物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

黙字(もくじ)

2021-02-09 10:37:35 | 本と雑誌
黙字(もくじ)というのをご存じだろうか。これはたとえば、knockのkとかislandのsとかのような字のことである。knowのkも同じ黙字であろうか。

knockはノックと発音し、kは読まない。islandもカタカナで発音を記すとアイランドであり、アイスランドではない。

これはNHKのEテレの「即レススキル英会話」でいつだったかそういう話が出ていた。

しかし、黙字という語は日本語でもその話を聞くまでは聞いたことがなかった。英語の学び始めのころに読まない字はsilentというと教わった。これは学校で学んだ知識ではなく、いわゆる塾で学んだ知識である。

中学校のころは英語とか数学とかを塾で学んでいた。この先生は私の母が女学校に入るころに学んだという老人の先生であったが、私はこの武田先生からいい英語の教育を受けた。

この先生は旧制の中学校しかでていなかったが、その当時はまだ愛媛県には中学校がなく、岡山の中学校に行かれた方であり、そのころはイギリス人の英語の先生から英語を学んだという方であった。

もっともそのころの中学校はいまでの感じならば、大学にでも行く感じとほぼ同じではなかろうか。

いま辞書を引いてみても黙字という語は広辞苑にもでてこない。また英和辞典でsilentを引いても発音しない文字の黙字という訳は出ていない。

辞書だってその掲載のスペースには限りがあるので、しかたがないが、なかなか言葉だってすべての言葉が辞書にはでているわけではない。

いま斎藤秀三郎の『英和中辞典』(岩波書店)を引いてみたら、silentのところに黙音字という訳があった。この辞書は武田先生が尊敬していた英語学者の斎藤秀三郎さんの遺著である。現代的な改訂がこの辞書もされているのだが、私の持っているのはそれより前の版である。