板倉聖宣氏の死去が朝日新聞で報じられていた。この人がどれくらい大きな影響を与えた人であったかは、本人が有名になることをできるだけ避けていたとも言われるので、なかなかジャーナリスティックにはなりにくいが、とても大きな影響を与えた人であることはまちがいがなかろう。
世間的には「仮説実験授業」という名の理科教育のやり方で一世を風靡した方である。水道方式で有名な数学者の遠山啓先生が文部省と闘うことを余儀なくされたこと等に鑑みて、できるだけ叩かれることを避けておられたとも聞く。これは東京大学名誉教授の西村肇氏の書かれた記事から知ったのだが、そういう用心深い生き方をされていたらしい。
それにしても狭い意味の理科教育にとどまらず、社会科とか歴史とかの教育書もたくさん書かれたりしておられる。世間的な評価はどうなのであろうか。さすがに武谷三男さんが亡くなったときに、朝日新聞も無視はしなかった。が、その門下生とも目されていた、星野芳郎さんが亡くなったときには朝日新聞はまったく取り上げなかったから、板倉さんも無視されるのかもしれない。
しかし、朝日新聞が彼の死を無視するかどうかはともかくとして、大きな業績を教育界で上げた人であることは異論がなかろう。晩年は科学史学会会長を務めておられたとも聞く。まったくの面識はない方だが、ご冥福をお祈りする。
(2018.2.12付記) 板倉さんは老衰で死亡とあったので、そんなことが現在でもあるのだと以外に思ったが、それは脳梗塞をされていたので、栄養を十分にとることができなかったことに起因するのかもしれないと思いついた。