pun2に書いたことが理解できないと真顔で昨夜Oさんに言われたが、これは解説が必要ではないはずである。
片岡さんのエッセイにはもちろんThis is a penは、中学生以来私たちが学校でならって覚えているが英語としては使うことがないフレーズという含意がある。だから、ママさんがI am a girlというのに対応したのがニシ・イズ・ア・ペンとなっているのだ。多分私たちがたとえ女性であっても、アイ・アム・ア・ガールという機会はないと言って差支えがないだろう。
私としてはニシ(Nishi)のなかにsが含まれていることはジィス(this)がsを含んでいることにまで類似性があるとの見解だが、Oさんはこのことに同意はされなかった。いずれにしてもpunは感覚のものであるから、説明をするものではない。
ちなみにこの点の類似性には妻は不満で、それよりは使う機会のまったくありえないフレーズということに説明の中心があるべきだとの意見だった。だが、その意見の食い違いはともかくして、この話のpunの意味は十分に理解できていた。
punではないが、いくつかの外国語に関する小噺を書いておこう。これらはすべて皆さんがどこかで一度は聞いた話であろう。
ある日本人がアメリカ人に言った。「ねぇ、あなたマイカーもっている(Say, you have my car ?)」アメリカ人は言う。「いや、マイカーはもっていないよ(No, I don't have your car.)」
この日本語の方を見てもおかしいことはないが、英語の方を見るとおかしいことがわかる。この日本人はマイカーというのをa carのつもりで使っているが、アメリカ人はなんで私がお前の車をもっているんだとすれ違っている。そこがおかしい。
これは英語を習い始めたころに塾の英語の老齢の先生が憤慨に堪えないという感で話してくれた実話である。
あるときこの先生がある塾生にitの複数はと聞いたら、この塾生ためらわずにitsですと答えてこの英語の先生を絶句させた。itの複数はtheyでitsはitの所有格であるが、英語では複数は名詞にsをつけるとその直前にならっていたこの生徒はこの原則を代名詞にまで勝手に拡張してしまった。
こういうおもしろい小噺は誰がつくったのか知らないが、よくできたのがある。これは中西先生が挙げていた朝永ネタとも言われているものであるが、多分ネタは朝永さんではないであろう。
ロンドンからバーミンガムに行こうとした日本人、駅の窓口で「ツゥ バーミンガム」と言ったら2枚の切符が出てきた。あわてたこの日本人「フォーバーミンガム」と言い直したら、4枚の切符が出てきた。ますますあわてた彼は「エーと、エーと」と言ったら、8枚の切符が出てきたとか。
これは実話であり得ないと思うが、それにしても日本人の発音とか習性とかをよく表していて面白い。またそういう小噺をつくる人はなかなかユモーアに富んだ頭のいい人だと思う。
こんな話を妻にしたら、よく言われる小噺を思い出させてくれた。「ありがとう」を覚えにくかった、あるアメリカ人はalligatorと覚えていたが、そちらの方を忘れてoh, crocodileと言ったとかいうではないのと。
これもおそらくはアメリカ人とかイギリス人の創作ではなく、多分日本人の創作であろう。
夏目漱石がI love youを日本では「月がきれいですね」と訳すべきだと東京帝国大学の講義でいったとか昨夜テレビでちらっとみた。これについても思うことを書きたいが、それは明日以降にとっておこう。