死刑より苦しいとされる宮刑を受けてでも、自己実現に賭けた司馬遷の歴史書・史記。その中に、復讐の鬼となった、子胥(ゴシショ)の話がある。
父と兄を無実の罪で殺した、楚の平王に復讐するため、敵国の呉に逃れ、呉の政権に入り込む。16年の歳月をかけ、楚を攻め、既に死んだ平王の墓をあばき、そして子胥は平王の死骸に鞭を打った。
子胥はその後、呉と越の戦争の中、決して幸福な人生を送ったとは思えないが、人間の凄まじい悲しい業を想わずにいられない。
ちょうど、同じ時期に読んでいた、アンデルセン童話の「みにくいあひるの子」。多くのいじめに合いながら、特に仇討など必死の努力をしたわけでないが、自分が白鳥であることに気づき、最後は幸福感の中で終わる。
どちらの名著も多くの人に読まれてきただけあって、一度だけの人生を生き抜く知恵を考えさせられた。
この章では、「愛とゆるし」というテーマで、「生き甲斐の心理学」(植村高雄著)を片手に、悔いのない人生を送るとは何かを考えていきたい。
<総論 1/1>
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