球座標 (spherical coordinates) という用語が一般的になっているのだろか。
3次元の極座標と私は言ってきたが、最近読んでいる本の中では球座標という用語で書かれており、もしこれが一般化された用語なら、いいことかもしれないと考えている。
その辺は実情は知らないので、ちょっと調べてみる必要があろう。今読んでいる本では、2次元の極座標は今まで通り、極座標という用語が使われていた。
いま慌てて『数学入門辞典』(岩波書店)を引いてみたら、やはり球座標という用語が使われていた。これからは私も球座標という用語を使うことにしたい。
前から考えている「数学・物理通信」の用語解説にも球座標という語を付け加えたい。いま完全に用語解説の原稿ができているのは反数 (opposites) という語だけだが、これに組成法則 (law of composition)(または絶対値の法則(law of moduli) )と球座標の原稿をつくって3月に発行の「数学・物理通信」には載せたいと考えている。
残念ながら、球座標以外の他の二つの用語の組成法則と反数は『数学入門辞典』には載っていないようだ。
(2024.6.1付記)
反数 (opposites)はある実数 a に対して -a のことをいう。逆数という用語は知られているが、反数という語は知らない方が多いだろう。日本人では遠山啓先生が使われていた。英語の本の翻訳ではベルの本の中に反数が使われている。
組成法則とは二つのある数a,bの積の絶対値|ab|=|a||b|となることである。私はこれを絶対値の法則と呼んでいる。これは数の積なら実数、複素数、四元数、八元数のすべてにおいて成り立っている。
むしろある数a,bの積の絶対値においてこの法則が成り立つように四元数をつくったという歴史的事実がある。詳しくは小著『四元数の発見』(海鳴社)を参照されたい。