壊すると危惧されたウクライナ軍は驚くべき粘りを見せておりここ48時間で反撃に転じている。

 ゼレンスキー大統領による我が国国会での演説がオンライン方式により行われた昨夜と前後して、ウクライナ軍は過去48時間で首都キエフ北方において反撃に転じ、キエフ中心部15kmまで到達していたロシア軍を40km以遠まで押し戻したとしています。ロシア軍は後退しており、少なくともキエフ北方から最短距離を攻めるロシア軍を押し戻した構図です。

 ロシア軍は東部ハリコフを攻撃していた最精鋭部隊とされる、第1親衛戦車軍がハリコフ攻撃を中断しキエフに向かっていると報じられたのが三週間前ですが、こちらもキエフ外縁部に近づきつつあるとはいえ、動向が不明であり、ロシア軍で最も燃料消費量の多い部隊が400kmの迂回を行った事で燃料不足に陥っている可能性が近い実情があるのです。

 ウクライナ軍は指揮系統が高度にC4I化されており、集合と分散、目標の選定と攻撃までの即時攻撃能力を強化しており、対してロシア軍は19世紀型や日露戦争時代のような攻撃計画で、とにかく前へ、それ以外の指揮系統が不明瞭なまま前進している状況で、いわば兵器だけ新しい前時代の軍隊が21世紀型の、洗練された軍隊に各個撃破される構図です。
■一歩間違えれば北海道
 この現状を中々対岸の火事と視る事が出来ないのも正直な持論です。

 一歩間違えればキエフの惨禍は東京や札幌の現状であった可能性があり日本にとり対岸の火事ではない。こう考えるのは、正戦論、この表現さえ19世紀的なものなのですが軍事侵攻を正当化するには相応の理由が有る筈であり、有りもしない化学兵器による住民虐殺や核開発による核攻撃疑惑を、例えば国連やIAEAの査察さえ通さず陰謀を立てるとは、と。

 一歩間違えれば、というのは。ロシアが“北海道でロシア系住民が日本政府により虐待され化学兵器で虐殺されている”“日本が極秘裏に核兵器を開発してロシアを全面攻撃しようとしている”“日本がNATOに加盟してロシアを挟み撃ちにする準備を進めている”“日本はネオナチを全国民が支持している”主張し反論を聞かず攻撃を始める懸念があるのです。

 一歩間違えれば、こういうのはロシア当局も真面目にロシア系ユダヤ人のゼレンスキー大統領をナチスと考えないでしょうし、ナチスにユダヤ人は入れません。核兵器に至ってはロシアは過去国連やIAEAを通じた査察も行っておらず先月まで可能性さえ考えていなかった事が分ります。一歩間違えれば、こう考える故に、対岸の火事とは思えないのですね。
■ロシア軍苦戦の背景にBTG
 ロシア軍がここまで停滞している背景は果たしてどういったものなのでしょうか。

 ロシア軍BTG大隊戦闘群、ウクライナ侵攻に際して大量に投入されているが現状は観ての通りとなっていまして、これはわたし自身の反省も含めて様々な視点で過大評価があったと痛感します、様々な視点と云うのはロシア側も投入した戦場と想定した戦場の乖離、また部隊訓練評価と装備や人員水準、そして政策決定者のBTGへの過大評価を示します。

 BTG大隊戦闘群は600名から800名規模、戦車中隊と歩兵中隊を複数、そして砲兵大隊を隷下に置き、砲兵大隊と別に全般支援火力であるロケット砲兵を置くという。この上で防空砲兵や工兵を編成に含む非常に高い火力を発揮する部隊ですが、歩兵はこの内200名程度であるとのことで、歩兵よりも火力を重視し、砲兵大隊戦闘群と揶揄されそうな編成だ。

 戦闘部隊として歩兵が少ない印象がありますが、これは下車戦闘の人員規模であり、BMP-2かBMP-3装甲戦闘車31両を装備、更にBTG大隊戦闘群は偵察中隊を有し、これら部隊は通信中隊と電子戦部隊が全般支援する編成です。偵察中隊が目標を先鋒部隊として把握しながらBTG大隊戦闘群は前進軸を進むため、歩兵は最後の瞬間、という事なのでしょう。
■ソ連時代の自動車化狙撃連隊と比べ
 ロシア軍の編成は歩兵が少なすぎるのですが打撃力に特化する懸念というものはソ連時代であれば冒さなかった失敗であるように思う。

 自動車化狙撃連隊、ソ連時代の作戦基本単位は機械化歩兵部隊と戦車部隊とを組み合わせた連隊編成であり、冷戦時代の陸上自衛隊もこの自動車化狙撃連隊をかなり意識した上で想定し戦術体系を構築していました。しかし、ソ連時代の攻撃前進第一とする作戦ドクトリンに依拠すれば、連隊編成ではなく歩兵を大隊規模としても対応できると認識がかわる。

 BMP-3装甲戦闘車等を見ますと分かる通り攻撃前進第一となっていまして、下車戦闘によるマニューバの停滞などは忌避すべき思想の表れと云えましょう。また、これはBTR-80部隊がソ連末期、アフガニスタン侵攻に際して山間部対ゲリラ戦を展開する際、連隊では少人数ゲリラに対し所掌が難しく、結果的に重戦力軽戦力が部隊小型化の必要を痛感した。

 BTG大隊戦闘群というものはこうした認識の上で自動車化狙撃連隊を大型過ぎる無駄の典型として、しかし火力と戦車は重要だ、こうした意図する背景は別々でありながら各々の指揮官が最適化された回答として、コンパクト化する、そして減らすのは歩兵部隊、加えるならば大袈裟な連隊長ではなく若々しい大隊長を指揮官に充てる、帰結として生まれた。

 ソ連時代とロシア時代の違いは、特にソ連では国防省の独自性が担保されており、前任のセルジュコフ国防相の現場に依拠しない国防改革には意見を示せました。実際、自動車化狙撃連隊はアフガニスタンにてコンパクト化される前線の応急編成が採られていましたが、NATO正面での部隊コンパクト化は当時のオルガコフ参謀総長の反対で実現していない。
■政治軍関係,共産党時代とプーチン時代
 上記視点から砲兵部隊に対して歩兵部隊が少なすぎるという問題点が見えますが、ここにソ連時代とプーチン時代のロシアの政治と軍事の関係の特異性が透けてみます。

 ショイグ国防相、現在の国防相時代に入りますと変革を加速させますが、セルジュコフ国防相時代のロシア陸軍コンパクト化により、一時は千島列島の機関銃師団を例外として、全ての師団を旅団化しました、これは人件費削減といいますか、ロシア軍財政事情に合せたコンパクト化としたのですが、これにより大量の幕僚が軍を去り、この状況は継続した。

 大隊と連隊は人数が異なる、こう指摘されればその通りなのですが、加えて大隊本部と連隊本部では幕僚規模が異なります、人数としては連隊本部幕僚でも諸兵科連合部隊を指揮するには限界があるのかもしれません、NATOは大隊を作戦基本単位としていますが、これはあくまで旅団隷下に置くためで、大隊本部は旅団司令部の手厚い支援下で戦っている。

 ロシア軍では高い火力を有するBTG大隊戦闘群は、旅団から独立して単体の運用が可能という編成であり、実際今回のウクライナ侵攻に際しても75個BTG大隊戦闘群が集結とか、90個BTG大隊戦闘群に増えた、というように兵力が1BTGや20BTGという単位の様に扱われていたのはご記憶の通り。しかし、ここで編成由来の大きな問題が発生してきます。
■大隊長に70km先の戦場を強いる
 BTGのもう一つの問題は指揮官が大隊長であり大隊本部の僅かな幕僚しかいませんが長射程の火砲を付与する事で大量の情報を処理せねばならないというものです。

 IT革命、この響きは日本での森内閣時代に進められたもので、漸く判子主義が終わりつつも紙文化が残る状況です。そしてロシアのIT状況を見ますと特にロシア軍ではさらに遅れており、大隊幕僚は歩兵の砲兵の戦車の、近接戦闘か対砲兵戦か敵戦車との遭遇か戦闘ではなく兵站か車両の故障、こうした情報を包括処理し管理し命令を出さなければならない。

 業務過多に陥っているのではないか、BCT大隊戦闘群のウクライナでの現状は、そもそも指揮官は戦闘と共に独立運用を想定しているのですから車両整備や弾薬燃料と糧食の補給に負傷者後送を行った上で戦闘指揮を執らねばなりません。そしてもう一つ、編成を見ますと強力な火力を有していますが、この強力な火力が足かせになっているようにも思える。

 ロシア軍はソ連時代の砲兵重視を継承しているのでしょうか、大隊戦闘群とは言っても歩兵大隊と戦車中隊という近接戦闘部隊を支援するのに、砲兵大隊とロケット砲兵中隊という同数の火力戦闘部隊を含んでいます、そしてロシアの火砲の性能は高く、これは一見して利点と解釈されがちですが、性能が高いという事は射程が長い事を示し、標的は遠い。

 2S35SVコリツィア自走榴弾砲の最大射程は70km、京都市から神戸市まで到達する物凄い性能ですが、こんなものをBTG大隊戦闘群は装備しています。勿論2S35SVは新型ですので今回投入されている部隊の自走榴弾砲には2S19ムスタ自走榴弾砲も多数あります、これも旧型ではありますが射程は40kmに迫り、京都市から大阪市を狙える射程となっている。

 砲兵大隊にロケット砲兵中隊という編成は、旅団砲兵どころか師団砲兵に匹敵する水準ですが、BTG大隊戦闘群本部は、要するに最新装備を持つ場合は70km先の情報を、旧型でも40km先の情報を、IT化が遅れているという事はかなりアナログな通信手段を把握しなければなりません、そして砲兵は遠くを狙うとしても戦闘は近接戦闘部隊が所掌するもの。
■僅かな損耗で麻痺-少なすぎる歩兵
 この編成のもう一つの問題は砲兵部隊が70km先を狙うのに手元の歩兵部隊は僅かであり一直線に進むほか横の広がり、戦線を形成でき無い問題があります。これは歩兵の代用に偵察部隊を転用するなど更なる無理を生む。

 歩兵大隊とはいうもののBTG大隊戦闘群の歩兵は200名前後、陸上自衛隊の師団普通科連隊一個普通科中隊よりも若干少なく、この長い戦域を担保するには敵中枢制圧等は別として、地域占領や対遊撃戦など、歩兵の数が必要な戦闘は不可能であり、特に多数の歩兵を必要とする市街地戦闘などは、苦戦するというよりも元来は想定外の編成といえましょう。

 アフガニスタンでの戦訓に、偵察部隊は騎兵部隊のように精鋭要員を集めて編成されていることが、偵察部隊ではなく指揮官が信頼する単なる精鋭部隊として活用、いや酷使、こうした状況となりまして大きな損耗を強いられ、偵察部隊は偵察以外に使うべきではないとの戦訓が在りました。しかし今回、偵察部隊は先鋒と前衛を担い損耗を強いられている。

 M-1A2戦車、アメリカ陸軍では湾岸戦争において偵察部隊として確かにM-3騎兵戦闘車を装備していましたが、先鋒に装甲の比較的薄いM-3へ無理を強いる事は無く、M-1A2戦車を先頭に前進しました、C4I性能の優れた戦車は情報優位に資するものですし、M-3は下車歩兵が限られる為に地域占領に参加しない、こうした程度の運用区分で快進撃を支えた。

 ウクライナでのロシア軍運用は、BTG大隊戦闘群の偵察装甲車が先鋒を担っているのでしょうが、小型で軽快な装甲車は言葉を転じれば薄い装甲の車両です、偵察部隊は劇的な損耗に曝されると共に、偵察部隊を専門部隊として編成していますので、この部隊が損耗する事はBCT大隊戦闘群の前進能力を喪失する事と表裏一体という事実を示されています。
■地域紛争用の編成を全面侵攻に
 編成の無理は上記の通りなのですが、これは例えばロシアへ友好的地域に派遣し現地の民兵が足りない歩兵を補う様な想定なのでしょうか、するとロシア軍侵攻をウクライナ国民が歓迎しない時点で現状は不可避といえます。

 BTG大隊戦闘群は、地域紛争への投入を念頭としていたのでしょう。この部隊編成は、ロシア軍がBTG大隊戦闘群を派遣した友好国での作戦で現地の陸軍が歩兵大隊をロシア軍になりない分補填する方式としたならば、つまりシリア内戦介入やカザフスタン騒擾、つまり受入国の軍隊協力という準備が在ってのみ機能する編成であったのかもしれません。

 火力戦闘部隊と近接戦闘部隊が同数と云うのは、この他に島嶼部防衛として砲兵部隊主力の戦闘で砲兵部隊を敵近接戦闘部隊から防衛する運用が向いており、また、師団砲兵並の火力戦闘部隊を隷下に置くならば師団砲兵並の情報収集能力を確保するべきだったともいえましょう。そしてなにより、歩兵が必要な市街地戦闘にはまったく不向きと云える。

 編成として例えば、歩兵が1個大隊ではなく3個大隊あれば充分な攻撃衝力を維持できた可能性があり、例えばBTG大隊戦闘群というならば歩兵大隊に砲兵大隊とロケット砲兵中隊を点ける等せず、2個歩兵大隊に1個砲兵中隊を加える編成ならば、歩兵の迫撃砲と併せ近接戦闘部隊と火力戦闘部隊の均衡を保てたのかもしれません。なぜこうなったのか。

 軍事演習では砲兵隊の大量の火力投射は迫力がありますし、標的は反撃してきませんので政策決定者が自己評価を誤ったのかもしれません。そしてもう一つの可能性として、ロシア軍は真剣にロシア軍がウクライナへ侵攻した瞬間にウクライナ人民がロシア軍を歓迎し、親ロシア派武装勢力が次々とロシア軍に歩兵大隊を供給してくれると信じたのでしょうか。
■市街地差別砲撃を行う背景
 ロシア軍、しかし砲兵重視の編成は脅威です、市街地を無差別砲撃するのですから非戦闘員被害や民生被害は夥しい。

 ウクライナではロシア軍合近接戦闘を避け市街地への遠距離からの砲兵砲撃を加えている、こう表現されるものですが、BTG大隊戦闘群の編成を見るならば近接戦闘を避けているのではなく元々近接戦闘能力を低くしており、充分に砲兵で叩いてからでなければ前進できないのです。するとロシア政府は短期間での勝利を考えたとすれば、編成と矛盾します。

 ロシア軍はどのように転じたとしても最終的に勝利まで継続するのでしょう、問題はこうした問題が顕在化した以上、国軍の再編を進めなければなりません。また想定以上に防御上の問題を抱えていたT-90戦車やT-80戦車の新型戦車への置き換えが必要ですし、BMP-3装甲戦闘車も下車戦闘主体とする必要があり、またなにより通信のC4I強化が必要です。

 変革が必要なロシア軍ですが、このまま戦闘を続けるならばロシアにどのような国力を残す事が出来るのか、最強の経済制裁と呼ばれたSWIFT除名は実行され、続いて世界銀行や国際通貨基金除名の可能性が出ており、ロシアに残る外資系企業は日欧米市民運動に急かされるように撤退し1990年代のロシアへと回帰しつつあります、経済はどう変貌するか。

 経済破綻は、ロシア軍が例えば仮に今日中に突如ウクライナ撤退を実現したとして明日にはSWIFT復帰で来週には経済制裁が終了し来月には外資企業も戻ってきたとしてGDPは13%のマイナス成長になるという。勿論そんな事は有得ませんので、ロシア軍を再建できるような体制まで経済が復旧するには、プーチン大統領時代でもあと30年は必要でしょう。

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ゼレンスキーウクライナ大統領国会演説-これまでの支援に謝意,ロシア大統領府報道官は核兵器実戦使用を示唆

2022-03-24 07:00:24 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍ウクライナ侵攻開始から間もなく一ヶ月ですがウクライナ軍は驚くべき粘り強さと官民一致の抵抗によりロシア軍を押しとどめています。

 ゼレンスキー大統領は23日夕刻、衆参両院議員を前に初のオンライン演説に臨み、ロシアへの経済圧力をアジアで最初に決断した日本政府の決断やウクライナへの支援へ謝意を示したうえで、ロシア軍ウクライナ侵攻に際して機能不随に陥った国連での改革や、ロシア軍による無差別攻撃にて甚大な被害を受けたウクライナの国土復興へ協力を要請しました。

 衆参両院議員を前にした演説では、通訳の難しさはありましたが、チェルノブイリ原発をロシア軍に占領されソ連時代の原発事故から続く長期間にわたる核汚染物質管理体制を阻害されている点、また、ロシア軍によりサリンなど化学兵器の使用が懸念されている現状を説明し、福島第一原発事故や地下鉄サリン事件を知る両院議員の良心に訴えた構図です。

 ゼレンスキー大統領は、日本の平和外交を深い意味から理解しているようで、当初考えられた対戦車ミサイルや防空システムなどの武器援助や三海峡封鎖などを要請する事は無く、ロシアへの経済制裁を更に強化する事を望んだ姿は印象的でした。ただサリン以外の大量破壊兵器について心配な情報がロシア大統領府報道官から示されました、核兵器について。

 ロシア大統領府のぺスコフ報道官はCNNインタヴューに応え、ロシア軍が核兵器を使用する可能性はあるのかとの問いに対し、ロシア軍には核兵器を使用する手順が在り、決定的な敗北が想定される場合には核兵器の使用はあり得ると発言、改めてウクライナ国内での戦闘が核攻撃へ発展する可能性を示しています。実際にはどのような状況が考えられるか。

 戦術核兵器は定義が様々ですが、機甲師団や重要拠点など即応が必要な目標に対しては砲兵隊の短距離ロケット弾などを用い即座に対応する事も可能ですし、イスカンデル弾道ミサイルなど短距離弾道弾に搭載する事も可能、また海軍の大型対艦ミサイルにはHE弾頭以外に核弾頭型があり、政治が使用決断するならば投射手段は難しいものではありません。

 核兵器による威嚇の段階であり、核兵器使用は不可避ではありませんが、例えば核攻撃が行われた場合に各国からのロシア外交官追放や国連除名を含む厳しい措置が無い、つまり核攻撃により戦争を短期間で終わらせられると判断するならば、投射する可能性が否定できません。日本は常識を超える様な制裁措置を含め、考えておくべきなのかもしれません。

 ウクライナ侵攻開始から間もなく一ヶ月、しかしロシア軍の実情は驚くもので、先ず軍直轄部隊の電子戦装備や防空指揮車や砲兵指揮車にレーダーなど、故障は勿論燃料切れとなった車両が破壊されず放置され、毎日のようにあの1976年のミグ25函館亡命事件に匹敵する様な絶対に第三国に渡ってはならない装備がウクライナ軍に鹵獲され続けています。

 戦術核兵器使用については懸念されているのですが、そもそもロシア軍の侵攻部隊指揮系統が全く分からず、なにしろ敵前で60kmも渋滞する程の攻撃軸などの設定は不得手という状況ですので、ウクライナ軍とロシア軍の混交している状況でロシア軍自身を巻き込まずに核攻撃は出来るのか、また核防護装備がお粗末な現状で自軍被害が大きくないか、と。

 ウクライナ侵攻の野戦部隊を統括する総司令官が誰なのか、この時点から不明といわれています。もっともロシア軍は何をやるか分らないという事が、今回のウクライナ侵攻で判明しています、従って20世紀や21世紀の軍事常識では測り兼ねている為に、敢えて自軍を巻き込み使用する懸念さえあるのが不気味なのですが、こうした素朴な疑問があります。

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【京都発幕間旅情】丸岡城(福井)丸岡藩五万石-映画"戦国自衛隊"銀幕の天守閣と丸岡城を巡る歴史たち

2022-03-23 20:22:00 | 旅行記
■丸岡藩五万石の城郭
 歴史は俺たちに何をさせようというのか!、映画戦国自衛隊のポスターに在りました台詞ですが成程丸岡城は銀幕にも出まして歴史に新しい一幕を加えました。

 丸岡の地は戦国時代、織田信長家臣で北陸の虎と畏れられた猛将柴田勝家の養子柴田勝豊の所領でした。そしてこの頃に天守閣は構築されたといい、現存天守閣の中では最古の建築物で、とは長らく称されていたものなのですが。柴田勝家は賤ヶ岳の戦いで敗れる。

 青山宗勝青山忠元父子、太閤秀吉の安土桃山時代にはこの二人が丸岡の地を任されるのですが慶長5年こと西暦1600年、関ヶ原の戦いで西軍側として参戦した事で改易されます。こういう意味では丸岡城の城主は頻繁に変わるのですが、江戸時代には丸岡藩が置かれた。

 徳川家康の家臣で、鬼作左の名で知られた本多重次、その実子本多成重が4万石で入城しました。その後は内紛が在ったり家臣を粛清したり加増があったりなどで本多重能本多重昭と本多重益と続くのですが、本多重益は酒色に溺れて改易で飛ばされてしまうのですね。

 キリシタン大名で有名な有馬晴信、その曾孫にあたる有馬清純が本多重益の追放後、幕府により越後糸魚川藩から5万石で入城します。ただ、このあたりから安定して往きまして、第2代藩主有馬一準は正徳元年こと西暦1711年に外様大名から譜代格へ格上を果たします。

 藩は譜代 5万石となりまして、有馬孝純に有馬允純と有馬誉純に有馬徳純そして有馬温純と有馬道純、歴史を紡ぎ、明治維新を迎えます。一時は越前国南条郡のうち 2村と坂井郡のうち91村とを収めましたが、廃藩置県ののち暫くして福井県と統合、いまにいたります。

 戦国自衛隊、丸岡といいますと戦国自衛隊を思い出します。こう説明しますと1979年の千葉真一主演の角川映画を思い出すかもしれませんが、実は城郭にあまり知識が疎かった頃、丸岡といいますと原作の戦国自衛隊で60式装甲車の操縦士が、丸岡一士だったという。

 60式装甲車は車長が島田三曹といいまして、半村良の原作版とこれを忠実に劇画化した田辺節雄の作品では搭載する12.7mm機銃と相まって印象的な装備として活躍しています。映画版では短い尺で迫力を増させる為に60式装甲車は61式戦車となってしまうのですが。

 伊庭三尉。戦国自衛隊の主人公なのですが、この劇画版では直接に丸岡城は出てきません、しかし、1979年の千葉真一主演の角川映画版には、しっかりと出てくるのですよね。丸岡城ではなく春日山城役での出演というかロケ、よくぞ撮影させてくれた、というほどに。

 S-61ヘリコプター、航空自衛隊で昔救難用に使っていたものと同型機が陸上自衛隊機として出ているのですが、なんと丸岡城の天守閣真横にホバーリングさせてアクション、という出演となります。そんな意味で、映画愛好家の方には知られた城郭といえるのやもです。

 しかし、不思議なのは戦国自衛隊です。彼らは“戦いに明け暮れた戦国時代には最新装備を手にした自衛隊でも生き残る事は出来なかった”という主題なのですが、そもそもあのタイムスリップした自衛隊の連中がソ連軍の北海道侵攻で生き残れたのか、ということ。

 昭和の時代は平和、こう戦国自衛隊ではいっていましたが昭和の自衛隊を知る方というか61式戦車の時代から戦車乗員をやっていた方の話を聞きますと当時の北部方面隊なんかは開戦前夜の緊張が定期的に、という気風だったので、なにか自衛隊観が違うなあ、とね。

 映画“乱”、黒澤明監督の映画を見ますとセットの城郭は階段の位置から、ああこの天守閣のモデルは丸岡城だ、と直ぐに気付くことがありまして、なるほど、このお城は名優でもあったのだなあ、ふとそんな事を思わせるものでした。やはり、城郭巡りは愉しいものだ。

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