という小説というのかノンフィクションというのかがアメリカでいま盛んに読まれているという。これはいまの大統領選挙でのトランプ人気の理由を知るのにもっとも適しているという。
Vanceというオハイオ州出身の男性は現在アメリカのカリフォルニアで投資会社のプリンシパルを務めている人である。彼は若いときの半生の身の上話だという。
エール大学のロースクールを出たVanceはオハイオ州のある町に生まれ育った。両親は彼の若いときにすでに離婚しており、貧乏だった。彼のお母さんは看護師だったが、身持ちも悪く、いわゆるろくでもなしだった。だが、おばあさんが彼を愛してくれて、彼を注意深くケアして励ましてくれた。
町には製鉄会社があったが、それはうまくいかなくなり、皆が貧乏だったり、不幸だったりした。高校生はその2割が卒業できなくなるというひどいところだった。最優秀な生徒でもようやくオハイオ州立大学に入るのが関の山で、州外の有名大学に進学するものはほとんどいないという。
Vanceはおばあさんの激励や注意深いケアによって高校生のとき勉強に励み、オハイオ州立大学を卒業して、その後エール大学のロースクールに進む。Vanceはトランプ大統領候補の支持母体となっている貧乏な下層労働者層に属する層であったという。
だから、トランプ大統領候補を支持する層の気持ちがよく分かるらしいが、Vanceはそのあり方には批判的であるらしい。もっともVanceにもいまの状況をどのように打開したらいいのかはまだ分からないとのことだが、トランプの意見には賛成ではないらしい。
このノンフィクションを読んで詳しい説明がインターネットに出ている。アメリカに住んでアメリカ人と結婚してる日本人女性が詳しいこの本のあらすじを書かれており、それを読めばほとんどこの本を読む必要がないくらいだ。
私は昨日の朝日新聞のGlobeでの紹介記事を読んで、Hillbillyってどういう意味だろうねと妻に聞いたら、妻がスマホで検索してくれて書評があることを知った。Hillbillyとは「田舎者」くらいの意味のあまり上品なことばではないらしい。
昨日のGlobeを読むと超Global化によってアメリカを含んだ世界中のいたる所が貧乏になって来ているようであり、globalとはアメリカを富ます資本主義の陰謀と思っていたが、そうではないらしい。そしてそのアメリカ人の下層白人層がトランプの支持母体となっているらしい。
もっとも、もしトランプがアメリカ大統領になったとしても彼らが本当に貧困から抜け出せる方策を本当に持っているのかどうかは疑わしい。
英語の作品を読まないで、日本ではアメリカの悲惨な様子を知ることができるとは日本の文化はなんてすばらしいことだろう。などと自画自賛したことであった。