現在の私の関心事は3つある。
一つはこのブログでも前から言っている逆格子ベクトルであり、もう一つはラメの定数の導出であり、最後の一つは四元数(クォータニオン)である。
そのいずれもそんなに簡単なことではない。そのテーマに付随した予備知識が必要という意味で簡単でないのである。
前の二つはそれらについてのエッセイを書きたいと用意しているのだが、なかなか取り掛かれない。逆格子については一部をすでに書いているが。
逆格子についていえば、逆格子に至るまでに結晶の幾何学の知識がないと逆格子のことを述べられない。
それをできるだけ少ない知識に限って逆格子ベクトルをどのように書くか。それが問題である。また、逆格子ベクトルがどうして重要であるかの意義がまだ十分には説明できない。
X線や電子線あるいは中性子の回折を専門にしている人なら、この逆格子が実際に実験をするときに重要な役割をすることを知っておられるのだが。
私の友人に中性子回折を専門にする物理学者がおり、いつかこの人のセミナーに出たら、学生に逆格子の意義を説明されていた。
ラメの定数は弾性体の応力とひずみに関係した事柄だが、応力とひずみについての一通りの知識をどこまで絞れるかという難しいことがある。これらを知っているならば、ラメの定数の導出について書くことはそれほど難しいことではない。
最後の四元数であるが、これは最近のCG(コンピュータ・グラフィックス)とかNC(ニュメリック・コントーロル)という自動制御機械との関係から、物体とか図の運動の知識が必要となっているからである。
それまで四元数はベクトル解析の後ろにある概念として考えられていて、もう勉強する必要のない古臭いテーマであり、そういうテーマには特別な数学者とかを除いて一般に関心がもたれなかった。
いずれもなかなか私にとっては面倒なテーマであるのだが、いずれにしてもなんとかわかりたい。
弾性論にしても結晶学にしても学生の時代にはあまり関心をもたなかったので、そのつけが現在に回ってきている。
四元数はその存在くらいは聞いていたが、まったく関心をもったことなど数年前までまったくなかった。
Hamiltonが四元数を考えついたプロセスについては、彼の論文を解読したエッセイを愛媛県数学協議会の機関誌「研究と実践」にすでに数年前に発表している。もっとも、このHamiltonの論文の残りの大部分の内容は私にはまだ解読できていない(付記を参照)。
(2012.12.14付記) 四元数についてはすでにサーキュラー「数学・物理通信」の中にシリーズで書いている(現在シリーズは継続中)。
インターネットで「数学・物理通信」を検索をすれば、名古屋大学の谷村さんのサイトにリンクされている、数学・物理通信のバックナンバーへと到達できる。
四元数について「数学・物理通信」の四元数のシリーズで十分書いてきたとは思わないが、このブログ記事の以後にわかったことはこれらを見てほしい。