'ecoleとはフランス語で学校を意味する。小学校や各種学校の意味だという。ところが'Ecoleと大文字で書くと高等専門学校(grande 'ecole)を意味するという。
このgrande 'ecole(グランデコル)は大学よりも格上の学校である。普通にはbac(バカロレア)に合格すると大学に入学資格を得るのだが、このgrande 'ecoleではさらに入学試験があり、フランスのエリート養成の学校である。
ところが、その学校が大文字と小文字の差だが同じecoleと呼ばれていることがおもしろい。
文学者サルトルが卒業した'Ecole normale sup'erieureエコール・ノルマール・シュペリュール(日本語訳では高等師範学校)とか群論の創始者として有名な数学者のガロアが在学したことで知られる、'Ecole polytechniqueエコール・ポリテクニーク(日本語訳では 理工科学校)とかはよく知られている。
ドイツではHochschuleというと大学のことであり、高等学校と訳してはいけない。このごろは総合大学のUniversit"atも多いが、工科大学はいまでもTechnische Hochschuleと呼ばれることが多い。有名なのはAachenの工科大学である。これはもともと工科大学から出発したからであろう。
もっともアーヘン工科大学はひょっとしたら、もうUniversit"atを名のっているかもしれない。もう工科大学ではない総合大学になって久しいから。
大学に入ってびっくりしたのは学科のことを教室と言っていたことであった。理学部物理学科は物理教室と言われており、小学校の教室を連想してはじめはおかしかったが、そのうちにそれに慣れてしまった。この学科はDepartmentといい、物理学科ならDepartment of Physicsである。
ところがドイツに行って、びっくりしたのはInstitut f"ur Physikというのは物理学研究所ではなく、物理学科であった。どうも英語でInstitute for Fundamental Physicsなどというと学部の学生などの教育は引き受けない、研究所を意味するように思っていたからである。
広島大学に付属していた、理論物理学研究所も大学院生を引き受けていたから、大学院生が研究所にいることには違和感はなかったが、学部学生を面倒を見る教育機関であるということをInstitutという語で意味することにはちょっと面食らった。