というタイトルで金曜の夜に日本テレビでドラマがあった。これはたまたま新聞と雑誌「数学セミナー」で知っていたので、妻と見た。
数学者岡潔とその妻みちさんとをめぐるドラマである。このドラマのせいか、私の以前に書いた「波動幾何学と岡潔」というブログもまた検索がされていた。
そのためかどうかはわからないが、普通は日曜の検索が150くらいに減少するはずが、200を超えていた。日本テレビのドラマのおかげでもあろうか。
「数学セミナー」3月号にはこのドラマに協力した数学者の高瀬正仁さんの寄稿の記事もあった。先日もこの高瀬さんのことを少しブログで触れた。高瀬さんによれば、なかなかこのドラマをつくった人たちは本格的で岡さんの本とかをたくさん集めて来て、ドラマの中ではあるにしても出て来る数式は本物のものとしたいという高い志をもっていたという。
このドラマでは数学の論文をあまり発表しないので、木下教授からあまり評価されなかったように描かれてあったのだが、広島文理科大学に勤務していた時代にも論文を発表しているし、その評価が定まらなかったのかどうか。本当のところはどうなんだろうか。
戦後、フランスの数学者アンリ・カルタン(数学者エリー・カルタンの息子)が多変数関数論の論文を評価してようやく岡の評価が定まったというふうにドラマではなっていた。実際にはどうなんだろうか。
生涯に11篇の論文しか書かなかったが、これらがどれも優れた論文であったと言われている。多変数関数論の未解決の3つの難問題をすべて一人で解いたというきわめつきの天才である。彼の数学は全身全霊を傾けてされたので、ときには精神異常を来たすほどであったらしい。それほど全身全霊を傾けむけられる人はやはり少ないのではあるまいか。
岡潔は天才だといわれる由縁である。
(注)いまでは岡潔の詳細な伝記が高瀬正仁さんによって5冊が書かれている。手ごろで入手しやすいのは岩波新書の『岡潔ー数学の詩人』であろう。