物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

人の寿命

2013-01-09 11:34:01 | 日記・エッセイ・コラム

元同僚の死に接して人間の寿命とは不思議な物だと思う。自分にも他人にも自分の寿命がどれくらいなのかは予測ができない。だから、人間は無限の寿命があるかのごとく振舞っている。そうでなくては生きてはいけないだろうと思う。

明日、交通事故で死ぬかもしれないし、10年後に病気で死ぬかもしれない。だが、それがわからないから、自分が死んでしまうまでは楽観的に生きられるのであろう。それがけしからんという話はない。

小児科で評論家でもあった、松田道雄はどこだったか覚えていないが、「人の寿命というのはろうそくの火のようなものだ」と書いていた。短いろうそくもあれば、細長いろうそくもある。そして自分の命のろうそくは細長いのか、または太く短いのかは自分では知ることができない。そこがおもしろいともいえる。

そういえば、放射性元素の場合には個々の原子がいつ崩壊するかは予言することができない。人間に知識としてわかっているのはどれくらいの割合でその放射性元素が崩壊して他の元素の原子に変っていくかということだけである。その知識を人は崩壊定数という用語で呼んでいる。

人間の寿命と放射性元素の原子の崩壊の寿命とは関係がまったくないのだが、ちょっと人間の寿命のありようと似ている気がする。もちろん、人間の寿命の場合にはもっと細かくみれば、より決定論的であり、単に統計的なバラツキであり、放射性元素の崩壊の場合にはもっと本質的にstochasticである。